オミズの花道
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『 最近頭に来た話その2・後編 』
2004年06月18日(金)


さて、このマネージャー。
初日にチーフに連れられて私のお客様のお土産を買いに行ったのである。
『なおさんのお客様のお土産はだいたいここだから。』
と、お店の場所は勿論、お土産の取り合わせもこうだから、と商品の内容までチーフが教えてくれていた。


で、その翌々日。初日と同じお客様がいらした。
この方は例の新幹線で通ってくださる社長でタイムリミットが早い方なのだが、大阪におられる時は10分でも30分でも顔を出してくださる。
故に私はいつも、この方のお土産はお顔を出されたなりクロークに頼むのだ。

この日もそうして私は席に付き、接客をこなしていた。
チーフはマネージャーにお遣いを頼み、私は彼に財布からお金を出して、念のためにお土産商品の確認をもう一度して送り出した。

そしてそのお客様のチェックが入り、クロークに伝えるとマネージャーがまだ帰って来ていないんです、とチーフが申し訳無さそうに私に告げる。
はあ?なんで?だって随分前に出たでしょう?おかしいじゃない。・・・・なんてやり取りをしてると店の電話が鳴る。

マネージャー君、のんびりと『どれとどれでしたかね?』と聞いているらしい。応対しているのはチーフ。私はすでに切れかかっていて、何でもいいから早く持って来て、と横で言う。
あの店なら走らずとも5分もあれば帰って来れる。今ならまだ間に合うだろう。
・・・・と、思っていたのにこれが帰って来ない。あんなに急ぐように伝えたのに、それでも帰って来ない。連絡も無い。そのうちお客様はタイムリミットがあるのでもう出られてしまった。


見送りを済ませ、青筋立てながら店内に戻ると奴はまだ戻っていない。
と、思ったら背後からドアを開けてマネージャーが帰ってきた。
怒りたいのは山々だが、取り敢えずパンをひったくって御堂筋に向かってダッシュする水上。今ならまだ、タクシーに乗る社長を捕まえられるかも知れない。

幸いにもお土産をお渡しすることができ、はあヤレヤレ、と思って歩いて帰ろうとしたら、別の自客がまだ店内に居ることを思い出しまたダッシュ。
10センチヒールでデカイ女がダッシュ。往復ダッシュ。
見ている人は怖いし、さぞかし迷惑だろうなあと思いながら。


残った方のお客様はご機嫌が悪い。そりゃそうだ、口座の私が長々席を外しているのだから。ご来店されてからまだそんなに経ってないのにもう帰るとチェックを入れていた。
裏で起こっている事情を知っているお姉さん方が繋いでくれていたのだが、それももう限界が来ており、危うくお客様の怒りが怒髪点に達する所だった。

クロークでそれを聞いた私は化粧直しもそこそこに席に向かう。怒られることを覚悟しながら。だがそこで髪の毛を振り乱し、息を切らせた私が席に現れたので、お客様の方がかえって心配して下さり気を使っても下さった。
申し訳ない。こんなんだったら怒られたほうがマシだ・・・・。


そのお客様を見送って、店内に帰りほっと一息。
そこでマネージャー君が『なおちゃん、すいませんでした。』と声をかけてきた。
ぷちぷちどかん。水上の堪忍袋の破裂はクロークにオーナーママやチーフや社長が居ようが、止まる事は無い。

『なんでそんなに使われへんねん、あんた!
 たかだか歩いて5分の店に物を買いに行くのに、
 なんでこんなに時間がかかるんや!
 待機中にくだらん愛想振る前に、
 一度人に教えられた事は身に付けぇや!
 あんたは接客業でメシを食う気なんやろ!
 それやったら狭い新地の地図くらい頭に入れとけ!ボケ!』


広めの店で良かった。
賑わっていて良かった。
普通ならここまで言えない。


オーナーママも私が怒ったのを初めて見たらしく(そうだったかな)ちょっとビックリしている。まあいいや。なんて思われても今回は引き下がらないぞ。
当のマネージャーはオロオロとしながら裏へ消えていく。35歳の行動とは思えないみっともなさ。若造の黒服ならまだ見込みもあろうが、35歳にもなってこの態度ならもう見込みなし。怒るだけ労力の無駄である。

そう思った私は、切り替えて忘れる事にした。
楽しく接客をして、存分に働いて家に帰る。


翌日、出勤するとマネージャーがまた謝ってくる。
『なおさん、昨日はすいませんでした。』と。
・・・・。
・・・・。
ほう。昨日までは『なおちゃん』だったのに今日から『なおさん』かよ。
つまり昨日までは私の事は見くびってたわけね?

なるほど。そりゃあ尚更気にいらねえな。
私はこういう奴が一番嫌いだ。
あまりにも頭が悪すぎる。


『あ〜はいはい。もういいから。頑張んなさいよ。』
馬鹿を相手にしている暇も無いし、労力が勿体無い。

こうなると私にとって彼はアウト・オブ・眼中で、どういう行動をしようと一切気にならない。無視をするという高尚な行為も無くなり、私の中で彼は玄関マット以下の存在になっていく。
冷たくて陰険なのだ、私は。


で、その3日後。彼は突然店を辞めてしまった。
何でもあるお姉さんを怒らせ、また叱り飛ばされたらしい。

『へえ。なんで辞めたの?』そう聞く私に社長は言い難そうに答える。
『う〜ん、ここは姉さん方が怖いんだってさ。』と。

『ふ〜ん。うちみたいな生ぬるい店でそんな事言ってたら、
 他所ならどうすんのよ、ねえ?』
『ねえ?もっと厳しいのにねえ。』

『私がキレたせいかな?』
『いいんじゃないの?後から聞いたら・・・・お土産事件の日、
 他所の黒服と喋ってて遅くなったみたいだから。』


『にゃ、にゃんやとぉぉぉ〜〜〜?
 あ、あのバカ。呼び出せ〜!殴らせろ〜〜〜!!』
笑いながら言う私。

と、後ろからお姉さんが来てドスの効いた声で私に一言。
『その時は私も行くから呼んで。あのアホ、許さん。』

その後社長はそのお姉さんに拉致された。

黒服の面接は社長がするので、こんこんと説教でもされるのだろう。
しぼってやって下さい姉さん。バカは雇うなと。

あれからまあ、のんびりと事は運び順調に行っている。
頭にくる事も、そんなにあるわけではない。


もともと私は温厚なのですから、怒る事は少ないのです。


え、ホントですから。
えっ。






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