2001年02月06日(火)
昼間は美術の授業で使われている四階の美術室。隅には美術部員の画板や絵の具が無造作に転がっている。
少し狭くて、普段は授業中もひっそりとしている。
其処に漂う雰囲気はどこか静謐としていて、時が止まったようだ。
美術室の大きめの窓から見える空は、校舎のかげをかぶっていない。
どこまでも広がる空だ。
天気の良い日は、美術室の壁一面が青空に染まる。
差し込む光が、石膏に落ちた時、美術部員は溜息をつくという。
そんな、青空と太陽の光にあふれた空間が、美術室だった。
晴れた放課後。部活のない日。
彼らは其処に姿を現すという。
空を飛びたい少年達。
飛べると信じて、空へ両手を広げた。
彼らが空を飛べたのはほんの一瞬だけ。そのあとは。
その体が地面へ叩き付けられた後も、彼らの心はその一瞬の空にある。
飛びたい、あの空を飛びたい。
その瞳に映るのは、青空だけ。
そして、そのまま彼らの心は美術室に残っている。
誰もいない晴れた放課後、彼らは此処に姿を現す。
一番美しい青空を見るために。