セルフライナーノーツ。

2001年09月14日(金) ”これはな、成功したファシズムってやつなのさ”


基本的にこの日記には、時事ネタを書かないように決めている。
読み返したときにタイムラグを感じるようなテキストは、webネタとしてはかなりダメダメ。。。だと、自分では思ってるから。(^-^;
だけど、今回のUSA ATTACKEDに関しては、少しでも早く”過去ネタ”になって欲しいと思う。心から。
だからそう願いつつ、ちょっとだけ書く。


『映画のプロモーション見てるみたいだった』
速報の映像を見た瞬間に、おそらく大多数の人が抱いた感想。
それは遠く離れた日本にいても、当地NYにいる人でもきっと同じだっただろう。
10時台のニュースを見ながら、数年前一緒にNYへ旅行した友人へメールする。
”WTCのニュース見た?あのビル、修復可能なんかねぇ。。。(;¬_¬)”
その時眠っていたらしい友人が、数時間後起きてメールを見た時にはもう、WTCビルは崩壊していた。
報道される死傷者はあっという間に数千人規模へと膨れ上がる。
阪神淡路大震災の起きたあの時と同じだった。


NYではあのWTCビルの代わりにエンパイア・ステート・ビルへ登った。
もちろんその展望台からも、リバティー島からマンハッタンへと戻るフェリーの甲板からも、誇らしげに立つツインタワービルはいつも真っ先に目に入った。
エンパイアのエントランスでは、長蛇の列にも関わらず、金属探知器とやけに厳重な手荷物チェックが行われた。
私達の前に並んでいた日本人の新婚カップルが足止めされ、顔に?を貼り付けたままどこかに連れられて行った。
暫くして戻って来た彼らに聞いてみると、手持ちの三脚が持ち込み規定サイズを超えていたようで、一時預かりにされただけのようだった。
”少し前に、WTCの地下で爆破テロがあったからねぇ。それで警備が厳重になってるらしいよ”
行きの不安げな様子から一転して安堵した表情の彼らは、頷きながらそう教えてくれた。
ようやく登ったエンパイアの展望台から下を見下ろすと、街の一角がやけに明るく、もうもうと白い煙が立ちこめている。
”ああ、あれはちょうど今『GODZILLA』の撮影をやってるんだよ”
マンハッタンはしょっちゅう何処かで撮影やってるからね、とコーディネイターの彼は楽しそうに言った。


だがそれは映画でも小説でもなく、数十時間前実際に起きてしまった。
しかも、人間が人間を以て武器として攻撃を仕掛けた。
最近のフィクションものだと、時代の流れか現実がそうなのか、直接的な武力行使よりも、システムやネットワークの壁を頭脳で敗り、内から外を崩してゆくシチュエイションが増えていたような気がするけれど。
やっぱり最も強く、最も凶悪で最も脆いのが人そのものだ。
どれほどの科学力を、設備を駆使しようが、己の死をも厭わない自爆テロ行為以上に激しい力があるだろうか。
飛行機に乗っていた方もビルの倒壊で無くなった方も、巻き込まれたのではない、あれは道具として命を使われたのだ。
そこまでの意識の差は、何によって生み出されるんだろう。同じ人間なのに。


何より怖いのはこれからだ。
米国がこれで黙っている筈がない、けれどこれで戦争が始まれば、日本だって高見の見物してる訳にはいかないだろう。
日本は米国の小判鮫みたいなもんだし。
要請があれば自衛隊を回すのか、防衛費を裂くのか、何にせよ動いてしまえば戦争に荷担したことには変わりない。
譬え今回その危機を逃れたとしても、また何処かで同じようなことが起きれば、結局は。。。
そうやってなしくずしに、戻れない所へなだれ込んでいきそうで怖い。
じゃあ何をしたらいいのか、と思ってもきっと何もできずにずるずる頷くしかない自分が、はっきり目に見えるようで怖い。
(まるでどうしても切れない不倫カンケイ、みたいな。。。(^-^;)



『じゃあ、何でこんなものが続いてるんだ?』
『簡単だ。誰も何も言わないからだ。だから続いてる』
バトロワのあの世界、大東亜共和国は。
今確実にこちら側へ、近づいてきているのではないだろうか。
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