無責任賛歌
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2002年10月06日(日) |
再見、東京/『ガンダムSEED』第1話ほか |
5日の日記の続き。
ヨナさんご案内で、いよいよペルシャ料理店「ZAKURO」に侵入。 いや、ホント、「侵入」と言ったほうがいいような雰囲気なのだな、これが。 ビルの奥の狭い階段を降りて行くのだが、これで重くて厚いドアでもあれば秘密クラブと言っても通りそうだ。 入るなり、狭い入口で靴を脱ぐ。横の棚には安孫子素雄が見たら変コレクションに入れたくなるような、民俗衣装を着た占い師のようなオバサン人形が、ドデンと置いてある。背丈は50センチ以上はあり、目の高さよりも上にあるので、なんだか威圧されてるみたいだ。 ペルシャ人だかトルコ人だかの店員さんが、流暢だがいかにも怪しい外国人、といった口調で「イラサイマセー♪」と案内してくれる。 床は絨毯敷きでこれもいかにも雰囲気は魔法の絨毯。そこに2メートル四方ほどの板が置いてあって、ここで胡座をかいたまま食事をせよ、ということのようだ。 いつもなら、どんなメニューが出たのかこと細かく書くところだが、何しろ謎の料理が多すぎて、品名が全く解らない。ナンくらいはわかるのだが、あの肉は鶏か羊か牛肉か、いったいなんだったのだ。美味かったけど。 ともかく、次から次へと料理が出る。そのたびに喉が乾いてお茶を飲む。別に注文しなくても、怪しいペルシャ人がわんこそばのごとくお茶を注ぎに来るのだ。なんだかさっきから「怪しいペルシャ人」とヒドイことを書いてるが、本人が「私、怪しいペルシャ人ねー」と言ってるのだからいいのである。なんか時々「オーマイゴッド!」とか言ってるし。イスラムじゃねーのか、お前。
あぐさん、4月にお会いしたときには『クレヨンしんちゃん』話が存分にはできなかったので、今回は肝に銘ずるところがあったらしい。なんと差し上げた同人誌『オトナ帝国の興亡』を持参してこられた。 こうたろうくんが冷やかして、「サインしたら」とか言うが、作家でもないのにそんな恥ずかしいことができるか。既にこうたろうくん、そうとう酔っているのである。 小説を書いた時の裏話などをご披露するが、そんなことより、もっと『オトナ帝国』や『戦国大合戦』について熱く語ればよかった、と、あとになって反省。 それにしてもあぐさんのオタク精進ぶりはすごい。 いくら私やこうたろうくんが「『クレヨンしんちゃん』はすごいよ!」と口角泡を飛ばして語っても、実際に映画館まで足を運ぶ人間はごく稀なのだ。 それをあぐさんは、『戦国大合戦』を堂々と見に行ったばかりでなく、更にもう一度、今度は大学の仲間も総勢8名引きつれて、見事に全員を感涙させ、それどころか「クレしん映画」全作をビデオで借りて制覇しちゃったのである。 あまつさえ(もう接続詞も思い付かんな)黒澤明の『隠し砦の三悪人』まで見たというのだから、果たしてこれは夢か幻か。オタクに偏見がなくって、しかも優しくて美人で、あぐさんをして「オタクの天使」の称号を与えることに異存のあるものはなかろう。 独身オタクなら、この話を聞いて、思わずストーカーしたくなるかもしれないが(おいおい)、こんなスバラシイ人がほっとかれてるはずがない。残念ながら既に彼氏持ちなのである。その彼氏さん、今日は「濃い話についていけないかも」とご出席を辞退されたようだが、もし来られていたら「こんなステキな人をヒトリジメしやがって」とフクロにされていたであろう。 つくづく残念なことだ(^o^)。
あやめさん、7時を回ってやっと合流。 なんだかこの間お会いしたときよりお若くなってる気がするなあ。いやもう、かように凛々しく美しいヤマトナデシコを奥さんに持てているとはヨナさんもやっぱりフクロにせねば(^o^)。 髪をミツアミにされていて、印象は早乙女乱馬である。もちろん女のほう(^^*) 。この方も見た目は楚々たる美人なのだが、やっぱり今まで戦っていたらしい。巴御前か。 「走ってきたら7分でついた!」 元気だなあ(^o^)。 あやめさんの職場、この店から近いそうだが、実際、電車を利用するよりも足で来た方が早いようだ。東京は路線が縦横無尽に張り巡らされているが、ひと駅ひと駅の区間は短いので、こういうこともよくあるのである。何かミステリーのトリックに使えんかなあ、と漠然と考える。いや、応募するわけではないけど(^_^;)。 食事も相当食べていたので、あやめさんの食べる分はあるだろうかと考えていたが、それからもまだまだピラフだのなんだのと食事は出て来るのであった。
博多のお土産で、あやめさんには「明太子くん」のペン(おみくじつき)を差し上げる。このキャラ、今、某明太子会社が密かに博多で流行させようとしているのだが、全然知名度が低い。なんたって、明太子だからって、赤いだけのキャラである。こんなもん貰っても嬉しくもなんともなかろうが、私のプレゼントのコンセプトは、「ウケ狙い」、もとい、「相手が捨てても構わないようなものをやる」(「粗品」ならそうあるべきだよな)ことなので、これでいいのだ。 なのに、あやめさん、「職場で使う」とのたまう。ヘンな人に見られなければいいけれど(^_^;)。
無知な話で申し訳ないのだが、店の名前の「ZAKURO」、これはもちろん「柘榴」の実のことだが、原産地がペルシャであることを初めて知った。イスラムとかペルシャについては全くと言っていいほど解らない。 だから、ヨナさんたちの語るイスラムの話が、聞いていて実に面白い。 ヨナさんご夫婦は20世紀の終わりにご旅行でエルサレムまで行かれたそうだが、あちらには日本人の観光客は殆どいないそうだ。「外国に行って“Japanese?”と聞かれない唯一の土地です」とは、言い得て妙。たいてい中国人か韓国人か、と聞かれるらしい。日本人の海外旅行というのは結局はただの「買い物」で、アチラの文化に本気で触れたいなんて気はサラサラないのだなあ、と実感。その点、ヨナさんたちはすごいものである。「20世紀のうちに行かないと危ないと思ったから」という情勢判断も的確である。 ペルシャやトルコのほうは、イスラムでも結構アバウトな方だそうだ。戒律だの風習だの文化だの、そのあたりを厳密に気にしてたら、確かに国際交流なんてできるものではあるまい。この店の怪しさはアバウトな怪しさでもあり、だから落ちつくのだろうな、と思う。
この店のメダマ、水煙草の回し飲み。煙草と言ってもニコチンは全くないとのことなので、私も飲んで見る。 あぐさんのチョイスでパイナップルのスティックを選んで、これを吸い口に差して一口、二口吸う。確かにパインの匂いが口内に広がるが、咽るほどではない。こうたろうくんは奥さんとの約束だとかで吸うのを固辞したが、もし吸っていたらとても気持ちよかったことであろう(^o^)。あぐさんはちょっと咽ておられた。 考えてみたら、「煙草」と名のつくものを飲んだのは生まれて初めてである。副流煙に悩まされて、タバコなんてついぞ美味しいものという認識を持ったことはなかったが、こういう「回し飲み」はいいものだなあ。『ピーターパン』のワンシーンを思いだしたね。 私がタバコ飲みを嫌ってたのは、携帯電話が傍若無人なのと同じで、公共の空間に私的な空間をムリヤリ持ちこむ無神経さがイヤだったのだなあ、と実感する。世間の愛煙家さんたち、若者の携帯に目くじら立てなさんなよ、あんたらのやってる行為もそれと変わらん。
9時を回ったので、今度は御徒町まで山手線で移動、「パセラ」というカラオケボックスに入る。つい「銀座ーのパッセラー♪」と歌いたくなるな(それは「パキラ」)。 ヨナさんお勧めの通り、収録曲数が半端ではない。特撮とアニメだけで別冊があるのである。ここで歌わずして何のために生きて来たというのか。 このときのためにと、『サンバルカン』をかけて『愛国戦隊大日本』を歌うが(本編見たことないのに)、ヨナさんたちはともかく、あぐさんまでしっかり『大日本』を知っていたのは驚いた。『ヤマト』や『ガンダム』はおろか、『Z』にだって間にあってないはずなのに(オレたちが大学生でウダウダしてたときに生まれてんだよ、どう思う? こうたろうくん)、なんでそうマニアな曲を知っているのだ。こんなことなら『共産戦隊ダイロシアン』も歌えばよかった。 こうなるともう、五人で歌の取り合いである。 ヨナさんには『やあ。』を取られた(^_^;)。あ〜るくん好き、山本正之好きのしげがそこにいたら、狂喜したであろう。こうたろうくんも『オレンジのダンシング』を歌えて、生きててよかったと泣いている。 なにがもう感動したかって、あやめさんが『薔薇は美しく散る』を歌ったときである。あやめさん、リキを入れたか、ミツアミの髪を卸して美しさ4.5倍増し(髪を卸す前がよくないということではなく、そういう行為に男は弱いのである)、高く伸びのある声が私の耳を直撃する。それどころかあぐさんも隣で口ずさむものだから、このお二人の気高く凛々しく美しい声がステレオ効果(T∇T)。 ……「至福」とはこういう瞬間を言うのであろう。つくづくヨナさんとあぐさんの彼氏さんを簀巻きにして(以下略)。
河岸を変えて、また歌いとばす。 とてもその過程の全ては書ききれるものではないが、いかに我々がドーパミン大放出であったかは、気がついたら午前○時になっていた、ということでご理解いただけよう。実際、そこまで自分の体が持ったのが不思議なくらいだ。もしかして私、健康体なんじゃないのか(^_^;)。 でもまだまだ歌いたりなかったなあ、と思うことしきり。あの曲もあの曲もまだ歌っていない。更にあの三倍は歌いこますことも可能である。それはヨナさんご夫婦も、こうたろうくんも同じであろう。あぐさんだけは「そろそろネタが尽きました〜」と最後はネをあげていたが、我々、なんとかここで年の功を見せられた格好である。 っつーか、いくら偏見がないとは言え、徹夜カラオケマラソンなどというバカな行為につきあわせてしまって、あぐさんには申し訳ないことをしてしまった。オトナとしての自覚が足りなかったなあ、と反省。これに懲りて、「アニメも特撮ももう見ない」などとあぐさんが言い出さないことを祈るばかりである。
うっすらと空も明るい。 駅前でヨナさん、あぐさんと別れたが、名残惜しいことこの上ない。 土産まで頂いたが、こちらがたいしたものを用意してもいないのに(食事やカラオケだって、殆ど奢られた)、申し訳なくてし方がない。今度上京するときには、もちっとマシなものを土産に持って行かねば、と思う。もちろん、今度は絶対しげも連れて、あの怪しい店にも行くのだ。
タクシーを捜しながら、ふと呟く。 「なんて気持ちのいい連中だろう」 どうやら私も大切なものを盗まれてしまったらしい。
ここから6日の日記。 こうたろうくんの家で数時間の仮眠、9時に起床。 朝食をご馳走になるが、そのときにようやく奥様、二人の子供さんにご挨拶。 録画してあった『ガンダムSEED』の第1話を見せて貰うが、福岡では来週からなのであった。第1話の印象ではファーストガンダムのくどいリメイク、と言った感じ。 息子さん、小学生なのに「なんでガンダムにプラグがついてんだよ」と早くもオタクぶりを発揮している。そんな教育してていいのか、こうたろうくん(^_^;)。
10時にこうたろうくんの家を出る。送ってもらうのも、またこうたろうくんのウチの車。毎度毎度、お世話になりっぱなしで申し訳ない。しかもまた土産もらってるし。 渋滞に巻き込まれることもなく、早めに羽田に到着。そこでこうたろうくんご家族とは別れたが、彼はこれから家族サービスだそうだ。昨日の今日で、体が持つのだろうか。子持ちは大変である。
空港で時間をつぶすため、『ガンダムエース』と『ダ・ヴィンチ』を買う。 『ガンダム・ジ・オリジン』は、ガルマ偏と言うより『再会、母よ』編。 冒頭の水着シーン、乗員たちがいきなり戦闘に駆りたてられたのに、水着を用意してるのはヘンと判断したか、ミライさんもセイラさんも普通のシャツにズボン。露出度低いぞ。でもその分フラウがシュミーズ一枚でがんばってくれてたのであった(何をだ)。
飛行機、雨のために博多湾上空で迂回。結局、帰着が予定をはるかに超えて午後4時を過ぎた。練習から帰ってきたしげと会えはしたが、もう体力が持たず、そのままあとは翌朝まで爆睡。 当然、台本は書けていないが、しげの文句を聞くのも翌日に持ち越しである。 ペルシャのお守りをプレゼントに渡したので、少しは喜んでくれるといいのだが。
2001年10月06日(土) 新番……第何弾だよ/『星のカービィ』第1回/『ヒカルの碁』(ほったゆみ・小畑健)14巻ほか 2000年10月06日(金) 詳しくはコメディフォーラムを見てね
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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