2001年12月12日(水) |
ドラゴンクエスト4小説・10年の先にあるもの(前編) |
なんだか、眠れない夜だった。私はベッドを抜け出し、隣で眠る妻を起こさないように、そっと寝室を出た。 寒い夜だった。隣室の明かりをつけ、ヒーターとテレビとプレイステーションの電源を入れ、私は座り込んだ。 ドラゴンクエスト4。このゲームをプレイするのは10年ぶりだった。 ファミコンという、今から考えれば原始的ともいえるゲーム機で発売されたのが11年前、そのころ私は大学受験にいそしんでいた。 周りに遅れること一年、当時から考えれば革命的ともいえるそのゲームに私はのめりこんでいた。
あのころを思い出しながら進めていく、最新版のドラゴンクエスト4は、やはり私をのめりこませていた。 しかしその中で、私は妙な違和感のようなものを感じはじめていた。 それはいくつかの新システムのためではなく、音楽の質や画像の質から来るものでもなさそうだった。 あの時と同じ話の筋を追いかけていけばいくほど、その違和感のようなものが私にのしかかっていった。
ロザリーの涙。
ピサロの怒り。
私の中に浮かんだ、違和感のようなものの正体は、おそらくその辺に見えてきそうな気もしたが、それを深く考えるまでにはいたらなかった。
その夜、画面には、復讐に燃え自らに究極の進化を課したピサロの姿が映し出された。 異形の者へとその姿を豹変させていくピサロ。私はすごいな、と声をあげた。 そしてそのとき、私は自分の発した言葉に驚いたのだった。
すごいな。
10年前の記憶が突如よみがえってきたのだ・・・。
※ドラゴンクエストファンサイト「DQ4攻略FAN」に投稿した作品。
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