ケイケイの映画日記
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祝!シュワちゃん復帰主演作・第一作です。「エクスペンタブルズ」シリーズに出演しているので、お久しぶり感は乏しいものの、主演は実に10年ぶり。予告編で見たときは、シュワちゃんも老けたなぁと思っていました。だって65歳だもんね。しかし実際は老いを晒しながら、円熟感にうまく方向転換。そして往年通り、超強い!内容も面白くて、とても満足しました。監督は韓国のキム・ジウン。
のどかな国境の町ソマートンで、ゆったりと保安官としての日々を送っているレイ(アーノルド・シュワルツェネッガー)。かつてはロス市警の敏腕刑事でしたが、過酷な日々に嫌気がさして、この町に来て数年が過ぎます。そんなある日、麻薬王のコルテス(エドゥアルド・ノリエガ)が、厳重な警備から脱走、メキシコ国境を目指してソマートンへ向かっていると、FBIのバニスター(フォレスト・ウィテカー)から連絡が入ります。手出しするなと言うバニスターですが、FBIの到着はコルテスに間に合いません。ソマートンの平和を乱す者は許せないと、立ち上がります。こちらは三人の副保安官(ルイス・ガスマン、ザック・ギルフォード、ジェイミー・アレクサンダー)と、民間人のフランク(ロドリゴ・サントロ)、そして隠し玉の武器オタクルイス(ジョニー・ノックスヴィル)。彼らは果たして、コルテスを逮捕出来るのか?
のどかなソマートンの様子がユーモラスに描かれるのと並行して、スリリングなコルテス脱走劇が描かれ、対比が楽しめます。シュワちゃんはただの保安官ではないをピンポイントで描くので、退屈なはずの日々も「俺はこの町が好きだ」の台詞で、過去に何かあったのだろうも、ちゃんと忍ばせていています。コルテス脱走劇は、正直ド胆を抜かれました。あんなのは観た事がないです。重量感があるのにスピーディーで、とても面白かったです。台詞以外で超大物犯罪者を、こちらもちゃんと印象付けています。
もう序盤の描き方で、これはAクラスの娯楽作だろうと確信。以降オーソドックスな展開ながら、見せ方の工夫が冴えています。一番に良かったのは、アクションの重量感がずっと持続した事。車や銃の使い分けがとても良かったです。私の見る限りCGはなく、シュワちゃんやその他の俳優の顔の隠し具合の絶妙さは、古式ゆかしいスタントを使ったアクションではないかと感じました。私が嬉しかったのは、その作りが郷愁を誘うのではなく、ちゃんと今の映画として面白く感じた事です。
ドラマという程の内容はありませんが、その代わりコメディリリーフのルイスが楽しいし、老人たちの扱いが、ユーモラスな中に腰が座って上手いです。老人の良さを引き出しています。奮闘中のシュワちゃんに「もう歳かな」と言わせながら、それを応援するのは、彼より上のお年寄りたち。頑張るしかないですよね。
今までのシュワのアクション作は、ほとんどが彼単独のヒーローでしたが、今回はチーム戦。久しぶりの大捕物に弱音も吐きます。しかしレイは人格者でもあり、チームの誰もが信頼し付いていく様子は、レイが人生の年輪を重ねた者だからだと、老いも値打ちと感じさせるのです。ドラマを厚くするより、久々復帰のシュワちゃんを引き立てる脚本は、正解だったと思います。ラストでは素手の格闘も大サービスでした。
事前に何も調べなかったので、私の好きな男優、好みの男優が大挙出ていて、もうびっくり。私的にイケメンパラダイスな作品でもあります。
まずはダニエル・ヘニー。FBI捜査官役で結構な出演シーンがあってね、最初から凛々しくてハンサムだなぁと、うっとり。アメリカ系韓国人とあるので、国籍はアメリカでしょう。韓国ドラマに出ているそうですが、私は韓国ドラマは見ないんでな。日本で人気の韓流スターより、ずっとカッコイイぞ。
次は退屈なソマートンに飽き飽きしている、でも仕事出来ない若い副保安官役のザック・ギルフォード。彼もこの作品で初めて観ました。ちょっとクリストファー・エクルストンに似てるかな?繊細で若々しい感じがグッド。彼のお蔭で全員の正義感に火が着いたと言うのも頷ける、好青年ぶりです。
次はスペインからエドゥアルド・ノリエガ。スペインじゃ大人気で、ハリウッド出演作も多いのに、イマイチ日本じゃブレイクせんな。ちょっと濃い目の美形ですが、存在感は抜群で、今回も線は若干細いながら、シュワちゃん復帰作の敵役と言う重要な役を好演していました。
そして最後は!ヒューヒュー!大好きなロドリゴ・サントロ!民間人として戦うフランク役です。初登場シーンは牢屋の中だし、髭面がむさいので、わかりませんでした。このイーサン・ホークを男前にした俳優は誰やねん?と目を凝らしていると、何とロドリゴ!私は髭なしの彼の方が印象深く、且つこんな男臭い役柄は初めて目にするので、もうびっくり!(好きという割には、あまり作品は観ていない模様)。しかしいくら無精髭姿でも、埃立ち込める中でも、あの清々しい美貌は健在でゴザイマス。同じラテンの血の混ざるオリヴィエ・マルティネスなんか、年食ってVシネ顔になったり、ガエル・ガルシア・ベルナルも段々普通っぽく劣化していく中、ロドリゴは大丈夫みたい(ブラジル人です)。今回無難にカッコいいだけでしたが、彼の場合私的には、無難=とても素敵、なので問題なしです。
他にも女性出演者は副保安官やFBI、ダイナーのお姉ちゃんに至るまで、全て美形にして男の戦いに水をささない程よい好演。いつも脇役のルイス・ガスマンも、今回はキャラを活かしながら見せ場もあり、とってもカッコ良かった。重要な老人役でハリー・ディーン・スタントンが出ていたのも特筆です。ピーター・ストーメアも久々にたくさん出演シーンがあるしで、出演者みんなに気を配った作りが、一層シュワちゃんを盛り立て好感持てました。お蔭でオスカー俳優ウィテカーだけが、割を食ってちょっと可哀想でした。
こんなに目いっぱい書くほどの内容じゃないのですが、私的にとても気に入ったので、頑張って書きました。映画ファンならずとも、誰もが一度は主演作を観ているはずのシュワちゃん復帰の嬉しさを、このレビューに込めさせていただきます。
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