無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年03月06日(火) 優しい夫ごっこ/『真・無責任艦長タイラー2 奮闘編』(吉岡平)ほか

 夢の中で女房の白髪を抜いている。
 昨日全部抜き尽くしたはずなのに、なぜかまた固まって天頂から生えているのだ。しかもさっきまで黒々としていたはずのところまで、私が掻き分けると白髪が五、六本、固まって見つかる。
 もしかしたら私が掻き分けるから増えるのか? このまま女房がどんどん白髪女になったらどうしよう……と考えていたところで目が覚めた。
 あまり波瀾万丈な夢を見るほうではないのだが、それにしても小市民的な夢ばかり見るものだなあ。
 でも女房はしょっちゅう「私のこと夢に見ないの?」と文句をつけていたので、きっとヨロコブことであろう。……天頂しか見えなかったが。

 芥川龍之介『河童』『桃太郎』、再読。
 ……のはずなんだが内容まるっきり忘れてるな。『河童』の構成、昔から東宝特撮怪奇映画『マタンゴ』とよく似てると思ってたんだが、あまり誰も指摘してないな。精神病院の患者の語る話、ってパターン、いかにも多そうだもんなあ。もっと昔に、外国の怪談小説あたりで元祖的なものがあるのかもしれない。
 エドガー・アラン・ポーにそんなのあったような気がしたけど忘れた。『メエル・シュトレエム』だったっけか?
 『桃太郎』は太宰治の『御伽草子』よりよっぽどキレのいい現代批評になっている。何の罪もない鬼を、自分が「桃太郎である」という理由のみで殺戮した男の末裔は、現代にもまた……。あっ、これって怪談。
 こないだ読んだ『妖怪馬鹿』でも語られてたが、芥川は大正期の「隠れ妖怪オタク」だったのである。新現実主義なんて名称、誰が考えたか知らんが、芥川を括る言葉としてははなはだ不適切だと思うんだがなあ。

 『剪燈新話』、再読。
 『怪談牡丹燈籠』のもとネタが載ってる本だが、はっきり言って原話はつまらない。書いてあるのはただのできごとだけで、行間に漂うムードってものがないのだな。女幽霊に取り殺された男もまた幽霊になって祟るけど、高名な道士に捉まえられるって、『霊幻道士』じゃん。
 『棠陰比事』、再読。
 昨日、大岡政談を読んでいて、多分この辺にもとネタがあるんじゃないかと調べたら、別の死体の首を切って、自分たちの服を着せて、あたかも殺されたのが自分たちのように見せかけるトリックや、死体に偶然ぶつかった男が服に血が付いたために犯人と間違えられる話など、『越後伝吉』のエピソードがいくつも見つかる。
 『棠陰比事』自体は実録ものらしいので、リアリティがあるといえばあるんだろうけど。「左利きのやつが犯人」ネタもこんな昔からあったのか(^o^)。



 夕べ、固くなりかけたお釜の残りご飯を使って、チキンライスを作った。玉葱を買い忘れていたので、チキンとグリンピースしか混ぜてないが、結構美味しくできた。茶碗5杯分は作っていたので、一杯分ほど食べて、あとは残しておいたのだが、朝になったら量が減っていた。
 ちゃんとフタをしておいたので、ゴキブリやネズミの仕業ではない。
 もっと大きなドーブツである。
 ドーブツが「鍋の中の、もらったよ。いい?」と喋ったので、ドーブツのクセに口をきくとは生意気なと思いつつ、
 「い〜よ。おまえのために用意したんだから」と言ったら、口をモゴモゴさせていた。
 どうもまだ食い足りないらしいな、このドーブツは。
 グリンピースとチキンはまだ残っているので、この次はもっと美味しく作ってやろう。ペットを飼うのもなかなか大変である。

 吉岡平『真・無責任艦長タイラー2 奮闘編』読む。
 アニメ版や数々の外伝を経て再開された本シリーズ、結末は知ってるわけだし案外つまんないかと思っていたら、1巻2巻と脇キャラは増えてるわ、展開はシリアスだわ、斜め読みするつもりが結構はまってしまった。
 元シリーズは都筑和彦のほんわかした絵柄にやたら挿入される無責任ソングの効果もあって、スチャラカ小説の性格が強かったが、新シリーズは堂々たるドラマである。それどころか、元シリーズを今読み返すと、小説というよりただの設定の羅列、といった感じに見えてしまう。それくらい、キャラクターの描写はおろか、ドラマの盛り上げ方も格段にうまくなっているのだ。
 作家というのは成長するものなのだなあ。
 ただ、スチャラカでなくなったために、タイラーの強運がますます絵空事のように見えてしまうようになったのは誤算かもしれない。
 それにユリコさんはもうちょっと意地っ張りのままの方がいいと思うんだがなあ。
 作者がアニメ版を嫌っていたとは知らなかった。たいていの原作者はそういうものかもしれないが、あのシリーズはテレビアニメにしては相当出来がよかったのに。

 女房が仕事に出かけたあと、バソコンを扱っていると、突然メールが届く。
 Yahooオークションからの案内で、『ザ・ビーチ・ボーイズ アン・アメリカン・バンド』のビデオの落札価格を更新するかどうかの問い合わせだった。
 「ただいま3600円です。価格を上乗せされる場合は、××××にアクセスしてください」
 一瞬何のことかわからなかったが、女房がオークションに参加していたのだなと気がつく。
 音楽オンチの女房が「ビーチボーイズ」とは何事、という感じだが、目当てはまず間違いなく、ゲストで出演しているダン・エイクロイド。
 どうせ数シーンしか出てなかろうにオークションに参加するくらい欲しいのか、と思って笑ってたが、オークションの締め切りを見ると、12時まで。……今は10時ってことは……。あと2時間しかないじゃないか!
 これをこのまま放っておいては、あとで女房に何と言われるか分らない。かと言って、こちらが勝手にどんどん値を吊り上げていってもいいものかどうか……。
 これは女房に直接聞くしかないと、雨の中、自転車をかっ飛ばして女房が働いているリンガーハットまで行く。
 仕事中の女房を覗きに行くのは初めてだが、どこにいるかと見てみると、しっかり制服を着て接客している。……それにしてもあの制服、サイズが小さいんじゃないか? やたらピチピチして見えるぞ。
 女房、私の姿を見て、一瞬眼を丸くするが、何事もなかったように応対。
 「いらっしゃいませえ。ご注文を受けたまわります」
 「君が欲しい」
 いや、言わないけどね。店に来た以上は注文しないわけにもいかないので、皿うどんを頼んで、ついでにこっそり、
 「……オークション、どうする?」と聞く。
 女房、声に出さずに首を横に振る。
 「いいの?」
 眉間にシワを寄せる女房。これ以上声をかけてくれるな、ということのようだ。
仕方なく、うどんを食って何事もなかったかのように帰宅。
 ところが、ものの30分もしないうちに女房も帰宅する。今日は早帰りの日だったようだ。
 「中古屋だったら1000円もしないものに4000円も払わないよ」
 ……あっそ。
 慌てた私がアホやんか。
 でもこんな些細なことで飛び出してくる夫に、少しは愛情というものを感じてもらえたらいいな、って思うんだけど、記憶力のない女房のことだから、どうせ明日にゃ忘れちゃってるんだろうなあ。ふん。

 ポストにワーナーからの封筒が入っている。
 開けてみると、中にはミュージックカード1000円が。そう言えば「ウィンターキャンペーン」とかで、DVDについてたシールを3枚一口で送ってたな。クジ運がないことで有名な私によく当たったもんだ。
 ちなみに3枚のDVDとは『アイアン・ジャイアント』『オズの魔法使い』『バットマン マスク・オブ・ファンタズム』である。なんでそんなん買ったってのも混じってるかな?
 ふと思い出したが、今朝の星占い、山羊座は最高じゃなかったかな。……つまり私の「最高」ってのはミュージックカード1000円分なわけね。……ぐすぐす(T_T)。



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