ケイケイの映画日記
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2018年02月24日(土) |
「グレイテスト・ショーマン」 |
これも素晴らしいです!何度も書いていますが、私はミュージカルには低体温です。その私が、観た後すぐに、もう一度観たいと思ったほど。やっぱりミュージカルは、内容もさることながら、優れた歌と踊りに尽きるなと痛感しました。監督はマイケル・グレーシー。
幼い時の出会いから、身分違いを乗り越え、駆け落ち同然ながら結ばれたバーナム(ヒュー・ジャックマン)とチャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)。 可愛い娘も2人出来ました。しかし、上流階級出身のチャリティに、貧乏暮らしで苦労させている事に忸怩たる思いのバーナムは、一大決心で、古い博物館を購入します。最初は閑古鳥の鳴いていた館ですが、前代未聞のショーを上演し始めると、連日超満員に。人気劇作家で上流階級のカーライル(ザック・エフロン)を口説き、興行のパートナーになってもらいます。
とにかくゴージャス!冒頭の群舞に、早くも主役のヒューがお出まし。ヒューと言えば、ハンサムで歌って踊れて演技が出来て、そして人柄はハリウッド随一と言う御仁。冒頭からフルスロットルで歌い踊るのですから、掴みは上々以上の感触。
楽曲はどれもこれも印象深く耳に残ります。そして歌唱も、皆が皆、声量たっぷりで素晴らしい。観ながら聞きながら、こちらも運動後のように、心地よく疲労する気分。私が好きなのは、空中ブランコ乗りのアン(デンゼイヤ)とカーライルの切ない逢瀬、ショーに出ている面々の,怒りを込めた群舞です。あぁでも全部かも?(笑)。雑多で猥雑ながら、美しくも力強くもあると言う世界が、繰り広げられます。
ショーに出てくる人たちは、所謂フリークス。バーナムは実在の人物で、詐欺師や山師と言われていたそうで、この作品でも、その片鱗は伺えます。しかし、世間から侮辱され差別されてきた人たちを、人々の前で堂々と演技を披露し、喝采を浴びさせた、アイディアマンとして、描かれています。辛酸を描き、歯を食いしばる様子を描くより、ファミリーとしての絆を強調する作品観は、今の時代にマッチしていると思います。
上昇志向が過ぎて、彼らの存在を疎んじるバーナムに、一時はショックを受けるサーカスの面々ですが、自分たちに誇りと居場所を提供した人として、バーナムを赦す様子に、私は素直に良いシーンだと思いました。
撮影が優秀で、女優がとても美しい。カーライルに一目掘れされるシーンのゼンデイヤは、まるで褐色の天使かと思いました。稀代の歌姫役レベッカ・ファーガソンの独唱シーンは圧巻。彼女が本当に歌っているのなら、お見事の一言。圧倒的な存在感とエレガントな美しさが、まだ目に焼きついています。ミシェルも、たおやかな美しさを感じ、良妻賢母の役にびったりでした。
多分現実は、もっとドロドロした内情で、「愛と哀しみの」がつくくらいじゃ、収まらない世界だったと思います。でもそれを丸ごと描いたって、観客を楽しませ、支持される作品に仕上がるかと言えば、疑問です。物事の光と影に、光に焦点をあて、陰もそこそこ描いたこの作品を、私は支持したいと思います。その思惑で、ヒューをキャストしたんだと思う。
書きながら、また観たくなっちゃった。近年では、一番気に入ったミュージカルです。
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