ケイケイの映画日記
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2017年02月11日(土) 「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」

バートン作品は、感想を書かなかった「ビッグ・アイズ」以来久しぶり。私的に続け様に外れて、今回もダメだったら、もうバートンとはおさらばしようと思っての鑑賞でしたが、今回は本当に良かった!クライマックスのバトル場面や、ミス・ペレグリンの子供たちへの愛情を深く感じる場面など、涙ぐんだほど。私の好きなバートンが帰ってきたんだもん。監督は、ティム・バートン。

フロリダで暮らす孤独な少年ジェイク(エイサ・バターフィールド)。幼い頃から冒険譜を話して聞かせる祖父のエイブ(テレンス・スタンプ)だけが、唯一の彼の理解者です。しかし祖父は不可解な亡くなり方をし、亡くなる直前、ジェイクに謎の遺言を残します。ジェイクは祖父の残した遺品を頼りに、イギリスはウェールズの小さな島を訪れます。そこに祖父の言う児童養護施設があるはずが、戦争中に空襲に遭い、今は廃墟となっていました。しかし、何かに導かれるように廃墟に入ると、そこには数人の子供たちが。子供たちの手引きで、ジェイクは祖父の昔からの知人であり、この施設の寮長であるミス・ペレグリン(エヴァ・グリーン)に出会います。

私は昔からバートンが好きでした。それは他の彼のファンと同じで、異形の人の哀しみや孤独を描きながら、決してそこで終わらず、ラストは魂の救済や幸福を描いていたから。「愛」があったからです。でも「アリス・イン・ワンダーランド」での、赤の女王の扱いに、本当に憤慨。それでも未練がましく見続けていましたが、「ダーク・シャドウ」もペケ。「ビッグ・アイズ」は、そこそこでしたが、バートンらしい作風ではなかったです。

それが今回異形の子供たちへの愛が炸裂、久々に堪能しました。子供たちは人とは違った、奇妙な特性を持った子ばかり。世間では生きにくく、皆ここへ送り込まれた子たちばかりです。そして何故彼らは年を取らず、毎日同じ日を繰り返しているのか?そこには哀しい秘密が隠されています。

常に厳格に子供たちを取り締まるミス・ペレグリン。それは外の世界では生き辛い彼らに、平和な日々を送らせるためです。カッコよく煙草をくゆらせる彼女ですが、これが唯一の息抜きなのでしょう。身の危険を顧みず子供たちを守る姿は、胸が熱くなりました。鉄の女の彼女が涙ぐみ、「あなたたちをお世話出来て、光栄でした」と言う。ペレグリンは、上の場所に居たのではなく、常に子供たちに寄り添っていたのでしょう。子供たちを保護する対象や、異端者として観ているのではなく、人格を重んじ接していたから、「光栄」と言う言葉が出たのだと思う。誰も他に大人はいません。責任と愛情の滋味深い共存。彼女なくば、子供たちは生きられなかったはず。

一見何の特性もないようなジェイクが、バトル場面で子供たちの指揮を執ります。フロリダでは、同級生から浮いていた彼が、何と逞しく勇ましい事よ。他の子供たちの特性も、一見役に立つどころか、生きる上で持て余すようなものです。しかし、それは使い方次第。観よ、この華々しい活躍!これはペレグリンが、日常生活で活かせるものであると、指導していた事が生きている。

ジェイクが島へ来ることは、必然だったのでしょう。その必然を作り、孫に自信をもたらしたのは、祖父の導きです。現在子供たちを取り巻く環境は、発達障害、性同一性障害など、昔は知らなかった、言えなかった事が表面化し、一見厳しさを増したように思えます。でもそうかな?偽りの自分、知らなくて辛い思いをする方が良いのか?家庭や学校で、認めて貰い自信をつければ、この作品の子供たちのように、世の中に出て活躍できるのだと思うのです。願わくば「戦い」ではなく。ミス・ペレグリンや、ジェイクの祖父に学ぶことは多いです。

バートンは絶対エヴァ・グリーンに惚れてます(笑)。もちろん女優としてね。セクシーで気前よくヌードも見せる彼女ですが、今回真っ黒の衣装で色気は封印。代わりに慈愛と厳しさを併せ持つ、母性いっぱいのハンサムなミス・ペレグリンを、心を込めて演じているのがわかる好演でした。バートンはジョニデじゃなくて、これから彼女と組むといいわ。

一言だけ苦言があって、CGでスタンプの若い頃が出てくるんですが、彼の若い頃は、もっとハンサムだぞ。この辺は敬意が足らないです。気をつけてくれたまえ。

バートンは、これからも見続けていけそうで、安心した作品(笑)。この作品、大好きです。


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