無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年02月15日(木) 携帯綺譚/『雨柳堂夢咄』5巻(波津彬子)ほか

 朝の「めざましテレビ」で、宇多田ヒカルの新曲披露。
 わはは、また同じ曲だ。
 こういうハスキーヴォイスの持ち主は、従来シャウト型の歌い方をさせることが多かったが、切なげに抑え目に歌わせたことがヒットの理由の一つだろう。これだけ売れてるとハッキリ言うやつがあまりいないが、彼女の歌い方、あの短く切った間の取り方も含めて、実はヨガリ声の発声と同じなのである。
 私同様、なんだ毎回同じ曲じゃねえか、と悪口言ってるやつは多いが、同じ声を出してくれるからいいのですね、ああいやらしい。
 プロモーターは親父のほうかお袋の方か、まだくっついてんだか別れてるんだか知らんが、自分の娘の「魅力」と「売り方」が何か、よく知っていることではある。親としての人格を多少疑いますけど。
 だから実を言うと、宇多田の曲もちょっと集めてみたいのだが、家庭争議のタネになりそうなので諦めます(^_^;)。
 世の女性諸君、あなたがたの彼氏が宇多田を熱心に聞いていたら、それは浮気願望の表れなので注意しましょうね(^o^)。

 舞台公演の連絡用に携帯電話を買いはしたが、もともとそんなにほしかったわけでもないので、充電器に差し込みっぱなしで仕事に出かけることも多かった。
 すると女房が怒るのである。いざというときに連絡が出来ないじゃないかと。
 いざってどんなときだよ、と突っ込んでやりたくもなるが何か縁起でもないことを言い返されそうなので言わない。あまりうるさいので、二、三日前から仕方なく胸ポケットに入れて持ち歩くようにしていたのであるが。
 今日突然、仕事中に携帯が鳴り出した。
 うわあ、冗談じゃないぞ。具体的には書けないが無茶苦茶ヤバイときに鳴り出したのだ。慌ててスイッチを切るが、いったいどこのどいつがかけてきたのだとディスプレイを見てみるが、買ったばかりで操作の仕方がよくわからず、どうやら留守電を入れているようなのだが、メッセージを聞き取ることも出来ない。
 女房か親父がかけてきたのかと一瞬思ったが、こちらが仕事中なのは当然知っているはずである。緊急の用事なら職場にかけてくるはずだ。
 どうにも腑に落ちないまま帰宅して、女房に、「今日、電話かけたか?」と聞くが返事はNO。
 女房にメッセージを聞いてもらうが、口元が妙ににやついている。
 「……どうした?」
 「……ねえ、コンドーってヒト、誰?(^^)」
 「コンドー? 知らんなあ」
 「あんたを待ってるって」
 ひ、ひええええ、こ、これは私が一番恐れていたたぐいの間違い電話?
 慌ててどんなことが吹きこまれていたか聞き返す。
 うげげ、若い女の声だ。
 「……コンドーです。今、××まで来てます。電話に出られるようになったら、教えてください」
 えらく気さくな口調だ。名字で名乗ってはいるが、本来の電話の相手とはかなり親しいと見た。相手も恐らく仕事か何かで手が離せないのだろう、事情はちゃんと分ってます、と言いたげな雰囲気だ。もしかしたらアフターファイブでは愛称で呼びあってる間柄なのかも。××ってどこだ? どうも女は車で移動しているらしいが、こんな昼日中から何の目的で会おうというのか。
 いや、今は謎の女の正体を推理したってしようがにない。きっと女房は誤解をしている。ああ、これだから携帯なんて持ちたくなかったんだ。
 と、やや混乱しつつ女房を見ると、意外にも平然としている。
 「間違い電話でしょ?」
 「う、うん、間違い電話だな」
 「……携帯、充電しておくね」
 そう言って、何事も無かったかのように充電器に差しこむ。どうやら私はちと神経質になっていたようだ。考えてみりゃ、平日の昼間に浮気する時間なんか取れるわきゃないし。
 ホッと胸をなでおろすが、ああ、でももし今度、休日の昼間にでも、「まだですか? ずっと、ずっと待っているのに」なんて間違い電話がかかってきたらどうしよう……(・・;)。
 それにしても昨日の桜雅嬢の間違い電話といい、携帯族はやはり相手のことを考えて電話してほしいと切実に思うぞ。今の携帯の普及状況、便利さに甘えてるようにしか私には思えぬのだ。

 波津彬子『雨柳堂夢咄』5巻、おお、ついに波津さん「化けた」な。これまでの四巻、無理矢理作ったような不自然さの目立つ話も多かったが、今巻には一切ない。珠玉の名編ばかりである。
 骨董不思議話、という程度の認識しかなかった初期作品に比べ、シリーズが軌道に乗ってきて、作者が「これはものを通じて人と人の縁(えにし)を描いていくのだ」という明確な意識を持ち始めたのが成功の理由だろう。
 釉月(ゆつき)という少女を登場させたことで、煮詰まりかけていた贋作師・青二郎のキャラクターに一気に広がりが生まれてきた。いいなあ、釉月ちゃん。「もの」の心を読み取る不思議な手の持ち主、という設定もいいのだけれど、陶芸家の修行のために男の子の格好をしている、というのもタカラヅカの変形ではあるがたおやげでよい。
 実はこの少女、青二郎の義理の姪にあたるのだが、さて、この因縁深き二人、今巻では未だに出会っていないが、いつの日か出会う日はあるのか。そのときの雨柳堂の役割は……と興味は尽きないなあ。うまいこと話が転がり始めたら後は勢いに乗るばかりである。
 そして、今巻中の『籠の中の鳥』と『花野』の二作は、波津さんの作品としても最高傑作であるのみならず、少女マンガの歴史においても最も完成度の高い幻想譚である。そこにいない鳥かごの鳥を見ることのできる少女の「思い」は、少女が運命に翻弄されるたびに揺れ動いていく。一度は見えなくなった鳥の姿が再び見えるようになった時、その「思い」はどう変わっていったのか、それとも変わらなかったのか。ああ、駄目だなあ、こういう切ない話読んでると文章まで少女趣味になってきちまうぜ。
 いや、好きなんだけどね。
 ……次巻も期待して読もう。

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 NHK教育の『天才テレビくんワイド』、ちょっと前から『魔界探偵』というのを放送している(再放送らしいが)。下手な大人ものより、子供向けに作られたものの方が良質な番組が多い昨今(私は『名探偵コナン』など結構けなしていたりするが、もちろんある程度以上の水準作であることを認めた上で「今回はちょっと……」と言っているのだ)、意外といい出来かも知れない、と思って本格的に見てみた。
 ただ、今回が第2回、残念ながら第1話を見逃しているので、設定がどうもよく分らない。主役の子供たちの周りにいる修験者風の男女は誰なんだ。妙な格好でうろついていても誰も疑念を持たないから、女房などは「あの人たち、主人公たちにしか姿が見えないの?」と首を傾げていた(どうやら式神らしいな)。世間的にはこの二人が人気で大人のファンもついているようだ。でも役名が玄武(伊達直斗……マスクはかぶらない)と朱雀(谷口絵梨……おお、なかなかの美人)って、モロだな(^o^)。
 「魔界(?)」にいるらしい王朝風の狩衣を着た子供たちはいったい何者なのか。過去の人間にしては喋り方が現代っ子である。単に昔言葉だと視聴者のお子さんに分らんということでそうしたのか、それとも魔界にいながら現代語の勉強でもしていたのか。ううむ、せめてオープニングで設定を語ってくれる『コナン』程度の演出はほしいぞ。
 でも話自体は決して手抜きをしていない。今回の事件は機械的なトリックであったが、私は別に機械的トリックよりも心理トリックの方が上という立場はとらないので文句はない。ただ、犯罪は人間の心に取りついた悪霊が起こさせるもので、そのモンスターを封じて終わり、というのにはいささか苦笑。……そんな力持ってるんだったら、ミステリ仕立てにせんでも犯人が誰か透視できる力くらい持ってないのかと言いたくなるが。
 なにしろ、この物語の真の探偵役はCGで作られた安倍晴明なのであるから(^o^)。そりゃ、万能だわな。この辺の設定をアザトイと見るか、盛り沢山と見るかで、評価のし方は変わるだろう。
 でも充分、制作に力を入れている番組だと言っていいのではないかと思う。今回もゲストに北原佐和子・片桐はいり・渡辺哲・中島陽典など、結構豪華な人を呼んでいる。北原佐和子など、アイドルの頃は「グラビアはともかく、喋らせると個性も魅力もない」と酷評されていたのに(『夏の秘密』なんて、ミステリって言うより主役の女の子の水着を見せるだけの目的で作られた映画にも出てたな。いやもう、このときの演技が超ダイコン。誰か知ってるやついるか?)、中年になって、確かに多少くたびれてきちゃいるが、その中に女の芯の強さと言うか、細やかな情を表現できるようになってきた。……人間、変われば変わるものだねえ。

 森総理の退陣、どうやら避けられないような雰囲気になりつつあるようである。日本の政治家は政策の失敗の責任を取る形でなく、たいていは人気取りの失敗で引き摺り下ろされるのが常だから、これまでは失言こそ多々あるものの、味方も多かったために何とか持っていた感じであったが、そろそろ「愛想が尽きた」という仲間も増えてきたのだな。まさに沈む船から我先に逃げ出すネズミである。
 それにしても日本人を誘導するのは簡単なものなのだなあと思う。若者の政治離れを嘆き、「選挙に行こう」なんて言ってるオトナたちだって、結局は情実で動いているのだ。要は大衆の情を動かすことができれば、事実の解釈も自由自在に操作できるのである。「神の国」では辞任に追い込めなかったのに、「事故時にゴルフしてた」ということで辞任させられるとしたら、それはそれで大衆の危機管理意識の方がもともと低いと言えるんだが、今回の件ではそれを大衆に感じさせずにうまいこと森総理の問題としてスライドさせている。
 だから「トカゲの尻尾切り」は、日本の場合、下っ端だけが被るものではないのである。私ゃマスコミのインタビューに「森さんにはすぐ駆けつけてほしかった」と答える被害者のほうが怖いよ。マスコミがそう誘導して答えさせたのは分るが、事故にあってる最中に当の被害者が総理のことなんて考えてる余裕あるわけないじゃん。被害者もよく自分が誘導されて言ってるってことに気づいてないんだろう。怖い怖い。
 第一、森総理が辞任して別の総理に代わったって、日本人の平和ボケが治るわけでもないのに、なぜそのことに言及する識者がいないのか?(でもだからって森でいいと言いたいわけでもないが) はてさて、自らの責任を一人に押しつけてノウノウとしている本当の卑劣漢は奈辺にいるのやら。

 ホームページを立ち上げると決めてから、日がな一日パソコンの前に座りっぱなしじゃないかと女房が文句を言う。日記を書くだけで何時間もかけてどうするかと。そりゃまあ、一気に書くんだったら、小1時間で書けちゃう分量ではあるが、テレビやビデオを見、考え事をしながら書いているので、別に無駄な時間を過ごしているつもりはないんだけどな。
 それに今は小説やマンガを読んだ感想も映画の感想も全てこの日記にアップしているが、ホームページを立ち上げたらそれぞれコーナーを作って分戴するつもりである。そうすりゃ今日の日記などは半分に……ならんな(^_^;)。
 何とか時間を有効に使うしかないかな。

 晩飯はコンビニで買ってきた麻婆豆腐にねぎま。給料前なのでささやかである(^_^;)。また風邪引いちゃったし、誰か差し入れ持って見舞いにきてくれ(^o^)。



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