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■ 2002年11月07日(木) ブームってヤツは
世は空前の陰陽師ブーム。かく言う私も、夢枕獏や岡野玲子の「陰陽師」は大好きだし、小松和彦の著作も相当数持ってます。但し、ブームとは無関係に。だって、小松和彦の本を初めて買ったのって、中学生の時だから、もう軽く10年以上前のことだし。 小学生の時に、漫画「カルラ舞う!」(永久保貴一)に嵌り、そのまま大学・大学院で民俗学を専攻しちまったワタクシ、そんじょそこいらの俄陰陽師・民俗マニアとは違うと自負しております。そんな私がもの申す!! よーするに個人的不満バクハツじゃ! 修士ナメんな。<違 民俗学は決してオカルト探求の学ではありません。民俗学とは(基本的に)自民族の生活に関わることの全てを研究対象とし、事例を元に論を組み立てる学問だと私は考えています。妖怪とか怪談とか民間信仰だって研究対象だけれど、郷土料理や地場産業、冠婚葬祭に共同体の運営やイエ(家)制度まで研究の対象だし、むしろそっちのが割とメインです。机上の空論だけでどうこう出来る学問じゃないです。まして民俗学者は探偵よろしく殺人事件の捜査なんてしたりしません。 民俗学者が推理してみせる時とか、それ、民俗じゃなくて古代史、なあんてのもよく見かけますが、民俗学が対象と出来る(少なくともその時代に生きた人の話を直接聞ける)時代の生活との関連を明確に示せるのは、せいぜい室町期までというのが通説で、それ以上遡ることに余り意味はありません。民俗学者は江戸期以降は詳しいけれど、古代史については大きく語れるほどの知識を必要としていません。 何が言いたいって、最近の小説とか漫画とかよ。「私立●●学園高等学校民俗学研究会」シリーズとかさ、あんなのは民俗学研究会って言わないし。「民俗学者
八●樹」シリーズとかさ、調査に行った先で殺人事件が起きたら、事件の推理なんかしてないで早々に立ち去るのが研究者として正しい道だから(勿論、警察が帰っていいよ、って言ったらね。帰れないなら、なるべく大人しくね)、そんなことしてると学者として大成しないよ。 この学会、なにげに保守的だし。←小声 そんで、そーゆーののファンサイトなんかで、未だに「民俗学」と「民族学」の表記がごっちゃになってるとこあるのもねぇ。ふたつは別物だから。「柳田の方です」とか「エスノロの方です」とか言って、区別付けてるくらいだから。何が違うって、簡単に言っちゃえば、フォークロアは「自民族」を、エスノロジーは「多民族(主に他民族)」を、研究対象にしてるってことですかねー。中島らもの「ガダラの豚」なんかが民族学です。 そりゃあ、フランス文学者が探偵やったり、金融アナリストが山奥の寂れた村を訪れたりはしないだろうけど、それと同じレベルで、民俗学者も事件の謎解きしないから。 あーもー最近クズ本が多くて。こういう本が、「京極夏彦に憧れて民俗学やろうと思いましたv」とか言って信仰系しか学ぼうとしない学生を続出させちゃうんだわッ。みんな信仰じゃゼミ成り立たねーんだよー誰か村落制度とか生業とかやってくれよー。楽しいよー生業。自分でコメが作れるようになるかもよー(マジ)。 てワケで、以上毒舌コーナーでしたー。
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・過去の「今日」。
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