ケイケイの映画日記
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2015年11月23日(月) 「Re:LIFE〜リライフ〜」

”あの「ラブソングができるまで」
マーク・ローレンス監督とヒュー・グラントの再度のタッグ作”みたいな売り方されていて、はて?そんな言われた方するほどの作品だったかしら?>「ラブソングができるまで」と、自分の感想を読み返すと、やはりそこそこだった模様(笑)。往年のアイドルを脚本家に替えて、設定は似ていますが、個人的にはずっとこちらの方が好き。御年55歳ヒュー・グラントの、堂々のラブコメです。

脚本家のキース(ヒュー・グラント)は、若くしてオスカー脚本賞を受賞して、将来を嘱望された脚本家でしたが、それ以降は鳴かず飛ばずで、現在は仕事にあぶれています。やっとありついた仕事は、ニューヨーク北部の片田舎の大学でのシナリオ講師。全くやる気のないまま着任したキースですが、そこで出会った人々たちとの日々によって、段々と彼自身に変化が生じます。

冒頭から酔った勢いで、教え子になるであろう女子大生カレン(ベラ・ヒースゴード)と寝ちゃうわ、70人の受講希望者から10人を選抜するのに、女子は美人ばっかり、男子はモテなさそうなオタク系若干だけを選ぶ様子など、電気も止められるくらい逼迫した状態なのに、危機感まるでなし。相変わらず軽薄でいい加減で、皺も増えたし体重も増加したようで、自然体に加齢しているのに、それでもこの手の役をやらせたら、やっぱりヒューは抜群にチャーミングです。

軽くて他愛もないエピソードの羅列のようですが、ハリウッドへの皮肉や恋しさが随所に炸裂し、激しい浮き沈みを経験しているはずなのに、キースは明るいと言うか能天気と言うか(笑)。だから深刻ぶらずに挿入するキースの些細な陰りにも、共感出来るのです。他にはジェーン・オースティンを巡る男女のバトル、女系家族で男一人の悲哀を滲ませる学長(J・Kシモンズ)など、男性の本音が出て面白かったです。

数々のクラシックから現在の映画や俳優の名前がわんさか出てきて、それの出し方が適材適所で上手い。監督は大層な映画好きなんだなと、密かにほくそ笑む私。10人の学生は描き分けも良く、それぞれに見せ場を作る工夫も楽しかった。若い子に「マーティ」を勧めたり、ベルイマン命の子とか出てくるのも、嬉しかったな。そして脚本家(及び志望する人)とは、みんな映画が大好きなんだとも、痛感しました。だから小説家ではなく、脚本家なのよね。

教え子の脚本を見どころありと、キースがプッシュするエピソードが良かったです。いい加減で軽薄だけど、卑怯者でもなく性根も腐っていないキース。それはヒューが演じてきた役柄とダブルけど、だから彼はずっと愛され続けてきたのでしょう。30代には30代、40代には40代、そして50代には50代の人生の気付きがあり、人生はいつでも再生可能だと言うのが、タイトルの所以かな?この作品は、どうしてもヒューに演じて貰わなきゃいけない役だと思いました。

他にはキースの英国人らいし皮肉たっぷりのユーモアを絶妙に切り替えし、彼に啓示を与えるシングルマザー、ホリー役のマリサ・トメイが出色の存在感。20歳前後のピチピチの子たちと同じ教室に放り込まれては、さすがのマリサも容色の衰えがバッチリ。しかし人生の経験値と持ち前のバイタリティーで、逆境を感じさせぬ明るさで、彼女が出てくると、生徒の誰より画面が輝きます。マリサもまた、この手の役どころは得意で、安心して観ていられました。

「コードネーム U.N.C.L.E」では、中年を通り越して、初老みたいに見えたヒューだけど、もう若手を陰で支えるには十分の年齢です。それでもこれからも年齢に応じて、大いなるマンネリで、60代70代のラブコメを見せて欲しいです。希望の星となってね!(同年代です)。


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