昨日、海外視察から帰ってきました。 趣味が旅行ですが、海外渡航は2回目。 14才から一人旅を始め、日本国内は1県を除いて、ほぼ隈無く旅してきました。国内の経験はひと通りあるつもりですが、見るもの、聞くもの日本の常識から離れているものもあり、非常に興味深く課題以外のことも勉強させて頂きました。
今回の海外視察は、各議員が自分の課題を持ち寄り、それが海外でなければならない理由、今後目黒にどう生かされるのかを視点に視察先を検討しました。私が掲げたメディアリテラシー(情報を取捨選択し、内容を主体的に読みとる能力と発信する能力)教育については、日本国内にほとんど事例がないこと、海外の多くの国で教育現場に採用されていることを知り、フィンランドでは教育現場、フランスでは教育機関を視察することと致しました。 特にフィンランドはOECD(経済協力開発機構)が15才を対象に行った、学習到達度調査で、31か国中、1位に輝く教育大国。そのカギの一つがメディアリテラシー教育にあることに興味を持ち、地域として選定した次第です。
フィンランドのエスポー市、MANKKAA中学校は、非常に協力的で、希望した授業を一通り見せて頂きました。 ドイツ語の授業でメディアリテラシー教育の現場を視察。自分の趣味をパソコンのパワーポイントを使用し、外国語であるドイツ語で表現する授業では、情報を提供することを通じて語学教育を行うところを興味深く拝見しました。 図工室では作品を作るためビデオカメラがあり、守衛室の隣にはビデオ編集室もありました。パソコンで国語のテストを行う場面も視察できました。
この中学校では、上記のようにメディアを取り入れた教育を各教科で行っています。 実際に自分が情報を作成することにより、メディアリテラシーは醸成されます。360名の生徒に80台のパソコンや各教室にビデオカメラ、編集室があり、編集作業で情報を切り取ったり、構成したり、クローズアップすることで、生徒がメディアリテラシーを知らずに学べる機会が多いことを感じました。
事前から用意しておいた質問では、日本人の常識でこういう授業を行っているのかな、との考えが前提ですが、メディアーリテラシー教育という授業は無く、足し算が出来る、母国語が話せるのが当然のこのように、質問が当たり前すぎて回答に困る様子がうかがえました。それほどメディアは使う道具として当たり前に利用されている様が印象に残りました。
フランス、パリでは、教育省が管轄する情報教育を教師に研修させる機関(CLEMI)を訪問。読む能力を高める、立派な市民になるための基本的な原則を身につけることを目的とした団体です。
フランス全土で春先に新聞、テレビ局などの報道機関と学校が協力し、こども達にメディアがどうやって情報を作るのか、伝えるのかを学習させる期間があります。 報道期間がその手法や意図するものが分かってしまう、いわば舞台裏をさらけ出すような教育を自らが行うことが不思議でした。このことを質問すると、報道機関は高いレベルの報道を目指している、それには高いレベルの受信者を作らなければないとの回答があり、そのために教育機関に協力していることを説明され、フランスの懐の深さを感じました。
また、年間にフランス全土、18000人の全教科の教師にメディア教育の研修を受けさせ、授業にメディアを取り入れていることや、EU各国共通で、同一の教材を使い、トランプの神経衰弱を取り入れたものや、パズル様ゲームを取り入れ、8才から旧来メディアだけでなく、新メディアであるネットのリスクを教えていることもわかり、EU全体のメディアに対する取り組みに感心しました。
私が、調査した課題の概要は上記の通りですが、課題以外で私が持った感想を述べさせて頂きます。
各都市での歴史的建造物の関する景観の配慮を非常に感じました。 町にはガードレールが無く、旧市街地は町の景観に配慮し都市計画を行っていること、ゴミ箱は外に置けないように条例整備していることなど、地震国日本では取り組めないこともありますが、個人の利益より、景観という社会の利益をきちんと認識していることに感心しました。権利ばかり主張し義務を果たさなくなった人が増えた我が国は見習わなけらばならないことであります。
また、路面電車が来ても人が逃げず、電車も気にせず人の脇をすれすれで通過する場面を見たり、ガードレールが無い歩道は、安全の考え方に随分違いがあるなと感じます。小さな危険にさらされず、大きな危険を見過ごす日本での危機管理の認識不足は、こんな処が原因の一部かな、とも感じました。
今回は収穫多き海外視察となりました。今後、いろいろな機会に今回の経験が、政治の世界で生かされることがあると確信しています。
尚、今回の視察については今後レポートとしてまとめさせて頂きます。区内施設に配布させて頂く予定ですので、是非ご覧下さい。
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