例の貸本屋で小説借りてきた。 タイトルは「雪冤(せつえん)」、意味は「無実の罪をすすぎ晴らすこと」だそうで。 帯には横溝正史ミステリ大賞&テレビ東京賞のW受賞、とある。
なんか最近こういうタイトル流行ってるのかね?「アイシテル〜海容〜」といい。 原題は違うので、このほうが売れる!と出版社のヒトが判断したんでしょう。
内容は簡単にまとめると、「冤罪」とそれを利用?した「死刑制度廃止論」をからめたストーリー。 と書くと「もうお腹いっぱいです」って言われそうだな…こういう事件に実際にかかわってる人以外には。 主人公は、死刑囚の父親と思っていいのかな? 登場人物がそんなに多いわけじゃないけど、どうも漠然としてんのよね。
ミステリとしての出来は可もなく不可もなくなんだろうけど、ある意味とっても横溝正史っぽいのは確か。 おんなじような設定の人間がペアで出てくるのよ。 例えていうと(実際にこういう人物が出てくるわけではありません) ・婆さんAとB ・美女AとB ・村に帰ってきた若い衆AとB みたいな(笑)
おまけに過去の事例が現在の人物に、災厄となってふりかかってくると。
まあ「横溝正史的な作家を選ぶ」って趣旨の賞じゃないだろうし、選評でも誰もそんなこと言ってないから関係ないとは思うけど。
「冤罪」&「死刑制度撤廃」という興味をひく題材だし、すごく真面目にそつなく書いてる作品だな〜と思ったんだけど、どうもやっぱりリアリティがない結末なような。。。 最後二転三転しすぎるんだよね。
☆★注意★☆---下記2〜3行、ちょっとネタバレ含みます---
で、結局は崇高な志のもとにそういう犯罪に至りました、じゃなく、「美女を守るために男達が一致団結しました」という結末になっとる。
--- ネタバレここまで ---
あ〜、そういう意味でも横溝正史的なラストですね(笑)
巻末の選評担当が全て人気作家なんだが、この作品に「書くことへの情熱を感じた」って書いてる人が4人中2人いる(両方とも男性) 私はこの本には「書くことへの情熱」は感じない。ソツがない人だなと思うけど。 相当手直しされちゃったんだろうか? 「テーマへの情熱」ならわからなくもない。でもやっぱり結論が出せなかった感じ。
選評してるのが男性2人、女性2人なんだけど、女性の作家の作品の方に「情熱」を感じるのは不思議。
しかし確かにこれ、映像化はしやすそうな作品。予算もあんまりかからなそう(笑) 死刑囚の息子、捕まった当時なら瑛太がいいなと思ったけど、死ぬ時には年取っちゃうし、歌がうまくなくちゃいけないんだよね〜。 しかもこれ賞を取ったのが「テ レ 東」だ(笑)権利もテレ東に行っちゃうの??? テレ朝だったらなあ。。。作家本人が実はちょっとガックリきてたりして。
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