オミズの花道
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『 いきなりのキスと入院 』
2004年02月12日(木)


入院しているお客様からのメール。
をいをい、病院で携帯電話はマズイでしょう。
退屈なのは解るけれどね。

だけど、少しホッとする。
退屈なくらい元気なら、それはそれでいい。


この人、お店では私の兄扱いの人。
最初は気難しい人だなと思っていたのだが、同じようなお名前だったのと(それで兄)何となく肌が合うので、何度か顔を合わせるうちにお馴染みさんになった。

実際、他の女の子には扱えないタイプのお客様だ。兄ときたら機嫌が良くても無口だし、気に入らない女の子はさり気なく変えてくれと言うし、時にはもろに当たりがきつくてハラハラする事もある。
女の子は困ったりしているから私も何とかしたいのだけれど、根本的に私の口座ではないので、兄への教育的指導も出来ない。

となると必然的に二人で話し込む事になってしまって、いつの間にか兄の仕事のことや家庭のこと、過去の女今の女関係などを、何故か私如きが把握している事となってしまった。むこうはシラフなのに、私は酔っ払い。意外とキツイっすよコレ。接客する側がシラフ、ってんなら楽なんですが。


今思うと兄はこの時期からすでにお酒を絶っていたのだなあ・・・・。

そう、今回の入院は検査の為と治療の為。
治療に特殊な薬剤を使うため、体の反応に安全をはかる故、入院が必要となるのだ。

『俺や!って、解らへんくらいの風貌になるらしいよ。それから治療やな。』
そう笑っていう兄に、
『ちゃんとインフォームドコンセントしてよ、アニ。薬療法って怖いんだから。』
と答えた私。

『入院もたまにはええよ。久し振りにゆっくり眠れるんやし、好きな事するわ。』
その時はそんな風に何とも無い素振りを見せていた。


だが、お見送りの時の兄はいつもと様子が違っていた。

背の恐ろしく高い(188cm)兄に向かいながら、手を振ってありがとうと言うのがいつもの私のスタイルなのに、その時兄は突然私を抱き締めた。まさにガバッ!っという感じで。いつものクールな兄なら、大通りでそんな事はまずしない。

兄は尚更に力を込めて、ぎゅうっと包み込むように私を抱き締めて来る。
いくら大柄な私でも、190cm近い兄に力いっぱい抱き締められたら、体全体がすっぽりと納まって抵抗なんて出来ない。


そのうちに考える間も無く、兄は私の唇に自分の唇を重ねてきた。

びっくりしたが反面、その唇のあまりの温度の高さに、発熱を心配する私。
兄は唇を私の頬に寄せ、誰にも聞こえないようにそっと言った。

『ドサクサやな。』
『シラフの癖にドサクサって何よ。アニ、それより熱あるんじゃないの?大丈夫?』

兄は笑いながら呆れたように言う。
『お前って女は!!隙があるんか無いんか解らへん女やな。
 こんな瞬間に熱の心配なんて、思いっきり身内感覚やないか。
 ・・・・まあええわ。俺の入院中に変な男に喰われたらアカンで。』
そう言って体を離した。


訳の解らぬまま、兄を見送ったあと・・・・私は考えた。

兄は極端にシャイで、今までこうしたかったのにしなかっただけ、なのか?
それとも強がっていてもやはり不安で、誰でも良かったのだろうか?

・・・・どちらであっても、私にはどうしようもないのだけれど。


昨日の兄からの病院メールは4通ほどのやり取りの後、私がおやすみを言って終えた。

2通目に『今の女性とは切れた』と書いてあり、私はそれに何も言わず、40歳を前に体をちゃんと治せとか、大黒柱なんだからとか、治る為なんだからね、とかを書いて返し、少しだけ自分の恋愛感を遠まわしに、尚且つ身内感覚を強調しながら書いた。


それに対しての兄の返事は、自分の持つ恋愛感を書いて来たものだった。
・・・・一人の男として。


そういえば兄は、私を一度も『妹よ』と呼んだ事は無い・・・・。

前述のあの日の兄の態度を、そしてキスを思い出す私。


どうしたらいいのか解らない。
解らないけれど、今はとにかく治って戻って来て欲しい。

体をちゃんと治して・・・・。



後はそれから。
それからしか、進めないんだもんね・・・・。





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