ケイケイの映画日記
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2012年08月10日(金) |
「ダークナイト・ライジング」 |
何と8月初めての映画。しかし約10日ぶりの作品はイマイチでした。これ一応カテゴリー:ヒーローもん、ですよね?私はヒーローもんには、荒唐無稽で良いので、明るく陽気なもんを期待しておるわけ。それでも前作の「ダークナイト」はめちゃ楽しんだはずなのに、今作はどうも気持ちが乗らん。取りあえず観ましたが、やっぱり女の勘は当たるのだよ。辛気臭いだけで、退屈でした。監督はクリストファー・ノーラン。
ツゥーフェイス=デントの罪を被り、バットマンがゴッサム・シティから消えて8年。ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)もまた、人々の前から姿を消しています。デント法によって守られていた町に、テロリストのベイン(トム・ハーディ)が表れ、警察の秩序は乱され街は無法地帯と化します。その様子に、ついにブルースはバットマンとして立ち上がります。
冒頭ベインが核兵器のスペシャリストの研究者を奪還します。トラップでわざと捕まるのですが、おもむろにピストルを出すのに「へっ?」。自家用飛行機の中なんですが、まずはボディチェックするだろ?こんな手の込んだ事しなくても、奪還出来そうなんですが、まぁアクションはそれなりに見せるし、まぁいいかと思っていました。しかし以降、これが一番上手く出来たアクションシーンときたもんだ。
心にも体にも傷つき、引きこもりのブルース。叱咤激励する執事のアルフレッド(マイケル・ケイン)。前二作では、忠実な執事ながら愛のこもった説教に、ブルースを思う心が、主従関係以上の真心を感じさせたアルフレッドですが、今回謎の辞職。色々セリフで説明しますが、ブルースをぼっちにする理由なんか、見当たらないのね。
ある出来事のために、ブルースは会社をミランダに一任しますが、会ったのって一回切りだよ?何故そんな簡単に信じられる?苦楽を共にしてきた人たちが、他にいっぱいいるでしょう?ベインは求心力のある男ですが、冷血で怪力な不気味な男に描いているだけなので、手下の死も恐れぬ忠誠ぶりも謎。ゴードン(ゲイリー・オールドマン)の葛藤も薄いです。フォーリー(マシュー・モディーン)の風見鶏ぶりが、ただのバカに見えるのに代表されるように、登場人物の描き方の底が浅すぎ。それはブルースについても言えます。引きこもりから再スタートの一大決心ぶりが、伝わってこない。
それでもアクションシーンが面白ければ、大味な大作だと諦めもつきますが、これが全然。一番盛り上がるはずの、警察VS無法者たちの格闘シーンもバカみたいに人が多いだけで、ほとんど素手の戦いには唖然。こういう時は辻褄が合わんでもいいから、いっぱい武器使って派手にやってくれよ。バットマンVSベインのタイマンも、重量感と言うより動きが重いだけ。ヘビー級の下手くそなボクサーの試合みたいなのです。観ていて面白いのは、素手ならやっぱり「ボーン」シリーズ風のスピーディーな動きだと思いました。アタクシ、ボクシングも軽量級が好きなのよね。
アン・ハサウェイとマリオン・コティヤールと言う美女が二人出ながら、二人共が美しくない。前二作のヒロイン、ケイティ・ホームズやマギー・ギレンホールのような「微妙な美女」とは違い、この二人は正真正銘の美女。それがこの程度の映りなのは、如何なものか?もっと華やかに撮らないと。筋の方も、とにかく結果を見せて、こじつけの後付けで収める展開が続出です。なのでドンデン返し風の影の悪役にも、これはトンデモか?が頭をよぎりました。それと核兵器の扱いが、あれでは駄目でしょう?普通の爆弾とは違うでしょう?
唯一良かったのは、孤児院出身の警官ブレイク(ジョセフ・ゴードン・レヴィット)の造形。彼も生かしきってはいませんが、「ブルース・ウェインは『億万長者の孤児』として、僕たちの中では神話だった」と言う風な台詞が、この長く暗く辛気臭い作品の中で、とても印象に残りました。嫉妬ではなく、憧れのこもった言葉でした。そこを深淵にもっと描き込んだら良かったのにと思います。
あぁなんかボロクソだわ。ベールが好きなので腹は立っていません。脱力は大きいですが。期待値下げてこれとは残念です。巷では好評みたいなので、アップしたらどこが良かったのか勉強してきます。
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