ケイケイの映画日記
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2007年04月19日(木) 「昭和残侠伝 死んで貰います」(道頓堀東映閉館上映作)

今日と明日とが、52年の歴史を誇ったこの劇場の閉館上映です。東映系のロードショー作品は、近場のラインシネマで観ることが多く、数えるほどしか通わなかった劇場ですが、なくなるとやっぱり寂しいもの。そういえばこの映画日記の記念すべき第一作も、この劇場で観た「死に花」でした。今では珍しい700席近い大劇場ですが、平日ながら今日は満員でした。

今回荒筋はカット。「昭和残侠伝」シリーズは、1965年から始まり、この作品も70年です。公開当時私は9歳なんで、もちろん映画館で観るなんてこともなく、テレビでやっていたら、チラチラ観た記憶があるくらいで、今回初めてちゃんと、伝説の花田秀次郎を観ました。

う〜ん、これが「義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい男の世界」か!とにかくかっこいいの!たった85分の中に、男の義理人情あり、色恋あり、なさぬ仲の母子愛あり、ドスを振り回しての大立ち回りあり、健サンの歌ありと、とにかくお楽しみが盛りだくさん。これが見事に整理されており・・・ってなことはなく、ボンとセリフだけで説明してみたり、秀次郎(高倉健)と幾太郎(藤純子)の恋の始まりなんて、目が点になるくらい無理な話なんですが、作品にあっちこっち強引に連れまわされる幸せがあります。

秀次郎や重吉(池辺良)の義理を重んじる姿も素敵ですが、善人悪人、白黒はっきりついている中、私が印象深かったのは、山本燐一のやくざ。自分個人の私怨は、幾太郎の女心に免じて引き下がるも、一宿一飯の恩義のある親分の頼みは、善悪関係なく「義理」を重んじる姿は、やくざ社会の義理人情としては、すごく真っ当な気がします。秀次郎や重吉の自分の意地には拳を引っ込め殴られっぱなしになっても、恩義のある人の死には自分の命を投げ出す姿は、きっと当時の観客の心を、ドスドス鷲掴みにしたのでしょうね。女の私が観ても、あれだけストイックに堅気のなっていた重吉の、「ご一緒願います」にはしびれたもん。そりゃもう、劇場を出たら、肩で風切って歩きたくなりますって。

売られたケンカを買う時と買わない時の間が絶妙です。いや〜昔の男の人って素敵だわ!と思いましたが、男があんまり男気溢れると、ついて行く女も大変なもの。今の時代には少々軟弱な男子がマッチしているのかもです。

しかしやくざもんが堅気になるって、難しいんですね。切っても切っても過去が追いかけてくる姿、捨て置けない義理が、業のように感じました。こんなチョイ役であの人が!というくらい、キャストは超豪華。加えて子役時代の真田広之も出てきます(すぐわかった)。四の五の言わず、畳み掛ける監督の怒涛の手練手管に酔いしいれて観るのが正解の作品でしょうか?監督は娯楽映画の大家・マキノ雅弘です。一部場面が飛んだり、フィルムの劣化が激しかったりしましたが、大きなスクリーンで観られて良かった!当時の観客は、今回以上に一体化して観ていたのでしょうね。

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ところで、今回の上映は二日間で10作品上映です。

「わんわん忠臣蔵」
「俺たちに墓はない」
「昭和残侠伝 死んで貰います」
「男の勝負」
「ホタル」
「関のやたっぺ」
「0課の女 赤い手錠」
「仁義なき戦い 広島死闘編」
「十三人の刺客」
「明治任侠伝 三代目襲名」
「鉄道員」

以上です。これって52年間に遡る道頓堀東映のベストなんでしょうか?
「0課の女」は、ピンキーバイオレンスの名花・杉本美樹主演で、私も秀作と聞いていますが、このカテゴリーなら、池玲子作品じゃないの?というか、その前に志穂美悦子の「女必殺拳」は?というか、それ以前に藤純子の「誹牡丹博徒」は?彼女は絶対映画史に残る女優さんですよ。あれだけ東映に貢献した菅原文太の主演が何故ない?「広島死闘編」は「仁義〜」でも彼の主演じゃないし、「トラック野郎」や「まむしの兄弟」とか、シリーズものもたくさんある人なのに。健サンが東映のキングなのは異論ないですが、明らかに健サン三本は多すぎ。最近の作品を入れたければ、「ホタル」か「鉄道員」をどちらかを止めて、「バトルロワイヤル」じゃないの?「俺たちに墓はない」を入れるなら、「仁義の墓場」は?

と、中途半端に映画の知識があるもんで、何となくすっきりしません。この上映セレクトは、東映通及び映画通の方には異論はないんでしょうか?どなたかご指南いただければ幸いです。明日も行くつもりなので、劇場にいた、たくさんの会社の方に聞いてみようかなぁ?出来るかしら?ほら、私って人見知りだから・・・。
ということで、明日に続く            **************


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