ケイケイの映画日記
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2009年12月06日(日) |
「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」 |
いや〜この作品はね、会社勤めした事がある人なら、誰でも思い当たり、頷きながら笑ったり怒ったり、胸にジーンとくるんじゃないかと思います。監督は「キサラギ」の、佐藤祐市。
高校時代のいじめが原因で引きこもりとなった大根田真男(マ男・小池徹平)。息子が自立するのを願っていた母(朝加真由美)が交通事故で亡くなり、真男は発奮。高校中退と8年間のニート生活のため、次々と不採用になるも、IT企業黒井システムに採用されます。一見温厚そうな社長(森本レオ)に安堵するマ男でしたが、社員がクセモノばかりな上、初日からあり得ない量の仕事をさせられたり、徹夜でサービス残業は当たり前、社員の出入りが激しい”ブラック”会社だったのです。
社長の前ではヘラヘラ、実は傲慢で威張り散らすリーダー(品川祐)、リーダーの腰ぎんちゃくで、仕事は出来ないのに要領だけいい井出(武田鉄洋)、この二人にあり得ない量の仕事をさせられ続けて、奴隷のようになってしまって、挙動不審の上原(中村靖日)、社長の愛人でお局の瀬古(千葉雅子)、一見普通の人、実は愛だけに生きる非常識人の中西(マイコ)、会社を乗っ取るため、あえてブラック会社の黒井システムに入社した木村(田中圭)。そして会社のオアシス、人格者の藤田(田辺誠一)。と、マ男を含めて、全員キャラが総立ち。その一人ひとりが、デフォルメはしているものの、いるいるこんな人!と、サラリーマンなら絶対共感出来るはずです。
デスマ(死の行進)と呼ばれる連夜の徹夜、上司や先輩による屈辱的な行為、社内恋愛、学歴差別、リストラなど、現実的な会社の縮図を盛り込んでします。真面目に描けば鬱になってしまうような暗ーい出来ごとばっかりなのですが、ユーモアにくるんでライトに仕上げているので、現実の自分を思い出し、涙してしまう・・・なーんてことは、ありません。
数々の困難を乗り越え、ひと回りもふた回りも成長したはずのマ男が、何故「限界かもしれない」と思ったか?これは会社勤めの人なら、100%同意するはず。仕事にはこれが一番大事と言っても、過言ではないです。会社は友達を作りに行くところではありません。しかしどんな仕事だって、組織にいれば、自分ひとりで仕事は出来ないはず。仕事においての人間関係は、「助け合い精神」に尽きるのじゃないかなぁと、観ていてつくづく思います。
その折れた気持ちを、マ男はどうやって建て直したか?仕事するのは何のためか?ニートから脱出した彼の叫びは、素直に胸を打ちました。でもね、リーダーや井出が、この作品では途中からちょっと変身しますが、現実の腐ってる奴は腐ったままですから、希望は抱かないように。
さて私が何故働くか?それは家計の足しです。父ちゃんの給料だけじゃ、映画に行くにも気を使うわけ。事実子供三人が学校行きだったときなんか、働いてるのに自分に回るお金なんか、全然なかったもん。夫の給料が今の倍とは言わん、1.5倍とも言わん、1.3倍くらいになったら、仕事辞めてるかもなぁ・・・とも思いましたが、やっぱり仕事しているでしょう。
辛い思いしんどい思いetc。しかし振り返ってみれば、その時は辛いだけだったことが、確実に自分を成長させているのに気が付くからです。思えば短大を出てすぐ結婚して、ちゃんとした職歴も資格もなく年もいった私が、今の就職難のご時世で、パートとは言え切れ目なく仕事をゲットしているのは、奇跡に近い事です。多分前世の功徳は全て、これに使われている気がして、老後が恐ろしいです。でも嬉しい事にこの頃では、社会人の息子たちに仕事の相談をしたりして、会話も大人同士の内容になってきました。夫が高給取りなら、私ごとき無能な主婦は、ずっと座敷豚だったと思うので、そう思うと「ちょっと足りない夫の給料」(うぅぅぅ・・苦しい表現)にも、感謝ってとこでしょうか?
某SNSで仕事に関するストレスや、転職のコミュに入っていますが、ロムしていると今のご時世、皆さん頭が下がるほど頑張っておられます。そこで私も励まされましたが、そういう方たちが、明日も頑張ろうと思える、コーヒーブレイク的になる作品だと思います。
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