昨日は午後から雨模様だったけど、今朝は異様なぐらいの青空です。 パラマウント総天然色というのが一番ぴったりくる表現かな。 昔の映画みたいにわざとらしい、書き割りみたいな色合いなんです。 雲ひとつない青空と、その下に広がる紅葉の山々の光景…。 で、やっぱり誰もいない。 「この景色をひとり占めじゃー!」と叫びながら、ダムのほとりでおにぎりを食べました。 ここは、本当に、日本、なのか…?
夢じゃありませんよ、今日してきたことですよ。 あまりに良い天気だから、山の上のダムまで行ってきたのです。 お猿がダムを渡れるように専用の橋が作ってあったけど、今日は一匹もいなかったなぁ。 山の不思議な紅葉のグラデーションを見つつ、昼寝。 つらつらと、滞在用に持ってきていた本について考えてました。
田舎にいる間読むつもりで、買ったばかりの本を持って来ていました。 久美沙織の“ソーントーン・サイクル”の3冊です。 「石の剣」「舞いおりた翼」「青狼王のくちづけ」の3冊から成るシリーズで、一応完結しています。 長らく私は3冊めだけ持っていて、これの前はどういう話だったのか気になってました。 と、いうのも、「青狼王…」が出た時、既に既刊分は絶版になっていたのです。 もちろん単独でも読めるよう、「青狼王…」の冒頭にそれまでのあらすじがありますが、やはりこれは元から 読まねばならない…と思って幾星霜。 ふらり立ち寄ったブックオフに1、2冊めがそろっていたので、嬉しくなって、買いましたとも。
やっと、本当に長いことかかって、ようやく話の全貌がわかりました。 3冊めが出るまでに長い時間が開いてしまったため、文章力や表現は確かに3冊めが最も優れているでしょう。 でも、話の作りとか、設定の活かし方とか、そういった技巧的な部分を除けば、1冊めの力強さが際立って面白い んじゃないかな。
魔女さえ惑わせてしまう、純真さと美貌を持つユルスュール王子、彼を慕う聡明な娘グヴェンドリン、ソーントーンの 見習い魔女ジリオン。 たくさんの魅力的な人物に彩られたソーントーンの物語の中でも、3冊めのタイトルでもある青狼のゴチェイは私の一番 のお気に入りです。素敵。
なんというか…。非常にキャラ立ちした話な訳です。 もともと日本のファンタジーは外国のものや、ゲームから影響を強く受けてますよね? だからなんとなくお約束と思えなくもない人々が出てきてしまうのですが、このシリーズはそれでもそれぞれがとても しっかりと書かれている。 思えば、久美さんは「ドラクエ」のノベライズもしてたんだなぁ。「ルビス」好きだったなぁ。
読んでいる間や、読み終わった後でも、この世界のどこかでユルスュールやジリオンが生きているんじゃないか? まだこの後にも色々な冒険をしてるんじゃないか?と、思わず考えてしまうような感じ。 わかってもらえるでしょうか? 結末を知っているというのに、読み終わるのがとても惜しい気持ちでした。
魔法も悲恋も美形も、何もかもそろったファンタジーとして、破綻もせずにきれいにまとまっていると思います。 もし興味があれば、古本屋などでちょっと探してみてください。
表紙と挿絵も後藤&加藤さんで素敵です。
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