ケイケイの映画日記
目次|過去|未来
2008年07月21日(月) |
「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」 |
人生二回目の梅田ブルグです。大阪はここでしか上映がないのですが、二回目なので大丈夫さ!と、いきようようの私でしたが、地下鉄の出口を間違え、また迷ってしまいました。あぁ!方向感覚が全くなく、東西南北がわからない私。なのでこういう時は、駅員さんに聞くに限るのさ。「そこの地下、まっすぐ行ってもらったら、イーマビルの地下に出ますから」。お礼を言いつつまっすぐ行ったら、全然違うところに出たやんけ!(後でわかったのだが、あれは”阪神百貨店の地下をまっすぐ”という事であった)。しかし前回のおぼろげな記憶があるため、相当近くまで来たとはわかるのだね。しかしこういう時、一番信じられないのはこの私。そこで”梅田花月に来てね”の、うちわを配っていたお兄さんに、「すみません、梅田ブルグに行きたいんですが・・・」と、おすがりした訳なんですが、「あっ、ここですよ」と、地図がある場所まで連れて行ってくれ、「こう行ってああ行って・・・」と、まっこと親切な事この上ないイケメンのお兄さんのお陰で、無事到着することが出来ました。お兄さん、ありがとう。大阪の皆さん、夏は梅田花月へ行きましょうね。苦労の甲斐あって、映画は素晴らしく面白かったです!
ロンドンの警官ニコラス・エンジェル(サイモン・ペック)は、そのずば抜けた検挙率と活躍のため、上役たちから疎んじられ、ど田舎のサンフォードに左遷されてしまいます。十数年も事件らしい事件が起こったことがない、のどかなサンフォードでも、ロンドンと変わらず超生真面目に勤務するニコラス。いっしょに組むのは、署長(ジム・ブロードベント)の息子のダニー(ニック・フロスト)です。しかし太っちょのダニーは勤務中にお菓子や買い物に夢中で、おまけに超のつく刑事映画オタク。愚鈍なダニーにいらいらするニコラスですが、ある事件をきっかけに、この町を覆う何かに疑惑を抱きます。
この作品は未公開の傑作作品との誉れ高い「ショーン・オブ・ザ・デッド」の、エドガー・ライト監督×ペック主演と同じ布陣で臨んだ作品です。おバカ映画の冠に恥じない前半は、とにかくクスクスずっと笑えます。ペックがとってもカッコいいのに、何故かすごく笑えるのですね。カッコいいのに、すんごくバカに見える演出というのは、とっても高等技術だと思います。そのバカも「バカにしているバカ」ではなく、シチュエーションの間の悪さで表現しているので、ニコラスの浮かぶ瀬もあろうというのが嬉しいところ。
血眼になって仕事する自分がおかしいんだろうか?と、ニコラスが段々思い出した頃に起こった事件。この辺からの展開は、サスペンスではないので、観客もすぐピンとくる作りです。しかし組織ぐるみでバカを装っているのかと思っていたら、本当にタダのバカの集まりだったり、そのバカの集まりがニコラスによって正義感に目覚めたりする様子が、実にバカっぽく爽やかに描かれていて、清々しいです。お年寄りの扱いも、これはこれで華やかで、別の意味で敬意も感じてとっても良かったです。
爽やかと言えば、たくさん含みのある背景なので、どんな風に変身するんだろう?と思っていたダニーの変貌ぶりには大感激。銃など扱ったことのなかった彼は、大都会ロンドンで活躍したニコラスの、憧れをもっているのがわかります。ダニーは愚鈍でなく、優しく素直な青年だとニコラスが理解する時、ニコラスはダニーを相棒だと認めます。そこからが作品のもう一つのテーマ、「刑事もののバディムービー」という部分の始まり始まり。この辺がすっごく胸が熱くなります。
「ハートブルー」「バッドボーイズ2バッド」など、メジャーからほんのちょっと外した刑事もののパロディ部分というのも、監督、映画が好きなんだなぁというのが伺えて嬉しいです。その他スプラッタムービーのパロディ部分や、とにかくカッコよくてドキドキする銃撃戦やカーチェイスなど、相当アメリカ映画を意識した作りですが、イギリス流に洗練されたパロディやおバカは私には受け入れやすく、「俺たちフィギュアスケーター」の時のように、「まぁ面白いけど、それほどか?」との疑問も湧かず、とにかく楽しいのです。
このままカッコよく収まるのかなぁと思ったら、きちんと最後までおバカとドキドキ忘れず、それでいて最高にハッピーなラストを持ってくるなど、突っ込みも一切なし。主演のペックやフロスト以外でも、名優の誉れ高いブロードベントやティモシー・ダルトンが怪演しているのも、とっても楽しいです。
パロディはふんだんにあるものの、元ネタを知らなくても全く問題なく楽しめます。映画が好きでたくさん観ている人も、年に一度しか観ない人も、同じく横一線で楽しめるのは、監督の思いなのでしょうね。都会でロングランして、是非全国に回って欲しい作品です。
|