「法の下の平等を問う」リレー講演会,『まつり茶屋』,『LOVE ROCK』

 私は目覚まし時計を3個セットしている。まず「午前7時20分です」の音声目覚ましが鳴る。
うえ、二日酔いだよ。参ったね。今日は仕事?休みじゃなかったっけ?え?7時?おい!
やってしまった。6:30羽田発福岡行きANA981便は既に飛び立っていることだろう。あああ。

ANAに電話。乗り遅れ手数料6,420円也。飛行機で行くには正規料金チケットを購入しなければならない。33,300円也。ひぃ。
帰りのチケットは買っていなかったので、のぞみで往復することにする。

それにしても、酔っ払ってもちゃんと化粧を落として寝間着に着替えたのに、何故目覚ましのセットをしないで寝たのかなあ。小倉行きを忘れていたのか?ああショック。気持ち悪。

 支度もダラダラしてしまい、10:50東京駅発のぞみで小倉へ。穴子の駅弁。
二日酔いはご飯を食べると治ることがあるが、頭痛は治まらず。

 彼にメール。「お誕生日だっていうのに。元気が出るメッセージ下さい」に反応なし。
実は深夜にも誕生日メッセージを催促するメールをしていたのを発見。記憶なし。呆れられたか?

 15時半過ぎに小倉駅着。JR職員は九州厚生年金会館は小倉駅が最寄と言い、警察官は西小倉駅から徒歩15分だと言う。改札で回収されてしまった乗車券を取り戻して西小倉駅。
あまりに暑くて荷物が重くて歩くのが辛い。バスがあるらしいので待つ。
これは後でわかったことだが、小倉駅からバスに乗れば便利で早かった。100円だし。

バス停に一人で立っていたら、ぼーっとした顔つきの若者が「どこへ行くんですか?」と話しかけてきた。
「厚生年金会館です」
「なんかあるんですか?」
「講演会があります」
「面白いんですか」
「はい」
「そうですか」
と言って、去る男。なんだか目つきが怪しい。
ちょっと経って見たら、すぐ先の街路樹に向かって立ちションしている。
もー!なんなんだよ。

 会場に着くと、講演をする弁護士の安田好弘さんも着いたところで、電脳キツネ目組のMさんが迎えに来ていた。
「飛行機乗り遅れちゃって」と言ったら「ああ、君ならあるね」とMさん。

スタッフは打ち合わせ中だが、私は具合悪くて項垂れる。役割分担が決まって移動。
予定通り飛行機で着いたら私は講師の宮台真司さん付きを願い出ようと思っていたが、遅刻して来て言えることではない。

私の担当は受付。会場時間前から集まっていた入場者はどんどん増えて、大ホールもロビーも溢れ返る。
そんな最中にカタログの仕事の派遣会社社長から電話。
「今日休みとってるんだって?仕事あるんだけどどこにいるの?」
「私、今東京にいないんですよ」
「明日は?」
「明日も早い時間に東京には戻れません」
「そうか。誰かいない?」
ってことで、受付で整理券を回収したり資料を配布しながら、人の手配の電話。

友人に繋がって電話の向こうから「えー、でも真理ちゃんいないんでしょう?私よくわからないけど大丈夫かなあ?」と聞かれる。
同時にこっちでは入場者に「これ、入ってまた出て来れる?」と聞かれる。
「はい、どうぞ。大丈夫です」と力強く答えると、電話の向こうの友人は「そうかな」。
引き続き社長に電話で報告したり、友人に連絡したりしながら受付を捌く。

会場にはこの周辺地域のやくざとその家族、友人が全員集合したのかと思う程のすごい人数。
皆さん個性的なファッション。

受付が落ち着いてきたので会場内へ行って「『警察はここまで腐蝕していたのか』(宮崎学編著)出版記念 法の下の平等を問う リレー講演会」を聞く。

宮崎学さん「私は『暴力団のいる明るい社会』がいい」。会場大拍手。

安田好弘さん「国家に、政府に、警察に『騙された』と言う人がいる。騙されることは罪であり、犯罪である。騙されていることで他人を傷つけ、また人を騙す。政府、警察など権力がやっていることには批判的であらねばならない。嘘があるから。何が真実で、世の中がどのように変ろうとしているのかを見て欲しい」

宮台真司さんのお話は「自発的服従」がキーワード。「弱いものが強いもののケツをなめることを選択するなら、プライドの問題になる。弱いから仕方ない、だけど美的に嫌だと思うなら自分たちで相互扶助をやるしかない」楽じゃないけど、ってことだろう。

終了後、宮台さんと少し立ち話。打ち上げに参加されるとのことで、いろいろ話せるかと楽しみにしていた。
会場の片付けをして、打ち上げ会場に向かう車の中で、キツネ目組のAさんと宮台さんの話。
「真理さん、宮台さん付き希望だったんだ。じゃあ打ち上げの席で協力するわ」とAさん。
「私は小倉デート?とか妄想していたんだけど、明日早朝に帰るらしい」
「だったら今晩じゃない」
「キャー!」

 などとふざけたことを言いながら、打ち上げ会場『まつり茶屋』に着くと、宮台さんの姿は見えず。
台風を回避するため宿泊をキャンセルして東京に帰ってしまったとのこと。
誰かが「今頃フィールドワークしているんですよ」と言うと、宮崎さんが「いや、ちゃんと送ったから」。
あーあ、ナンパ作戦失敗の巻。まあまたどこかで会うこともあるだろう。

宮崎さんが皆に「桜井さんは今日誕生日だそうです」と言ってくれて、皆が「おめでとう」。
ありがとうございます。
ついてないようなラッキーなような、いい男三昧ですごく楽しいけどちょっとつまらん、頭が痛い、懐も痛いの誕生日。この歳もこんなかい。ま、面白ければ何でもいいが。

私は受付をしていて聞けなかったが、今日の講演会でゲストスピーチをした第11回松本清張賞受賞作家の山本兼一さんとお話。
「書くことを商売にしたいなら日記はやめた方がいい。言われない?趣味ならいいけど、エネルギーを使うからね」と山本さん。
「私は他にどうしても書かなきゃならないような溢れ出るストーリーはないんですよ」
「溢れ出るストーリーがある人なんてほんの一握りで、皆苦労して搾り出してるんだよ。だからエネルギーを溜める必要がある」
「日記を書いていたら溜まらないですか?日記をやめたら書けるようになるんだろうか」
「やめたら書けるってものではないけど、日記を公開して文章の練習をするとか、人に読んでもらうとか、そういう時期はもう過ぎたでしょう」
「そうですか。考えます」
貴重なアドバイスだ。私は楽しい方へ、楽な方へ、気持ちいい方へ、ぬるい方へと流される。
じゃなくて自分から行くんだけど。考えなくちゃ。

宮崎さんからは「文章道場は桜井がやれ」と言われる。やりますやります。
山本さんは「それもいいけど」。
うーん、要は書くエネルギーになるとか、お金になることをやりなさい、ってことか。
人からは消耗するばかりに見えることも、私にとっては生きるエネルギーや人生の彩りだったりする。
結局したいことしかしないような気がするが、したいことがいかにすればできるかは考えないと。

安田さんとは興味深いお話いろいろ。安田さんは壇上でするお話は格調高くて、こういう席では優しい、ほんわかした雰囲気で素敵な人だ。

本日の講演会と同じ時間に警察は近くの公園で暴力団追放キャンペーンをやっていた。
潜入部隊の人の報告で暴追グッズの団扇やティッシュが紹介される。
宮崎さんと共著で『獄楽記』を書いた四代目工藤会総裁付室長の上高謙一組長に、宮崎さんが団扇を盾のようにして見せると、「おおっ、こんなの作っとるんですね」。
私が「刑務所の作業で作ってたりして」と言ったら笑ってくれた。
その暴追キャンペーン団扇を持って、私との写真に並んで下さる上高さん。お茶目でかっこいい。

 講演会の司会をした弁護士さんが『LOVE ROCK』というゲイバーに皆を連れて行ってくれる。
私はゲイバーは初めて。オネエサマたちとお話、カラオケ。

24時になって店を出る。リーガロイヤルホテルのバーで飲みますか、という話になったが24時閉店。
二日酔いでも少し飲むと元気が出たりするものだが、今日はお終いまで頭痛。
そんなこんなの「お誕生日会 in 小倉」だった。違うか。
2004年08月18日(水)

抱茎亭日乗 / エムサク

My追加