ケイケイの映画日記
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2010年03月31日(水) 「NINE」




えーと。公開して10日くらいなんですが、もう感想出尽くしちゃった感のある作品。ロブ・マーシャルは、「シカゴ」もミュージカル好きさんには散々非難轟々だったけど、私はそれほどミュージカルがわからないので、楽しめた口です。なので今回もそれなりに楽しんできました。「シカゴ」の方が良かったけどね。

イタリアの名匠グイド(ダニエル・デイ・ルイス)は、スランプに陥り映画が撮れません。そんな彼を、妻(マリオン・コティヤール)、愛人(ペネロペ・クルス)、母(ソフィア・ローレン)、仕事のパートナー(ジュディ・デンチ)、雑誌記者(ケイト・ハドソン)、娼婦(ファーギー)、グイドのミューズ(ニコール・キッドマン)が取り巻きます。

フェリーニの「81/2」をミュージカル仕立てにした作品。元作と比べると全然ダメダメと言う声が多いので、BSで録画したものは、あえて再見せずに臨みました。中学生くらいの頃テレビで観ました。大昔はレンタルもなく、名作がテレビ放映される時は、当時の私みたいな映画小娘は、万難を排してテレビに向かったもんですが、これがさっぱり覚えておりません。多分面白くなかったんだわ。こう言う事はティーンエイジャーの頃は多発しておりまして、「ベニスに死す」も淀川センセイが大絶賛されていたので、期待満々観たのですが、これもさっぱり。しかし10年くらい前に再見した時は、その美意識の高さに大感動したんですから、年を食うと良い事もあるものです。

そのせいか豪華キャストが奏でる歌と踊り、充分に楽しめました。女優さんたちの衣装は、ご高齢のお二方以外は基本露出しまくりで、皆さんとてもセクシーです。特にペネロペ。コルセット風の衣装に身を包んで歌い踊りますが、これがもう、女の私でもドキドキするほど、ダイナマイトなお色気です。裸見せるよりず〜と色っぽい。現在ノリにノッテる彼女、もっと観たかったです。

取りあえずみんな自分で歌っているのも好ましいです。ファーギーは本職歌手なんで、やっぱり声量があって上手いのはもちろんですが、意外と上手かったのが、「シネマ・イタリアーノ」を歌ったケイト・ハドソン。踊れるなんて知らんかった。この曲に一番ノレました。歌も歌ったけど、演技で魅せてくれたのは、マリオン・コティヤール。豊満系の美女軍団に圧倒されることなく、清楚で芯の強い妻の気丈さと意地を、とてもよく表現出来ていました。改めてお芝居上手いなぁと感心しました。オスカー取るとダメになって行く人の方が多いですが、彼女はこれからもっともっと大成すると思います。

主役のルイスなんですが、今回いつもの濃〜い彼からは意外なほど軽妙で、豪華女優陣に押され気味だったのが、返って良かったです。私は「存在の耐えられない軽さ」の彼が大好きで、それ以降この作品の彼を越えるルイスをまだ観ていません。でもこのグイドは結構肉薄していました。思えば「存在の〜」のトマシュは硬骨漢の色男、こちらグイドは軟弱なアーティスト系の色男と、結局私は色男のルイスが好きなのねと、やっと納得しました。

まっ、内容はあってないようなもんです。映画監督の映画が作れない苦悩があんまり伝わってこなかったのは痛恨ですが、豪華絢爛、目と耳の保養には充分なる作品でした。明日は映画の日で、どなたでも千円。千円なら文句はあんまり出ないと思うな。どうぞお気楽に観て下さい。


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