無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年07月03日(水) 妻のどこまでも広い背中/『デボラがライバル』1・2巻(多田かおる)/『20世紀少年』9巻(浦沢直樹)ほか

 今日もまた晩飯は「王将」。
 もうメニューを右から順番に全部食べて行こうかって気になるな。
 ちょうど季節限定メニューで、冷し中華みたいなのを売り出しているが、これが露骨に「リ○○ー○○ト」の「○'s ○○ダ」のパクリ。競争社会だし、パクリ自体、悪いとは言わないが、だったら「リ○○ー」のより美味しくしないと。
 不味くはないんだけど、麺が「リ○○ー」のより一段落ちる。

 しげ、運転をしながらウツラウツラとしている(おいおい)。
 いったいどうしたのかと聞いてみると、昼間ほとんど寝ていなかったらしい。
 夜、パートに出ているわけだから、睡眠時間はどうしたって昼間確保するしかないことは自覚してるはずである。
 「なんで寝らんやったと?」
 「鴉丸っぺんとこに行ってたんだよ。用事があって」
 事情を聞いてみると、こちらが向こうに出向いて行くんじゃなくて、向こうがこちらに来るのがスジだと思われる用件である。結局、しげが鴉丸嬢に気を遣って出向いてあげたってことなんだろうけれど、何も睡眠時間削ってまでしてあげるこたあないよな。何か理由があって忙しいのだとしても、それはあちらもこちらも同じだろうに。
 でもねえ、どうせ、しげも会って遊びたかったに決まってるんだよ。
 となれば、一概に鴉丸嬢を責められるものでもない。ケガしたときもそうだったが、しげは周囲がいくら気遣っても、それを自分のほうから裏切る行為を平気でするのである。足が痛いのにジャンプしてやがったしな。そんなアホなことばかりしてたら、しげのことを心配するだけ無駄って気持ちにみんななるよ。
 それどころか、トバッチリはいつも私に来るのだ。
 「あ……マジでヤバい。落ちそう……」
 「寝るなバカあああああ!」
 いやね、なんとか無事、帰宅できはしたけどね。しげのこの後先考えない行動パターン、いったいいつまで続くのか。いつか改まる日が来るのか。私の心臓が破裂するほうがよっぽど早いと思う、とゆ〜か、明日にも来そうな気がするんですけど。少しはそのこと考えてくれってばよう(TロT)。

 しげ、鴉丸さんから千円預かってくる。
 「BOOK OFF」で見つけた『バンパイアハンターD』の代金だけれど、もちろん全額ではない。チビっこいクマの柄つきの封筒にメモ書きされていて、「ビンボーなんで千円だけ払います。あと3600円」、とあるが、この「ビンボー」ってのがシャレじゃないっぽいのが涙をそそる。
 「貧乏は罪悪ではない。だが一文無しの貧乏は罪悪である」と、マルメラードフは『罪と罰』の中で酔っ払いながら語ったが、鴉丸嬢、罪悪に片足突っ込みかけてないか。早いとこ稼げるようになれよ。


 先日の能古島土産の黒炭石鹸というやつ、しげが試してみたいと言うので、「試せば?」と手渡すが、どうもしげが妙にモジモジしている。
 「なんだよ、風呂入るならさっさと入れよ」
 「あのね、お願いがあると」
 あ〜また、「お願い」だよ(-_-;)。
 「女のお願い」がどれだけ危険かということは、川崎実とあさりよしとおが『地球防衛少女イコちゃん』であらゆるパターンを描ききって証明している大事実である。
 どうせロクなもんじゃあるまい、とは思ったが、聞く前に「やだ」とも言えない。一応、聞いてやりはするが、どうしてもぶっきらぼうな態度になってしまうのは仕方がない。
 「なんだよ」
 「背中洗って」
 「なんでだよ、自分で洗えねーのかよ。ボディーブラシがあるだろ」
 「……届かんとよ」
 太り過ぎじゃあ、ボケええええ!
 え? で、実際に洗ってやったかどうか、聞きたいですか?
 あの、この日記を読んでたら、私としげと、どちらが実質的に立場が上か、わかりませんか?


 アニメ『ヒカルの碁』第三十八局「挑戦者たち」。
 プロ試験本戦もいよいよ本番。
 越智とアキラが接触するあたりだけれど、原作ではアキラの非道ぶりがなかなか際立ってたけど、意外とあっさりした演出で流してるね。
 ヒカルの実力を確かめるためだけの当て馬にされちゃった越智、原作じゃ結構かわいそうに見えてたけれど、アニメはキャラデザインで等身が随分伸びていて、アキラに比べてすごくチビって印象がない。これ、別にキャラデザイン段階で越智を大人にしたわけでなく、単に各話作監の個性の違いにすぎないように思うんだが。本橋秀之さん、総作監の仕事をキチンとしてないのか、それともあれでもがんばって修正しているのか。
 等身が伸びれば、当然「目線」も変わる。
 見下ろすアキラと、見上げる越智の、その位置・角度の違いが、自然とアキラと越智との囲碁の実力の差、心理的立場の差を表現していたのに、それを平行にしちゃぶち壊しだ。こんな演出は初歩の初歩なので、どうしてこんなバカなことをやっちゃったのか、理解に苦しむ。
 これまで、そんなにバカな演出は見当たらなかった『ヒカ碁』なだけに、これからのクライマックス、ちゃんと演出できるのかねえ、と心配になる。総監督のかみやじゅんさんの目も各話演出までは届かなくなっているのだろうか。


 マンガ、多田かおる『デボラがライバル』1・2巻(完結/集英社文庫・各630円)。
 多田さんの死去は本当に突然だった。
 そんなに追っかけてたってマンガ家さんでもないのだけれど、『愛してナイト』の文庫版あとがきで、「トシをとっても、ダンナと子供と、一緒に暮らしてられたらいいな」と書かれたわずか一年後の死である。神様はいないねえ、としか言いようがない。
 今でこそ、少女マンガのヒーローがバンドマンでロックやってて、なんてのはありふれてるけれど、先鞭をつけたのは『愛してナイト』だったと思う。
 少女マンガを中心に読んでたわけじゃなかったから、門外漢の感想でしかないけれど、それまでの「憧れの君」ってのが、スポーツマンで品行方正でってな感じだったのが、亜月裕の『伊賀野カバ丸』あたりで崩れて、そのあとに来たのが『愛してナイト』ってイメージが私にはある。
 お世辞にもアニメ版のビーハイブの歌は上手いとは言いがたかったけれど、アニメ発のロックってのはやはりエポックメーキングとして評価しておくべきだろう。作者にそんな意図はなく、自分の好きなものをそのままマンガに描いたただけだとは思うが、そういう「自由の風」が、旧態依然として見えていた少女マンガの世界にも吹き始めていたのだろう。

 『デボラ』も、ヒロインの惚れた相手が「おかま」(「ホモ」って表現はまだ避けてるなあ。裏表紙の内容紹介では「ビジュアル系」って書いてるけど、そりゃ違うでしょ)だったという、少女マンガとしてはかなり「冒険」的なストーリー。しかも最初は女嫌いだったのがだんだんヒロインの朝代に惹かれていくのだから、これはもしかしたら日本初のバイセクシャルを扱ったマンガかも?(エロマンガにあるかもしれんが詳しく知らん)これ、題材の斬新さ一つ取ってみても、もっと注目されていい作品なんじゃないかな。
 くらもちふさこと聖千秋による対談解説では、デボラのモデルになった人が実際にいたようである。普通の少女マンガ家だったら、たとえどんなに身近に魅力を感じる人がいても、これはちょっとマンガには……と引いてしまうところをあっさり描いてしまうところに、自然と多田さんの人柄が忍ばれる。聖さんが「人間に対するキャパシティーが広い」と言ってるのもそのあたりを指しての発言だろう。
 マンガとしては、設定やキャラクターは面白いのだが、連載は単発読切の断続掲載形式だったらしく、エピソードとエピソードの連関性が薄いのが弱い。
 朝代とデボラを取り合うライバルになるかと思われたいかにも和風美少女の亜樹とか、隣室のお堅い公務員のメガネさん(でも実は美形)の杉本さんも、自由奔放なデボラを振り回せるグラマー美女の片貝先生とか、いいキャラたくさん出しときながらほとんど一発キャラで再登場しないのだもの。もったいないったらありゃしない。アニメ化して、間のエピソードを埋めるようにして一年間くらい放映してほしいくらいのものだ。

 そういえば、この作品、吉川ひなの主演で映画化されている。
 これは未見だけれど、ほかの「ぼくたちの映画シリーズ」、『友子の場合』や『That's カンニング』なんかは意外なことに(シツレイ)出来がよかった。機会があれば見たいと思ってたのだが、デボラが『ゴジラ×メガギラス』の谷原章介ってのはちょっと違うんじゃないか(^_^;)。でも篠原ともえ出てるし、やっぱり見てみたいなあ(『大怪獣総攻撃』の篠原がよかったからという、どうしても特撮モノに結び付けて評価してしまうあたりが我ながら何ともはや)。
 

 マンガ、浦沢直樹『20世紀少年』9巻(小学館/ビッグスピリッツコミックス・530円)。
 あれ? 「登場少年紹介」にケンヂについて「2000年血の大みそか」で命を落とす、とか書いてあるけど、行方不明じゃなかったの? たしか死のシーンはまだ描かれてなかったと思うんだけどなあ。どこかでケンヂには生きててほしいって気持ち、これ、読者共通の願望だと思うんだけれど、人物紹介でそんなあっさりと打ち消すなよう。
 キョンキョンもなんか廃人っぽくなっちゃったし、これ以上誰にも死んでほしくないんだけど。これからはやっぱりカンナたちに劣勢を巻き返す方向にどんどん行ってくれよ、でないともう、ハラハラし通しで……ってそれだけ浦沢さんのドラマ展開がうまいってことなんだよなあ。
 孤独な戦いを強いられていたカンナもどうやら中国マフィアの協力を得られそうだし(このあたりの展開、『コータローまかりとおる』と似てるけど、困った時の華僑頼りって、そんなに日本は"裏"で中国に牛耳られてるのか)、ついにオッチョとの再会を果たしたし、どんどん盛りあがって行くのだけれど、未だに「ともだち」がなぜケンヂの予言の書通りの世界を作ろうとしているのか、新たに現れた「しんよげんのしょ」は果たしてケンヂが書いたものなのか、解かれていない謎はまだまだ多い。
 その謎が解かれた先にあるものがあまり悲惨なモノにならないように望む。これは「20世紀少年」の夢を描くマンガじゃなかったのか? せっかく「本格科学冒険漫画」と銘打ってるんだから、スカッとした終わり方をしてほしいぞ。
 ……あと、邪推かもしれんが、万博を出してきたあたり、浦沢さん、『オトナ帝国の逆襲』見てないかな?

2001年07月03日(火) 頭痛のせいでネカマ風(-_-;)/『黒衣 ―KUROKO―』2巻(高橋葉介)ほか



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