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■ こんなにせつない夜に。
ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』をフジコ・ヘミングが奏でると、どうしてかこんなにうつくしくせつなく愛おしくなる。
こんなにせつない夜。哀しい一日だった。 怒り、憎しみ、信頼と裏切り。 思い出、過去。苦しみのなかにいる。
それらが一緒くたになると、ハラレの夜のなかで「せつなさ」と「哀しみ」と混ざり合ってひとつの複雑な色になった。
わたしはいつもあまりに感情的で、一気に駆け上るような感情が自分を支配し、やがて押し潰されそうになる。そうしてたまったあまりにも激しすぎる感情を抑えきれずに、怒り、もがき苦しむ。
でも、この夜の「せつなさ」はあんまり苦しくて、小さな部屋に重たい哀しみが詰まりすぎて、夜が暗すぎて、その空気に触れた瞬間に泣きながら投げ出したくなった。その「怒り」を。「憎しみ」を。この夜にふさわしくないすべてのものを。
泣くものか、と。
必要なことを必要な分量だけ選んで語り伝え、適切な量の時間が満ちたとき、わたしはかばんを取って席を立った。あまりに哀しい仕種だった。 タバコの煙が、灰皿から細く頼りなく立ち上っている。
人生で、このような種類の哀しみとせつなさに出会ったことがあったろうか。深く傷ついていて、心がずたずたで。
あふれんばかりの感情を、そこを離れた瞬間まで抑えていた。 あまりに哀しくて。去り行く車の中から、後ろを振り返った。
やっぱり泣いた。 すごくすごく哀しい涙だった。
夜の街が、流れていって。ハラレの夜のなかで。
2006年12月11日(月)
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