ささやかな独り言。...琴代 諒

 

 

御題場様より 16の御題その2 - 2010年06月15日(火)

御題場(http://v7.mine.nu/lyric/)様よりお借りしました、16の御題その2を昇華です。
なお、御題場様は既に閉鎖か移転なさったご様子で、自分が控えていたこのURLではたどり着けなくなっていました。
また、この御題の配布元・リンク元が違うなどありましたらご報告ください。何せ数年前にお借りしたので、申し訳ない事に少しあやふやです・・・。




01 教会
きょうかいは、「かみさま」のおうちなんだそうです。
きょうかいは、いろんなところにあります。
せかいじゅうにおうちがある「かみさま」は、とてもおかねもちなんだとおもいます。


02 墓標
薄いレースカーテンの向こうから 強い陽射し
閉じた窓の外は 蝉時雨
クーラーが無いから 扇風機を回して
汗ばむのも構わずに 抱き合った

薄く小さい手を握り締める 大きく厚い手
薄い唇に触れる 厚い唇

左胸に小さく残った 紅い花弁
少しだけ思い出す 幼く愚かで可愛らしかった頃
左胸に小さく残った 紅い墓標


03 掃溜め
背の高い灰色の建物が並ぶ
隙間は乗り物と人でごった返す
色々な灯りが きらきらする
空は 薄い薄い 青灰色
土台色の灰色に たくさんの色が散る
驚くほどたくさんのものが ひしめいて
涙が出るほど 綺麗
なのに僕の居場所は見つけられずに
僕は街の片隅で小さくなって塵になる


04 磔
お願い
あたしを ガラスケースに閉じ込めて
優しく ピンを刺して
そっと 薬を打ち込んで
がんじがらめにして
もう 何処にも行けないように
そして 独り占めして
ずっと 愛でていて
これ以上 醜くなる前に
綺麗に 磔にして
がんじがらめにして
永遠に 離さないで


05 殺害
気の弱い君は すぐ「ごめんね」と言う
僕は 自分の我侭や無神経さを見つけ
結局 「ごめんね」を言った君に「ごめんね」を言う

謙虚な君の根底には劣等感が棲んでいて
「ごめんね」は本当は謙虚ではなく劣等感

君の全部を護りたいのに
僕まで 君の劣等感をかきたてるのかな

気の弱い君は すぐ「ごめんね」と言う
君が「ごめんね」を言わなくても良いように
僕は自分を絞め殺す


06 彼岸花
此岸に在り乍ら 彼岸の名を持つ
赤く凛とした姿の植物に
其れでも 此岸を見出すのは
単に 其の赤さ故か 哀しさ故か。

此岸に在り乍ら 彼岸の名を持つ
赤く凛とした姿の植物に
初めに其の名を与えた人間は
至極真っ当で自然な眼を持って居たのだろう。


07 手首
薄く白い膜の下に蔓延る 青い根
養分は充分に届いているはずなのに
青い根の何処にも花は開かない
切って手入れをしてあげればよいのだろうか
だけど 切れる所は何処もない
膜の下は常に暖かく保っているのに
どうして 花は何処にも咲かないの?

切って手入れをしてあげればよいのだろうか


08 欠如
食事をして 働いて 眠って
そうして毎日繰り返して過ごしていく
毎日 微笑んではいるけれど
心の底から笑うには
本当に笑うには

ただ 貴方が足りない


09 悪戯
それは ふとした出来心
貴方と抱き合って
貴方とキスをして
貴方の体に 他の人の跡を見つけて
最初から 私が日陰なのは判っているけれど
他の人の跡の上から
紛れるように 馴染むように
私の跡を 小さく残す
それは ふとした出来心


10 羽根
うつぶせの貴方
むき出しの背中に もたれかかって
肩甲骨に 静かに唇を落とす
明日貴方が この羽根で飛べますように
ずっと貴方が この羽根で飛べますように


11 空の色
真っ黒な雲が空を覆って
降り出しそうだと思った時には
もう 大泣きの雨
たくさん泣いて 落ち着いて
そして また笑えるようになったら
空はどこまでも 綺麗な青


12 罪
ごめんなさい
本当は
貴方の事も大好きだけど
本当に好きなのは
自分なのです
自分が一番で
貴方が二番なのに
貴方のそばに居て
貴方が一番だと嘘を吐いて
そうして死ぬまで過ごす私を
どうか許してください


13 帽子屋
陽射しの中を歩くのが辛いなら
どうぞ こちらで帽子をお求め下さい
全てを見透かす光から
せめて貴方の顔だけでも逃がせます様
どうぞ 帽子をお求め下さい

私のこの帽子は売り物ではなく
光から 貴方から 少しでも顔をそらすためのもの


14 漆黒
夜の海は
ただただ暗く
ただただ黒い
こんな闇の中に生き物がいるなんて
地上の生き物は
この黒に耐えきれなかった
今の私のような生き物


15 明けない夜
貴方と体を合わせる度
このまま 朝がこなければ良いと
ずっと 明けなければ良いと
暖かく眩しい陽の光も
朝を告げる鳥の声も
貴方と過ごす私には憎いだけ


16 不眠症
貴方の笑い声が聞こえる度
貴方の話し声が聞こえる度
私は隣の部屋でうずくまって
耳を しっかりと塞ぐのです

私が寝てしまったと思っている貴方が
私にはくれない笑い声や話し声を
夜になると毎日のように
知らない誰かに電話越しに与えるのを

私は 聞きたくないのに聞いてしまう
眠りたくても 眠れないので




...




My追加

 

 

 

 

INDEX
past  will