井上雄彦の「リアル」読んだ。
この人、絵が巧いのはわかりきってるんだけど、やっぱりすごいなあ〜。 バガボンドの絵描くのに、一度裸の人間描いてから着物着せて描いてるそうだが、私がすごいと思うのはそういうところではない(笑)
「リアル」の最新刊にこういう場面がある。 半身不随で車椅子生活の青年が、離れて住んでる父親と久しぶりに会う。 その父親に「助けてくれた他の人にはお礼を言わなきゃいかん」と注意されて一言。 「オイオイオイ、まるで父親みたいなことを言いますね!」
この時の青年の表情がすごいのよ〜。。。 場面は夜の室内で、青年は布団に横たわってる。 そこを布団の足元の方から、顔を見上げたような角度で描いてるのね。 半笑いのような表情が、薄気味悪いというかなんというか。
こういうこと言う時って、確かに人間てこういう顔してるだろうと。 井上さんはなんで、こんな顔するだろうってわかるんだ?
こういう時の人間の顔って、すごく気持ち悪いのね。 なんで気持ち悪いかって、「イヤミ言ってるから」じゃないのよ。
若干その人間に「良心」が残ってるから気持ち悪いの。 けしてこの青年は、本当にお父さんを蔑みきってるわけじゃない。 心のどっかに相反する感情が同居してるから、表情がひとつにまとまってない。バランス崩れたままになってる。 だからキモい。
ちょっと例えが極端だけどね、前に同級生の首をカッターで切っちゃった女の子いたでしょ? あの子のその時の表情、おそらく何の迷いも無かったと思う。 無表情で、もしその時の顔だけ見れたら、ある意味気持悪くもなんともなかったと思うのよ。
ただそこまで行ってしまうと、既に人間じゃなくなってしまうわけだが。 「顔」って面白いよね。
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