『サンシャイン60 トリアノン ラウンジ』,『酒菜 ふくみらい』

 新座に泊まった時はいつも昼近くに起きて何か食べて帰るのだが、7時前に目が覚める。
起きて洗い物をしていたら、母が寝間着で起きてきた。服を着ている私を見て
「コタツで寝たの?」「ううん」「帰るの?今日は用事があるの?」「うん」
「昨日はごめんね」「はい」「寝覚めが悪いからさ」「うん。もう寒いからいいよ。あ、鍵閉めるのか。じゃあご馳走様でした」「はい。じゃあね」

幼い頃、母が私を叱り、父親が私をかばい、母が「二人とも出てけ」と言ったことがある。私は強気で父親に「ねえ、いつ出て行くの。早く出て行こうよ」と何日も言い続け、母が謝った。
変わってない。60歳と90歳でも取っ組み合いの喧嘩をしそうな気がする。

 帰って日記。掃除、洗濯。

 大学の同級生I君から電話。ロシア人の婚約者と3人で会うことになる。
サンシャイン60から東京の夜景はどうかな、と思ったら、既に新宿で体験済みとか。
池袋からの眺めはまた違うのでは。I君が「喜ぶと思う」と言うし、正月でやってる店も少ないから『トリアノン』にする。

私も『トリアノン』は初めてだった。お正月だから、夜景はいつもより暗めだったかもしれない。それでもキレイ。

初対面のTはI君より12歳年下。写真で見たとおり、美人で背が高い。I君も背が高くて日本人っぽくない風貌で、お似合いだ。顔はI君の半分くらい。

Tは日本語が少しと、英語が出来る。I君は英語と、ロシア語が少しできる。やはりそれが高ポイントだったようだ。

今、二人はI君の6畳一間風呂なしアパートに住んでいる。外国人の彼女を一人で銭湯に行かせるというのも驚いたが、なんとパソコンもテレビも冷蔵庫もテーブルもない!ってホントかよ。洗濯機はあるのかな。

「アナタは日本で一番貧しい階層の人なの?」とTに聞かれたと言っていたが、経済大国ニッポンでこの暮らしはショックだろう。

ロシア人はテレビが大好きらしい。寒いから皆家で過ごす。Tもテレビが大好き。なのにテレビがない。パソコンがあれば故郷の人たちともコミュニケーションが出来るのに。「もっと言って下さい」とT。

 『トリアノン』はお祝いで私の奢り。次の店はI君がご馳走してくれる。
昭和レトロ風の居酒屋『酒菜 ふくみらい』。

引き続き、二人でI君にプレッシャーを与える。

「テーブルない、料理難しいです。冷蔵庫ない、肉、駄目です。すぐ腐ります」とT。
そうだよなあ。昨年夏なんて、あんなに暑かったのに、冷蔵庫がないなんて!

お金がないわけではなく、それがI君のライフスタイルだったわけだが、変えろよ。
「でも、J(I君の名前)いい人。他の日本人と違う。ロシア人にもいない。Jだけ。大好き。だからOK」とT。もう、こんなに愛してくれてるのに、テーブルなんて、明日買え!

「そうなんだよねー。そうなんだけどさー、ものぐさなのかなー」
って、そんなラヴラヴがいつまで続くと思ってんだ。
「Jさえいればいい、何もいらないって言ってんならいいよ。でもテーブルが欲しいって言ってんだから、応えてあげなきゃ駄目じゃん!好きだからあんまりうるさく言えないんだよ。でも切実なんだよ。すぐに買ってよ!」
「ちゃぶ台はあるんだよ」
だからね!ああもう!

私が店の箸袋に「TV(PC),TABLE,SHOWER」と書いて「いつまでに欲しい?」とTに聞いたら「6ヶ月」。優しいじゃないの。「ハイ、署名して」とI君にサインさせる。

I君は仕事が忙しくて夜も遅い。Tはインターネット・カフェに行ったり、日本語の勉強をして帰りを待っている。
休みにはあちこち連れて行ってあげてるみたいだが。

ロシア人の離婚率は5割だという。大丈夫かね。まあかなりいい感じだけど。

I君もいろいろあったが、いい人にめぐり会えて良かった。嬉しい。私も頑張ろうっと。
2005年01月03日(月)

抱茎亭日乗 / エムサク

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