映画『スカーレットレター』,『MILLIBAR』 |
2月22日に自殺した女優イ・ウンジェの遺作『スカーレットレター』を見る。 きつい映画だった。死にたくなるのもわかる気がする。
2月25日に『サマリア』のPRで来日したキム・ギドク監督は記者会見で
「俳優たちに演技を始めるにあたって必ず言う事があります。それは、俳優としてこの人物の人生を真似るのではなく、その登場人物そのものとして生きて欲しいということです。往々にして俳優たちはその役柄を想像して、その人物を真似ようとしますが、そうではなく、俳優自身もこの瞬間も歳を取ってどんどん変わっていくのですから、この時点からこの登場人物として生きて欲しいと言っています。時には撮影が終わってからも、その登場人物としての生き方から抜け出せずに、辛い思いをしている俳優もいるかとは思うのですが、私はそれがとても大切だと思っています。
最近まで私は映画を作るにあたって、監督が一番大変だと思っていました。しかしつい最近、一番大変なのはやはり俳優なんだと気が付きました。というのは、皆さんもご存じでしょうが最近韓国で俳優としての人生を悩みに悩んだ末、残念な結果になった事件がありました。その事件を通じて、俳優という職業は非常につらいのだと私も強く感じました。もちろん監督も映画製作に於いて大変な事は様々あるのですが、俳優たちは絶えず役柄になりきるため大変な思いをしているのだと感じています。以前の私の作品『悪い男』に出演した俳優の中で、『監督、私はこの映画に本当に自分の魂を注ぎ込みました』と言った俳優がいました。私はその言葉を聞いてとても胸を痛めました。俳優たちは映画の中で与えられた人生を生き、魂に傷を沢山受けているのだと感じています。」
と言っていた。 キム・ギドク作品は大変痛いが、そこに奇妙な可笑しさがある。これで救われるのかよ?と思う無理矢理な救いがある。 『スカーレットレター』は救いがない。キリスト教的な何かがあるのかもしれないけど。
イ・ウンジェは頑張っていた。 死の誘惑もほんの少しわかるんだけど、映画の中でも現実でも「死ぬこたぁねえよ」と思った。
「サッカー中継中」と看板に紙が貼ってある『MILLIBAR』。 盛り上がっていたら嫌だなあ、と思ってドアを開けたらカップルが一組。 「北朝鮮は頑張ってる?」と言いながら席に着く私。 「日本が頑張ってます」とG君。 「なんだ。1-0?もう終わりじゃん。頑張れ北朝鮮!」 と言ってたら2点目が入る。
終了後サッカー好きのギネス君に「よござんした。おめでとさん」とメール。
学生時代の恋人もサッカー好きだった。 韓国とのワールドカップ予選を二人で見に行って、負けて、私はよくわからなかったが、彼がすごく残念がっていたのを思い出す。(注:訂正あり。6月10日参照)
あれからやっと日本は自力でワールドカップに出られるようになったのか… とひねくれ者の私でも、実はちょっと感慨深いものがある。
国立競技場帰りの人や、観戦を終えた人たちが続々。 私が来る前からいたカップルが帰る。 彼らはサッカー観戦のために初めて『MILLIBAR』に来たらしい。 「でも『青と白、どっちが日本?』て女の子が言ってましたよ」 ぎゃはは、昔の私みたい。
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2005年06月08日(水)
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