ケイケイの映画日記
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2024年11月30日(土) 「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」




岡田将生、祝・ご結婚!という事で、早めに観てきました。テンポよく詐欺のあれこれをたっぷり描きながら、気骨や人情も感じさせる作品です。監督は上田慎一郎。韓国のドラマが元作です。

真面目な税務署員熊沢(内野聖陽)。刑務所を出たばかりの詐欺師のマコト(岡田将生)に、まんまと詐欺られ怒り心頭でしたが、訴えを取り下げる代わりに、熊沢が追っている脱税王橘(小澤征悦)から、金を騙し取る計画を持ち掛けられます。橘には因縁のある熊沢。手を組むことになります。

内野聖陽は、本当に芸達者だなぁ。時代劇の主役に医者に坂本龍馬、人柄抜群のゲイの男性に大学教授と、すごいふり幅。全て印象深く好演しています。今回は善良な人柄で、家庭では妻の尻に敷かれる小心者の男性です。マコトの誘いに乗った動機の演技が秀逸。サラリーマンの悲哀満点です。耐え難きを耐え、忍び難きを忍んだ経験が、社会人ならわんさかあるはず。勿論私も!あの熊沢の笑顔には、同情以上の感情が湧くはずです。

時間も二時間あるので、様々な騙しの手口を見せてくれ、小道具的な物から大規模計画まで、楽しませてくれます。私も観た、ネトフリで話題の「地面士たち」を連想させるプロットもありますが、クールな本家より、ドタバタコメディ的で、これはこれで面白い。

クールさは無い反面、人情味がたっぷり。橘を嵌めようと思った動機は、税務署員の正義感以上に、人としての良心を賭けた復讐です。よくね、「復讐は虚しさだけ。自分が幸せになる事が最大の復讐」とか言われるでしょう?私はそれ、違うんでね。完膚なきまで叩きのめす方を選びます。

軽快に進む画面を見ながら、あぁそうか、これ「必殺」なんだわと、思い至る。ちょっと世話物的で。だから犯罪なのに、悪い奴を嵌めるから、気持ち良いのよね。荒唐無稽な、ちょっと軽薄な感じを軽妙に変えたのは、腕のある出演者たちです。内野、岡田以外にも、真矢みきや神野三鈴、小澤征悦(好演!人相まで悪かった!)など、実力もある売れっ子俳優を使った事で、重厚感とは違う重みと華やかさが、画面に広がったのも、楽しめた要因です。

さて大好きな岡田君ですが、今回は苦み走ったニヒルな笑顔やコミカルなお芝居、憂いのある横顔と、顔だけで、全てを察知できるというね、ファン冥利に次尽きる役柄でした。イケメンとか軽く言うなよ、岡田君は正しくは「美しい」ですから。彼ね、こんなに美しいのに、色気は割と乏しいのな。きっと40過ぎるともうひと化けすると思うんだよ。楽しみだなぁ〜。

七人の詐欺師って、人数足らないなぁと思っていたら、あの人も。ちょっと取ってつけた感はありますが、この痛快感に免じて不問と致す。

公務員さんたちが、こういう場面に出くわしたなら、詐欺はまずしません。だからファンタジーですよ。このファンタジーで浮世の憂さを晴らして、溜飲下げましょう。プログラムピクチャーとして、秀逸な作品です。


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