ケイケイの映画日記
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2013年01月20日(日) 「TED テッド」(吹き替え版)




1月一番の期待作。いや〜楽しかった、面白かった!奇想天外な設定の、お下劣おバカ映画を装いながら、恋愛や友情の本質もきちんと描けている秀作です。監督はセス・マクファーレン。

1985年のクリスマス。友達のいない孤独な8歳の少年ジョンは、プレゼントされたテディベアのぬいぐるみに大喜び。早速「テッド」と名づけて、何でも彼に語りかけます。神様にテッドに魂が宿るようお願いすると、翌朝テッドは何と願い通りに。以来27年、片時も離れた事のない一人と一匹は、同じように年を重ね、今じゃ立派な(?)ダメ中年男同士。しかしジョン(マーク・ウォルバーグ)と四年越しの恋人ロリー(ミラ・クニス)との関係が悪化、ジョンはテッドと離れて暮らす決意をするのですが・・・。

冒頭のジョンとテッドの「馴れ初め」から現在に至るまでの紹介が秀逸。ディズニーのような心温まる様相で描きながら、毒がいっぱい。写真での彼らの成長と言うか変遷も楽しく、すんなり今に入っていけます。

外見は愛らしいままなのに、人間のジョン以上にエロくて不良オヤジになっているテッドの様子に、まず爆笑。悪友であり親友である二人の親愛っぷりは、微笑ましくも幼稚丸出しでね、一生中二のようで、男の本質ってもんが描けています(ごめんなさいねー)。

15Rの作品で、直接的なエロシーンはテッドが担当で、これがもう爆笑で。ちょっとここに書くのがはばかれる台詞も、テッド担当。若い頃なら耳まで赤くなったはずですが、お陰さまで私もいい年なんで、大爆笑の連続です。エロがぬいぐるみのお蔭で、抵抗なくに見やすくなっており、かつこのファンタジック(かな?)な設定が妙にリアルに感じ、ここは技ありの感が。

愛するジョンのため、テッドとも上手く付き合いたいロリーですが、ある事で堪忍袋の緒が切れて(当たり前です)、ジョンに自分を取るかテッドを取るかと迫ります。ロリーのキャラが秀逸。社会的にキャリアのある女性ですが、社会的にも人間的にもヘタレのジョンの、内面の純粋さを心から愛しています。同僚にジョンの甲斐性のなさを指摘されると、「私は彼が用務員でも好きよ」と言い切ります。そしてこんなに素敵なのに、ジョンはテッドと自分なら、テッドを取るかも?と怯えています。あぁ恋する女心よ!




そんな愛しいロリーを、小悪魔的な華やか容姿のミラが、とてもキュートに演じています。派手な雰囲気が今回功を奏し、とても情の厚い女性に感じました。自分が経済的に自立するって、本当に良いことですよ。ジョンがヒモのような男では論外ですが、何とか働いています(←ここ重要ポイント)。自分が仕事持っていれば、相手の甲斐性を気にせず好きな男を選べるんだぞ(私は口を酸っぱくして、独身女子職員に説いておるのじゃ)。しかしその仕事も、テッドのお蔭であやふやになってきては、ロリーが激昂するのも、うべなるかな。

ロリーの女心に感情移入して観ていると、何故だかジョンの気持ちもわかるのです。彼も心からロリーを愛しているのに、ロリーの当然の願いは叶えられない。「わかっちゃいるけど、止められない」わけ。この辺りになると、これはうちの夫婦、それも若い頃だわと思い始めます。だからジョンとロリーは、私であなたで彼女で俺なの。お互い高めあって成長したい女と、そうだなぁ〜とぼんやり同感しながら、実は何も考えていない、でも君の事は本当に愛しているんだよ!の成長出来ない男のお話なんだと気づくと、とても身につまされるのです。特に「もう一度、俺頑張るから!」と言えない(正直だから)ジョンに、嘘でもいいから言ってくれたら、信じたいロリーの場面など、涙なくして見られません(いやマジで)。「ブルー・バレンタイン」と、同じことを描いているのに、こっちの方がずっと解り易く愛せます。

その愛せる理由は、もちろんテッドの存在。普通怖いですよ、世間に放り出されたら。ぬいぐるみなんだし。でもテッドを愛すればこそ、「別居」を決意した彼。ジョンの幸せを誰よりも願っていて、彼にはロリーが必要だと認識出来ているのですね。この辺の「男同士」の友情も、つるんでバカやっているシーン、本気の流血の喧嘩(見所です)など、とても実感溢れていたし、ジョンを思うテッドの男げには泣けました。これならあそこがなくても、女性にモテモテなのは、よくわかる(笑)。ここら辺も、男性諸氏はツボにはまると思います。

「フラッシュゴードン」のパロディが多用されていましたが、クィーンの「フラッシュ!アッァー!」の出だしと、扮装くらいしか覚えていない私でも充分楽しめました。その他トム・スケリットなど、往年のハリウッドスターから若手のテイラー・ロートナーまで、セリフやスクリーンに、映画や俳優がわんさか小ネタで登場します。私が一番気に入ったのは、テッドからの着メロが「ナイトライダー」だった事。毎週楽しみにで観ていました。監督、若いのに、だいぶ映画やポップカルチャーに精通しているみたいです。

ロリーが母のような心で二人を受け留め、ホロホロする場面で終わると思いきや、エンディングでまたふざけ倒して、大爆笑のまま鑑賞を終えました。ここまで来ると立派な才能ですよ。監督に憧れる男子続出の予感。


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