ケイケイの映画日記
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2009年01月22日(木) 「ヘルボーイ /ゴールデン・アーミー」




わーい、面白いぞ!秀作を連発するギレルモ・ジェル・トロ監督、プロデューサーからお金をいっぱい引っ張れたのか、前作より数段バージョンアップして登場です。思春期の中坊男子のようだったヘルボーイ、心はそのまま、今回愛するリズとの恋模様もしっかり描かれ、随分大人になりました。だって、××になるんだもの(想像してね)。

地獄生まれの正義のヒーロー、ヘルボーイ(ロン・パールマン)。相棒の半魚人エイブ(ダグ・ジョーンズ)と、発火念力の超能力を持つ恋人リズ(セルマ・ブレア)とともに、極秘任務を受けて超常現象捜査防衛局エージェントとして、街を守っています。今回の敵はエルフの末裔アヌダ王子(ルーク・ゴス)。かつてエルフは地球の支配を巡って人間と対立。しかしエルフの王は戦いに心を痛め、自ら作りだした鋼鉄軍団「ゴールデン・アーミー」を封印。三つの王冠に分散され、二度と蘇ることはありませんでした。しかしアヌダ王子はエルフ復権を目論み、王冠を我が手に得ようと暗躍します。

とにかく出てくるクリーチャー全てが、超チャーミング!みんなオドロオドロシイのに、愛嬌満点だったりします。今回はちんまい歯の妖精(可愛い!)から超大型のクリーチャーまで盛りだくさんなので、アクション場面は変幻自在で、どの場面も飽きさせることがありません。前作のクロエネンのスタイリッシュさに痺れた私ですが、今回クールなアヌダ王子が、クロエネンに代わり、見事な剣さばきをみせてくれます。前作に引き続き、敵役が魅力的なのも嬉しいです。

登場人物も少数の人間以外、人間のあり姿をしているのはリズだけですが、人間以外である彼らの、何と人間臭く愛しい事よ。リズの気持ちはとってもわかるわ。世界で一番愛する男は、乱暴で粗野で超短気。しかし本当は心優しき人で、誰よりも自分を愛してくれる世界でただ一人の人なのです。やんちゃな恋人を持て余し、上手く扱えない自分にも、彼女は苛立ちがあるのですね。そんな女心も全然わからない鈍感で善良なヘルボーイ。あぁほんと、若々しい恋人たちぶりで、いいわ〜。

今回物静かで知的な紳士、エイブにも清らかな恋が巡ってきます。相手はエルフのアヌラ王女。繊細で芯の強い彼女とエイブはお似合いで、観ながら、どうぞこの恋が成就しますようにと、願わずにはいられません。ヘルボーイと二人、各々が恋しい人を思い歌う場面は、出色です。

街の人々を助けたのに化け物扱いされ、意気消沈するヘルボーイ。「いい仕事をしたじゃない」とリズに慰められますが、「なのにどうして、こんなに気持ちが沈むんだ?」と、「人間外」として、決して世の中には受け入れられない自分に、苦しむ彼。そして異形の人々が暮らす世界での潜入では、「とても落ち着くぞ。お前も来いよ」と喜々としてリズを誘います。少数の異端者の哀しみを、さらっとですが、深く描いています。これは異端の異形の人々の形を借りて、人種・障害者などにも置きかえられて観られることだなぁと、心に染みました。

しかし前作で自分を否定していたリズの、今回の自信に溢れた颯爽として姿を見よ!これは愛する人がいて、愛される喜びがそうさせているんじゃないでしょうか?そんな彼女の「究極の選択」は、私にはとても共感できるものでした。

今回は「ダークファンタジー」の、ファンタジー部分が強化されている気がします。子供さんから大人まで、誰もが楽しめる良質の娯楽作として仕上がっています。私的にはそんなにオタク色は強いとは感じませんでしたが、コレは私がオタク気質が強いからか?こんなに面白いのに、レディースデーの劇場はガラガラ。ああぁあぁもったいない!


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