『てしごとや』 |
『やらぬ仲』の宇佐美君のモデルであるS君と池袋『てしごとや』。 池袋駅西口交番で待ち合わせ。15分以上遅刻。「想定の範囲内だよ」と言われる。
ニヤニヤとケータイの画面を見ながら立っていたS君。 本日「ゴミ0(ゼロ)の日」は彼のお誕生日。お祝いメールが届いていたのか? 「電話一本いいかな」 はいはい、お祝いコールですか。モテモテだね。 「甥っ子甥っ子」とS君。相当可愛がっているらしい。
2001年のS君の誕生日も私にとって思い出深いものがあるが、今日も面白かった。 この人の人生を見守りたい、一生友達でいたいと思う。
大手会社のエリート営業マンだった彼は、ある事件で殺されかけた。奇跡的に助かった。 職場に復帰したが、それまで驀進していた出世コースからは完全に外れた。 休みの度にタイに行ったり、女の子と遊んだり、適当にサラリーマンを続けてた。
ある日飛び込みで営業に訪れた会社で、社長に気に入られた。 聞いた事もないコンサルタント会社だった。社長は面白いオジサンだった。 上司に紹介した。役員に紹介することになった。副社長に紹介することになった。 そして偶然の出会いから半年のうちに、S君が連れてきた謎の会社の社長は、本社の社長と面会することになった。二人は意気投合、コンサルタント契約が成立。
今までほとんど話をしたこともない、雲の上の存在である社長と、その信頼を得たコンサルタントを結ぶのはS君。 会社はそのための部署を作り、普通ならコンサルタント会社から人を派遣するところ、S君が「好きに使って下さい」と提供され、今や会社の中枢にいるS君。オヨヨ。
「本社は大変よ、もう。Sって何者?って状態から、知らない人が『コンサル会社の社長はあの件なんて言ってる?』ってオレに聞いてくる。誰かと思ったら役員だった、とかさ。超有名人。」 コンサル会社の提案の3分の1はS君の情報・アイデアであり、それが日本有数の会社を動かしちゃう、ってすごいことになっているのに月曜日の18時半から私と飲んでるS君。 「わかんないもんだな。オレは何もしてないよ。これは運だよ」 ああ面白い。
S君は状況を楽しんでいるけど、非常にクールだ。冷めている。 「モテモテ?狙われてんじゃないのぉ?」 「そんなことないよ。年だし」 「社内の普通の女の子は怖がるかもね」 「多分そう。もう飽きたよ。散々遊んだし」 ほお。出世も女も、顔色伺ったりがっついてないところに転がっていくのかな。
「桜井さんは何してんの?」 と聞かれ、書類選考で落とされたとか、あくびでクビとか。ああ恥ずかしい。
お誕生日だけどS君がご馳走してくれる。 せめて何かプレゼントを、と思ったけど「欲しいものなんて何もない」。 2001年もそう言われて『やらぬ仲』の原稿をあげたんだっけ。 じゃあ、また書くか。『平成無責任男』とか。
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2005年05月30日(月)
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