Vシネマ『鉄 くろがね 極道・高山登久太郎の軌跡』,中島義道『愛という試練 マイナスのナルシスの告白』


 宮崎学さんが原作のVシネマ『鉄 くろがね 極道・高山登久太郎の軌跡』を見る。
原作を読んで、何度もお話を聞いて私が知っている高山さんと、俳優のイメージは、かなり違う。
最後に「事実と異なる表現もあります」と断り書きが出るのだが、高山さんはあんなにギラギラした感じの人ではないし、裁判での発言もああではないと思う。
私が何回か傍聴したのは違う裁判だが。

宮崎さんの原作では高山さんは「子供の頃、差別されたことはなかった」と言っている。
本当はあったとしても「あった」と言ったら負けたことになるから「なかった」と言うのだろう、そういう人である、と宮崎さんは書いている。

Vシネマでは「わしは子供の頃から酷い差別に苦しんできたんや。大変やった」とした方がわかりやすいと考えたのだろうか。浅い。

 『不幸論』と一緒に図書館で借りてきた中島義道『愛という試練 マイナスのナルシスの告白』を読了。

この仕事もなく、企画書も行き詰ってるなんだか冴えない時期に、二言目には「いいではないか、どうせもうすぐ死ぬんだから」と言う中島義道を読むのは非常に危険な気がするが、やっぱり面白い。

アマゾンのレヴューで「3回泣いた」という人がいて、へえ、と思った。私は全く涙は出ない。
中島先生、モテモテなんだもの。
「愛さず、愛されたくないが、愛されてしまう」というくだらない恋愛ゲームにてんてこ舞しながら、50歳を過ぎて自分を愛してくれなかった、愛を強要したものに対する復讐もくたびれてきたって、あなた…。

ばかみたい!でも愚かなのは可笑しいし、人を自分を傷つけても真実を言いたい、という姿勢は見習いたい。
2005年06月02日(木)

抱茎亭日乗 / エムサク

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