ケイケイの映画日記
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2024年08月18日(日) 「もしも徳川家康が総理大臣だったら」




今お水とかお米とか、全然足りないでしょう?それ以外でも、政治には憤懣やる方ない事象がいっぱいの昨今、現実の政府への怒りが相乗効果になって、普通に面白かったです。監督は竹内英樹。

2020年、コロナ禍が世界中を襲います。大混乱の中、首相官邸でクラスターが発生、あろうことか総理大臣が急死。この難局に政府が実行したのはAI・ホログラムにより歴史上の偉人たちを復活させ、最強内閣をつくるという、前代未聞の計画でした。

日本人なら誰でも知っている、偉人たちのキャラや歴史上の業績も、スパイスとして効いており、おふざけも程ほど、ユーモアと絡めて現代の風刺となっており、匙加減が上手いと思いました。この辺は、コメディのヒット作を量産している竹内監督、手練れていると思います。

当たり前だけど、死亡時の年齢で蘇っているので、信長(GACKT)・秀吉(竹中直人)・家康(野村萬斎)の中では、信長が一番若い出で立ちです。ヴィジュアルと行動力で画面を引っぱる信長、超カッコ良くて、画面が大変華やか。現代にファンも多い信長にGACKTを選んだのは、成功だったと思います。

秀吉の竹中直人も腹黒そうで、やっぱり「あれ」は、秀吉が仕組んだ事だったかもなぁと、歴史上の風聞を思い出してみたりで、なかなか良かったです。その他、芸達者なベテランと、記者役の浜辺美波、坂本龍馬役の赤楚衛二らの若手との相性も良く、皆が皆、出過ぎず沈まず、キャラを確立したのが功を奏していました。

多分、ラストの家康(野村萬斎)の長い演説が肝の作品なんでしょうが、一週間くらい前に観ているのに、覚えていません(ごめん)。でも選挙に行かねばとより強く思った事だけは事実。私が一番心に残っているのは、龍馬の「浪人の自分でも国を動かせた。やる気があるか、無いかだ。他人に期待するのではなく、自分に期待する事」みたいなセリフです。自分に期待して、自分にワクワクするって、とても素敵な事ですよ。特に主婦は、夫の出世、子供の進学に期待しがちですが、その分、自分に期待した方が、ずっとずっと建設的だと思います。

お盆とはいえ、場内超満員で映画を観たのは久しぶりです。劇場のエレベーターで乗り合わせた車椅子の若い女性と、「面白かったですよね」と、ちょっとだけお話ししました。付き添いも無く、果敢に一人で観て、颯爽と映画館を出た彼女を、私はカッコいいなぁと見送りました。偉人たちが生きていた頃には、考えられない事です。龍馬のように、声を上げた人々のお陰です。次の選挙は通常以上に深い意味があると思うので、カッと両目を見開いて、投票したいと思います。そう思ったのが、一番収穫の作品。




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