無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年07月26日(木) 全ての知識はマンガから/ドラマ『美少女仮面ポワトリン』第一話ほか

 出勤する直前に見た、朝、8:00からの『とくダネ!』で、小倉智昭が、ハムスターを飼っている子供が「アナフィラキシー」にかかっている例が増えている、と紹介していた。
 なんだか聞いたことのない病気だなあ、とお思いの方もいらっしゃるかもしれないが、手塚マンガファンには、この耳慣れない病気も実はおなじみのものである。
 もちろん、あの『ブラック・ジャック』に紹介されていた病気の一つで、一種の「過敏症」。最初、蜂に刺された時はなんともないのに、二度目に刺されたらショック症状を起こして死ぬというアレですね。そういうわけで注射することも麻酔をかけることもできないという、難儀な病気なのである。
 で、それがハムスターとどう関わっているかというと、それまではごく普通だった子供が、ハムスターに指を噛まれて、急にアナフィラキシー症状を起こしたっていうんだね。
 だから正確に言えば、「アナフィラキシーにかかっている」ではなくて「アナフィラキシーだということが判明した」と言うべきなのだろう。
 ……うーん、この場合、ハムスターに罪があるとは言い難いだけに、親御さんも本人も、悲しみや怒りの持って行き先がないのではなかろうか。ハムスターのおかげで、病気であるという事実を知ることができたとも言えるわけだし。
 でも、このことで「ハムスターは危険だ」なんて誤った情報が伝わってほしくはないのである。病気が判ったご家庭のハムスターは、その後いったいどうなったのだろう。子供に世話をさせることは不可能になったわけだし、まさか捨てられたり殺されたりしてはいないだろうか。

 実際、動物を飼うってことに対して安易な考えしか持ちあわせていない人間ってのは多いと思うのである。
 「生き物を大切にする心を養える」とか「ペットは家族の一員だ」とか言ってる人間は、私に言わせれば「発狂」してるとしか思えない。
 基本的に「自立して生きることのできない生き物を養う」というのは、その生き物を自分に「隷属させている」ことでしかないのだ。たとえどんなにその対象を愛していたとしてもである。
 「人間の子供を養う」ことと、「動物を養う」こととは自ずから違う。人間はいずれその「家庭」を巣立っていくが、ペットは巣立たない。というか巣立たせるためにペットを飼うヤツはいないわな。「ペットが家族だ」という言葉の欺瞞は、ここにハッキリ現れている。
 逆にこう発想してみたら解りやすいかな。動物ではなく、人間を「巣立たせずに養い続ける」なんてことをしたら、どう? これは明らかに「人権蹂躙」であり、どんなに愛してたって、「虐待」になるのではないかな?
 少女を拉致監禁して飼ってたヒトもいたよねえ。あるいは「あなたは私の可愛いペットよ」なんて言って、美少年をマンションに飼ってる有閑マダムなんてのもいたりするよな(そういう願望持ってる女っていそうだよなあ)。
 それも「家族」なのか?

 私は別に、「ペットを飼うな」とか、「ペットを愛しちゃいけない」とか言いたいわけじゃないのよ。けだものを飼うのには、それなりのルールと覚悟が必要だろうってことなの。実際、なにが起こるか分らないんだから。
 以前、『動物のお医者さん』がヒットした時、シベリアンハスキーの野良犬が増えたって話があったよねえ。今回の騒動も、どうせ『ハム太郎』がヒットしてるからって、安易に子供にハムスター飼ってやった馬鹿親が増えたってことなんだよ、きっと。


 また殺伐とした事件。
 中国自動車道に、中学一年生の女の子が、手錠をかけられた状態で、頭を強く打って死んでいる(正確には救急車で運ばれた先の病院で死亡)のが発見される。
 事故とかではなく、何かの事件であることは(自分から飛び降りたのか落とされたのかは判然としないが)間違いないのだが、女の子に「手錠」をかける状況ってのはいったいなんなのだ。
 どうもすぐに「拉致監禁」とか「略取誘拐」とかいうコトバが浮かんできてよくないのだが、報道もその猟奇性に興奮しちゃったせいか、とんでもない誤報(?)をしでかしている。
 その「手錠」について、病院の関係者が「玩具ではない」と喋っているのを、そのまんま訂正も入れずに放送していたのだ。

 あの、玩具でない手錠って、つまり「ホンモノ」ってことでしょ?
 ということは「ホンモノ」は警察関係者しか使わないと思うんですけど。

 今日び、ちょっと頑丈な手錠なら、「玩具として」ゲーセンのUFOキャッチャーにだってあるぞ。鉄バサミでないと切り離せなかったとか病院では言ってたらしいけど、すぐに外せなきゃ玩具であっても鉄バサミくらい使うだろう。
 それとも犯人はホントに警官なのか?

 先日の花火大会の報道でも、テレビは、例の「茶髪軍団が暴れていた」とか、当事者の発言をまるで検証せずに垂れ流してるとしか思えない。
 「証言」は「事実」とは異なるのである。そんな基本的なことも知らないから「誤報」は増えるんだが、それだけ報道関係者にバカが多いって証拠なのだ。
 ニュースが結局ジャーナリズムではなく、センセーショナリズムによって成り立ってるってこと、視聴者の側はいつだって心しておかねばならないのだろうな。


 仕事を終えてとっとと帰宅。
 しげが今日も「私のモナ王、モナ王返せ」とうるさかったので、途中でコンビニに寄ったのだが、そこは「モナ王」を置いてない店であった。
 まあ、アイスモナカならなんでもいいのだろうな、と思って、森永の「練乳入りモナカ抹茶」と「チョコモナカジャンボ」を買って帰ったのたが、観測が甘かった。
 途端に「モナ王じゃない〜!」とイジケるしげ。
 「なんで? 同じモナカじゃん」
 「チョコが入ってるでしょ? モナカにチョコは邪道なの!」
 ……そんなん知るか。
 仕方なくしげ、「抹茶モナカ」の方を取って一口ガブリ。
 「皮が違う〜」
 何が「皮」だ。たかがアイスモナカだってえのにグルメぶるんじゃねえ。
 プンスカしながら冷蔵庫を覗いてみると、非常食用にと私が買っておいた冷凍の「オムライス」が消えているのであった。
 ……だからその「オレのものはオレのもの、夫のものもオレのもの」ってジャイアニズムで世の中を渡っていこうってのは人間として間違ってるぞ、絶対。

 心の中にメラメラと燃えあがる殺意の炎をなんとか鎮火しつつ、「怒りっぽくなってるのはカルシウムが足りないせいだ」と思って息を整えて、新発売の「生産者の顔が見える牛乳」を飲むと、パックにホントに湯布院の牧場のおっちゃんあんちゃんたちの写真がついているのを発見。
 ……「私たちが作った牛乳です」だとお?
 てめーら牛育てただけだろうがあ! ホントに「生産者の顔が見える」ってんなら、ウシの写真載せろ!
 で、「は〜い、私、ウシの花子。絞りたての私のおチチ、成分無調整よ♪」とかコメントとって見せろ!

 ……すいません。疲れてるんです。許してください。
 
 それでもね、腰が痛いというしげのね、背中に湿布を貼ってやったりしてるわけよ、私は。けなげっていうより馬鹿だよね。
 ……今、気がついたけど、これって女王様と奴隷の関係……?
 (;_;)( ;_)( ;)( )(; )(_; )(;_;)(T-T)うるうる〜


 帰宅が早くなったので、日頃なかなか見られない教育番組なども見られて楽しい。「ハッチポッチステーション」で、『銀座カンカン娘』が流れたのにはのけそった。マニアックとは聞いてたが、親の世代だってそうそう知らんだろうに。
 カラオケなどでは「歌・高峰秀子」とだけしか紹介されていないが、オリジナルはもちろん、高峰秀子・灰田勝彦・岸井明によるトリオ曲なのである。で、「ハッチポッチ」でもちゃんと三人の人形がパートを分けて歌っているのだね。
 ……マニアックどころの話じゃないな。これはもうグッチ裕三というか、スタッフの趣味のみで成り立ってる番組なんだろうな。

 ちなみにオリジナルの映画『銀座カンカン娘』は、戦後間もないころのモノクロ和製ミュージカルです。
 ミュージカルったって、アメリカみたいな豪華絢爛なものが作れる時代じゃないですからねえ。物語自体、開き直って、貧乏画学生が金稼ぎにバイトしまくるという話だったりするわけです。
 だいたい、一応当時のスターであるデコちゃんと灰田勝彦がですよ、田圃のあぜ道と下宿の二階で、形だけはロミオとジュリエットよろしく恋心を交わし合うのだけれど、歌の内容はというと、「デートしようよ〜」「お金がないからできないの〜」ってんですから。こりゃもう、抱腹絶倒のものですがね。
 世界でもっともビンボったらしいミュージカルですが、何がすごいって、ラストくらいは豪華にシメるかと思ったら、古今亭志ん生の落語で落としちゃうんだから。
 貧乏を僻まずに「まいっか」でカラリと仕上げてるセンスがいいのですね。こういう映画がもっと評価されないと、日本のギャグシーンの未来はお寒い限りなのであります。
 監督島耕二の代表作、名作の誉れ高い『風の又三郎』よりも、こちらのトンデモ映画の方だと私なんぞは思ってるんですが。


 CSファミリー劇場で、『美少女仮面ポワトリン』や、安達祐実版『ガラスの仮面』の第1回などを録画しながら見る。
 『ポワトリン』は面白い、という評判を聞いたのが放送後期だったので、初期のころのは殆ど見ていないのだ。
 当時は鈴木清順がなんでこんなのに出演してるんだ、と疑問に思ってたけど、脚本家の浦沢義雄さんつながりだったのだね。
 しかし、異カタルで温泉治療に来ていて働けないから、自分の代わりに行きずりの女の子をポワトリンにし立てるってのは神様もかなり極道(^^)。しかも「ポワトリンの秘密を喋ったら、カエルにしちゃいますよ」って、脅迫じゃん。
 蛍雪次朗さんのディアブルは第1回のころはまだ登場していないのだね。入院中も録画しておいてほしいのだけれど、しげ、ちゃんとやってくれるかなあ。
 これももう十年以上前の番組なのだと思うと昔日の感。主演の花島優子ちゃんもとうに引退して一児の母だって言うし。
 ……そういえば『トトメス』の堀川早苗は今どこで何やってるんだ?


 選挙戦のニュース、当日を別にすれば今日あたりがピークか。
 ニュース23で最後の党首討論、という特集を組んでいるが、昨日、小泉首相がどこぞでの演説でうっかり失言しちゃったという「大事なのは教育ですよ。日本じゃ乞食だってホームレスだって字が読める」ってことに突っ込み入れる他党首は誰もいなかったな。
 森首相の時なら格好の攻撃材料だったろうに、結局「人気者に逆らうと損」とみんな考えながら「自分のほうが傷つかない」質問を繰り返してるだけなのだよなあ。
 確かにね、靖国参拝問題について、土井さんは小泉さんに「参拝すべきでない」と意見言ってるように見えるよ。でも、それは本当に「戦争反対」の理念に基づいた意見だと言えるだろうか。
 「靖国参拝は侵略戦争の美化」って言うんなら、首相の参拝がどうのこうのという前に、どうして靖国神社そのものを廃社にせよ、と言わないのかな?
 社民党を含めた野党も、また「靖国とは別の慰霊墓地を」と主張する公明党も、ひいては中国も韓国も、「存在を認めて参拝を禁ず」と、奇妙な主張を続けているのである。その矛盾の意味を考えずに靖国参拝は是か非かを問うても意味はない。
 あの戦争が「侵略戦争だった」と本気で主張したいのなら、従軍兵士たちは、たとえ「戦うしかなかった」立場であったとしても、みんな戦争犯罪者であり加害者だろう。A級戦犯も一兵卒もそう考えれば立場は同じである。合祀していることが問題なのではなくて、「祀る」こと、「慰霊」すること自体が誤りだ、と主張すべきなのだ。
 なのになぜ誰も「靖国廃止」を唱えないか。

 「靖国」がなくなったら日本を叩ける材料が一つ減るでしょ?

 日本叩きしか考えてないバカの報道をしてるのはもっぱらテレビであって、新聞各紙によればバカを尻目に日韓交流を図ろうとしている民間の団体や学校は多いようである(ホントにテレビはそのことをなぜ報道しないか)。
 たいした心配もないのに、さも不安を煽りたてるようなマネをするのは「煽動」と言わないかな? 日本国内になにかのパニックを起こさせたいのか? 「煽動」の恐ろしさは、流言蜚語が関東大震災時の朝鮮人虐殺につながったことを考えてもわかりそうなものだがねえ?
 実際、日本のどこがどう軍国主義化してるというのだ。「先祖の御霊を祭る」なんて殊勝なこと考えてる日本人なんて殆どおらんぞ。ましてや靖国に毎年参って、「いつかは中国朝鮮を日本が侵略しますから」とか誓ってる奴なんぞおりゃせんわい(0じゃないかもしれんけど、国政を左右できるほどではないことは自明)。
 そんなやつらが大量いるかのように勝手に決めつけてること自体、偏見と差別以外のなにものでもない。そんな証拠が具体的にあるんならあげてみろってんだ。
 このままいくと、『オトナ帝国』のような映画が作られているのが復古イズムの象徴だとでもあのバカどもは言い出しかねんな。



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