ありふれた日常

2003年01月14日(火) 薬の副作用

あたしは彼を見つけると、路地の柱の影にそっと逃げ込む。
その影で小さくなって、ひざを抱える。
何も見ないように目をつぶる。
気が付いたら横に彼がいる。
「何も心配ない」と彼は言う。
右手に持った甥へのプレゼントを見せて、静かにそして優しく笑う。
あたしは身体全てで安心して、差し出された左手を取る。
今は冬のはずなのに、雪が少しもない道を歩く。
その感触は覚醒しても尚、リアルにあたしの右手にある。
もう一度きつく目を閉じる。
どうにもならない現実を目の前に「心配ない」と行った彼の元へ戻ろうと
何度でも目を閉じる。何度でも。
しかし、一度覚醒してしまった身体は夢に沈まない。
このまま夢の中に身を投じても構わない。
本当にそう思ってしまう位にリアルで、かつ痛い程に非現実的な朝だった。
結局のところ「さようなら」と断ち切れなかったあたしへの罰。


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