『公共の敵』,『サマリア』,『DMZ非武装地帯』,『CHARON』,『居酒屋熊五郎』,『俺家』,『喧嘩の極意』,ディープコアナイト

 『ホテルシューパロ』一泊目はツインのシングルユース、昨夜は隣の部屋に移動して、ダブルのシングルユースだった。今日の部屋は空いていない。「深夜にならないとわからないです」とフロントマン。

 困ったことは続く。防寒で厚い靴下を履いていたせいか、ブーツのファスナーが壊れてしまった。
この極寒の地で、なんてこと!ドイツの靴メーカー、ガボール!頼むよー。
パンツなので気づく人はいないが、かなり心地悪く、寒い。

 本日は朝から夜までずっと市民会館。『日韓友情年 コリアン シネマ スペシャル』の1本目『公共の敵』。
カン・ウソクは『シルミド』がすごく良かったが、『公共の敵』も面白い。爆笑。
ハチャメチャ問題刑事の話で、「俺たちは犬だろ?」なんてセリフもあり、『ポチの告白』を撮った高橋玄さんと対談などしたら面白いのでは、と思う。

玄さんは『ポチの告白』を「全国27万人の警察官全員に見て欲しい」と言っていたが、『公共の敵』は現役刑事とその家族を招待して試写会を開いたとか。
まあ、映画『公共の敵』では「公共の敵」はあくまでも連続殺人犯であって、『ポチの告白』では日本の警察こそ「公共の敵」だから、『ポチの告白』の方がラジカルな作品である。

 13時から市民会館前広場にある雪像の前で、映画祭のゲストが一斉に集まるフォトセッション。私のケータイカメラはきれいに撮れないので、人垣の後ろから見るだけ。

 張魔夫さんご夫妻、玄さんにご挨拶。「『公共の敵』面白かったですよ」と言ったら「ウー気持ち悪」と玄さん。昨日も朝までだったらしい。

 おにぎりを客席で食べ、14時から『サマリア』。キム・ギドク監督は夕張に来るとか来ないとか、最後までわからなかったのが、急遽来日。
私が夕張行きを決めた理由の一つは「キム・ギドクに会えるかも」。一番話を聞いてみたい人だったので感激。

そう思ったのは私だけではないようで、何故か女性に大人気。客席がキャーキャー言っててファンの私も不思議なほど。私にとっては面白い人なのだが、かっこいいのかな?

『サマリア』も良かった。援助交際でこんな事件になって、なんで親も学校も知らないんだよ?とか、そういう疑問はキム・ギドクの場合、なし。彼だから問わない。

 3本目『DMZ/非武装地帯 追憶の三十八度線』。
イ・ギュヒョン監督自身の軍隊体験を描いているらしいが、あまり好きではなかった。
軍隊を美化している、というわけではないのだが、楽しそうだから嫌なのかな。よくわからない。単に面白くないのかもしれない。いや、3本目で疲れたのかな。

 日も暮れて市民会館前では『居酒屋 熊五郎』が開店。居酒屋といっても、夕張市民による振舞酒と、郷土料理の炊き出し。オープンエアーでめちゃくちゃ寒い。

大きなストーブとあちこち火をたいて、いろんな鍋やら、肉や魚・貝を焼いたり、熱燗をつけたりしているのだが、あまりの寒さに、火を囲む輪に入るのも大変。
「ホッケ焼けましたー!」などと夕張市民が声を上げるのだが「くださーい」という私の声は届かないらしい。頑張ってホタテ1つとトドの肉一切れ。
フジテレビのアナウンサーら取材チームが私の横に割り込んで、私はまた火を囲む輪から外れる。

 市民会館の食堂に行ってみたら、我孫子や拍の『カロン』サポーターの人たちが来ていて、ビール。

 20時から市民会館シネサロンにて『CHARON』。満員。立ち見もギュウギュウ。
1995年、玄さんが初めてゆうばり映画祭に参加した『嵐の季節』を知る映画祭プロデューサーが「あれからいろいろあってね、本当に…お帰りなさい!玄ちゃん!」と泣きのスピーチをするので、私も涙ポロポロ。
『CHARON』はいろんな意味でゆうばり映画祭的映画と言えるのではないだろうか。

『CHARON』7回目の鑑賞で初めて立ち見。90分だから耐えられる。

 居酒屋『俺家』を覗いたら、玄さんと『ポチの告白』プロデューサーと張さんご夫妻がいて、私も混ぜてもらう。
暫くすると、隣のテーブル(お誕生日席に座っていた私の斜め後ろ)に奥田瑛二とキム・ギドク監督のグループが座った。

私は玄さんたちの、髪の毛の話を聞きながら笑いつつも、後ろの二人が気になって仕方がない。
後ろのテーブルは映画の話題でも盛り上がっているが、「ここのラーメンがうまいんだ」などと話している。

私もラーメンを頼んでみる。
「うまいですよ、ここのラーメン」と話しかけてくれる奥田さん。ラーメンが来たら「どう?美味しいでしょ」って、なんか全然気取ったところのない人なのね。印象が随分変わった。

キム・ギドク氏も、私が左側に振り返ればすぐそこ、ほんの数十cmのところにいるのだが、日本語わからないだろうなあ、と思うと話しかけられず。

店を出るときに通訳らしき人に「あちらの方キム・ギドク監督ですよね」と言ってみるが、他の話をしていたらしく「そうです」、以上。
私の荷物を持っていてくれたプロデューサーに呼ばれて、慌てて外に出る。

ああ失敗。でも多分またどこかで会える。そう信じて生きていこう。彼の作品は全て見よう。そしてまた会えたら「サランヘヨ!ユア・フィルムス」で、どうだ。

 オールナイトイベント『ディープコアナイト』で、深夜2時だか3時から玄さんのVシネマ『喧嘩の極意 突破者番外地』を上映するとのことで、『郷愁の丘ミュージアム・シネマのバラード』へ。
何か別の映画を上映している会場は満席で、熱気ムンムン。会場付近の建物内でだらだら過ごして待つ。

 『喧嘩の極意』は2001年のVシネマだが、池袋の『TSUTAYA』では常に貸し出し中。私は未見だった。スピード感があって、非常に面白かった。
出演者みんなが「『喧嘩の極意2』を作りましょう!」と言って奔走したという話はよくわかる。ヒットするだろう。私も見たい。

『カロン』の主演川本淳市さんは『喧嘩の極意』で玄さんと初めて仕事をしたらしい。ショートパンツにツンツンヘアで若い!
宮崎学さんはここでも刑事役。張魔夫さんと共演しているではないか。

 終了後、朝になってもイベントは続く。きつい、横になって眠りたい、と思って玄さんたちが泊まっている宿泊施設『ファミリースクール ふれあい』に電話。一人雪の道を、壊れたブーツで『ふれあい』に向かって歩くも「受付の人がまだ来てないからわからない」と言われる。

 『ペンション 黄色いリボン』に電話。「今から午前中、お金は払いますから寝させて下さい」と泣きを入れるが「今日は忙しいので」と断られる。「チェックアウトまででいいです」「無理です」などとやってるうちに『黄色いリボン』まで歩いて来てしまった。
ひどいね!この寒さの中、死ねってことか。『黄色いリボン』の前で行き倒れてやろうかと思う。

 仕方なく、また『郷愁の丘ミュージアム・シネマのバラード』に戻る。
中田圭さんが、松田優作CM集など、マニアックな映像コレクションを披露していた。
8時半「えー、今からもう1本上映しようと思っていたんですが、ここの館長が大激怒しているとのことで、急遽上映を中止します」。残念なことなのだが、助かったような気もする。

 最後まで会場にいた女優さんは『黄色いリボン』に泊まっていた。3人部屋を、女性2人で使っていて、布団が一組余っているとか。
お部屋を訪問させてもらうことになった。

9時半ぐらいか、部屋に着く。荷物を『シューパロ』のフロントに預けていて何の道具も着替えもないので、顔も洗わず服のまま、ちょっと横にならせてもらった。

私は宿泊している女優さんの部屋に寄っただけ。
『黄色いリボン』は多忙を理由に私を泊まらせなかったのだから!
2005年02月26日(土)

抱茎亭日乗 / エムサク

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