ケイケイの映画日記
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9/13に観たのに、ず〜と感想書くのをほったらかしにしておりました(笑)。面白くなかった訳じゃなく、むしろその逆。私はスパイ映画は門外漢ですが、コリン・ファースがスパイなんて、面白そうじゃんと言う事でチョイスしました。厳密に言うと、コリンが主役ではないと思うけど、豪華キャストが奏でるスパイ映画のパロディは、華やかでエレガントで、ちょっとシリアス。ブラックな毒もたっぷりで、とっても面白かったです。監督はマシュー・ヴォーン。
高級テーラーで働くハリー(コリン・ファース)。実はこれは世を忍ぶ仮の姿で、本業は秘密裏に正義を貫くスパイ組織”キングスマン”のエージェント。新しいエージェントを育成するため、ハリーは職務中に亡くなったエージェントの遺児エグジー(タロン・エガートン)をスカウトします。他の候補者とと共に、過酷な訓練に身を投じるエグジーですが、世の中では、大富豪のヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)が、大がかりな陰謀を企てていました。
英国のスパイって、上流階級の人しかなれなかったんだと、この作品の紹介記事で知りました。あのショーン・コネリーだって、下層階級出身なので、ボンドを演じるに辺り、徹底的にジェントルマン教育されたんだとか。この作品でキングスマンのトップを演じるマイケル・ケインも、同じ経験をしたとか。
それを覆そうとするのが、ハリー。まるで。「山猫」のバート・ランカスターの如く改革に手を染める彼の、意気や良し。今の自分の素行の悪さや不遇を、父親のいない環境や生まれのせいにするエグジーに、「マナーが人を育てる」と言う意味の言葉を、繰り返し言い続けます。自分の命の恩人の息子に、己の信念を託したいのでしょう。
と、ハリーの信念をベースに、しかし画面はハチャメチャで華やかなアクションの連続で、観ていてとっても楽しいです。バッタバッタ人が殺されて、普通ならグロテスクに思う場面も、コミック調に描くので、これまた笑えます。「007」などスパイ映画だけじゃなく、「シャイニング」などのパロディも出てきて、オマージュと言うほど大したもんじゃないけど、お遊びが楽しい。良い意味で軽い出来です。
人を階級で選別しようとするヴァレンタインですが、あんた黒人でしょ?この辺のギャクっぽい皮肉も利いてます。権力や財力を持つと、自分のしがらみや過去は忘れ去って、生まれた時から銀の匙を加えて生まれてきたと、思い込みたい、人間の真理が現れているようです。
しかしサミュエルって老けないなー。調べてみると、御年67歳。10年前から全然変わんない。モーガン・フリーマンがこれくらいの時は、もうだいぶ爺さんでしたよ。私は男優はエレガントな人が好きなので、当然コリン・ファースも好きなわけなんですが、この作品でちゃんとアクションしているように見えるのには、驚いちゃった。本当にしてたのかな?(笑)振付のお蔭?しかし何故に英国演技派俳優(リーアム・ニーソンとか)は、50過ぎるとアクションに目覚めるのかしら?次はレイフ・ファインズかな?(笑)。
エグジー役のタロンですが、小柄ですが俊敏で、顔つきも可愛いのに精悍で、おっ!と目を見張りました。この作品の出来不出来は、彼が魅力的に見えるかどうかにかかっていると思うので、上々の演技。他には「キル・ビル」の時の栗山千秋を彷彿させる、ソフィア・ブテラと、真摯で冷静、でも冷徹ではない教官役のマーク・ストロングが良かったです。ストロングはスキンヘッドにしてから、断然男っぷりが上がった気がするなぁ。
四の五の言うより、観て楽しんだもん勝ちの作品かと。決して後には残らないけど、面白いよ〜とお勧め出来ます。
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