ケイケイの映画日記
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2009年09月06日(日) |
「グッド・バッド・ウィアード」 |
実は「3時10分、決断のとき」の前日、映画の日に観ております。「3時10分」のような傑作を観た後では、アホらしくて書く気にもならなくてねぇ。ホント、TAOさんの言う事きいときゃ良かった。大きな風呂敷を広げて、その上におもちゃ箱をひっくり返し、ただそれだけで終わったような作品です。間延びして退屈でした。
間抜けなコソ泥のユン・テグ(ソン・ガンホ)。列車強盗に押し入った時、偶然日本軍の宝の地図を手に入れます。しかしそれを狙っているギャングのボス・チャンイ(イ・ビョンホン)が、テグが持っていると知り、彼を追いかけます。そして賞金稼ぎのドウォン(チョン・ウソン)が、そのチャンイを追い、三つ巴の攻防戦が始まります。
う〜ん。チラシにほとんどスタントなし、役者が演じていますとありました。確かに韓国は兵役があるので、俳優は銃の使い方やアクションシーンはこなれたものを見せてくれます。ガンちゃんにしても、香港映画でよくあるようなコメディリリーフ的アクションシーンも、あれはあれで難しいと思うんですが、上手くソツなくこなしています。しかしそれが長い。もうちょっと切れる筈です。もしくはもっとメリハリが欲しいところ。香港映画はこう言う場合、アクション監督がいるんですが、韓国はないのかな?せっかくの無国籍の香り立つ満州を舞台にしているのに、それも生かせていません。
作風も売れっ子三人を使ったコメディアクションの割には派手さが不足しており、泥臭い訳でもなく洗練されているわけでもなく、如何にも中途半端。 ストーリーもまだるっこしくって、肝心のお宝に対しての欲望が希薄。この人たちはどうしてここに?の、一切説明なしのご都合主義or無駄な登場人物のオンパレードも、退屈に拍車をかけます。この作品はイーストウッド主演の「続夕陽のガンマン」にインスパイされて作られたそうですが、元作はもっと面白かったんでしょうね。
三人の中で合格はガンちゃんだけ。彼だけ期待通りの面白さで、クスクス笑えました。ビョンホンは「甘い人生」で見せた身体能力重視のアクションではなく、今回はナイフを中心に血みどろになります。でもこの人、なかなかのテコンドーの使い手な訳で、それを何故生かさないのか謎。映画友達の女性が彼のこと、「世界一素敵な大胸筋の持ち主」と書かれており、いつの間にセクシー系になったのか?と思っておりましたら、この作品でも完全サービスシーンで胸筋が出てきました。作中ではありませんが、画像を貼りますね。
ふむふむ、確かにかなりのモムチャン。しかしイッてしまっている殺し屋なんですが、目の下にクマなんぞ作る死に神メークも不発で、そんなに狂気も感じられません。それなら一瞬ではなく、スーツなんか脱ぎ捨てて、ずっと上半身裸で頑張ったら良かったのに。それでバンバン回し蹴り見せてもらうのじゃ。そしたら私のポイントも上がったのになぁ。
どうせ韓国製のウェスタンなんですから、イロモノっちゃイロモノなわけですよ。あのチャールトン・ヘストンだってさ、キャリア下り坂の時期とはいえ、あの大スターが「猿の惑星」なんて、超イロモノSFに出た訳ですよ。それもパンツ一丁どころか、腰蓑一丁。「ベン・ハー」みたいな約束された作品で脱いだんじゃありませんよ。闘う相手はえてこと来たもんだ。お笑いSFになる可能性も大だった訳ですよ。(そう思うと、ヘストンって偉いよなぁ)今回のビョンホンも、一か八か、それくらハッチャけたキャラでも良かったかな。もしくはグッド役に回るとかね。
そしてウソン。実は私は彼が韓国の俳優で一番ハンサムだと思っています。しかしこの作品ではほっぺたパンパン。どうした、ウソン?というくらい、美貌が劣化しておりました。(画像は私の好きなウソン君)これは俳優としては如何なものか?男くさい、女は添え物のウェスタンだって、男の美貌は大事なんだぞ。そう思うと、どんな作品でもマックスで美しい金城武は本当に偉い。演技が下手であってもね、そこに彼の俳優としての値打ちは凝縮されておるわけですよ(力説)。腕利き賞金稼ぎとしても、ほっぺのせいか全体に鈍重でキレがなく、精悍さに欠けます。いやほっぺのせいじゃないな。宍戸錠はあんなほっぺでもカッコ良かったもん。唯一カッコ良かったのは、ラストの荒野での一大アクションシーンでの、馬上でライフルぶっ放すシーン。これは素敵でした。
唯一合格だったガンちゃん(あえて画像はなし)。人気のイケメン俳優を抑えて、一番彼が光るというのは、やはりタダもんじゃないですよ。彼の特徴は役者が役に近づく、所謂デニーロ・アプローチとは対極で、彼が役を引き寄せて自分のものにしているということ。だからどんな役をやっても「ソン・ガンホ」な訳です。こう言うタイプは、偉大な大根役者と呼ばれる人が大半ですが、ガンちゃんの場合はどんな役柄でもお芝居が上手。一旦「俳優ソン・ガンホ」自身を通過して演じる役は、どれもこれも実に愛嬌があってチャーミングです。彼の頑張りで、何とか観られたようなもんでした。
まぁラストの一大活劇は見応えあったかな?それでも長すぎて、やっぱり間延びしていました。尺を削ったら良いという、大半の感想に私も賛成。この題材なら、香港映画の方が、絶対上手く料理すると思います。
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