ケイケイの映画日記
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2007年02月15日(木) 「Gガール 破壊的な彼女」


末っ子急病のため、未だ一月分の作品を追いかけている私、やっとどうにかこうにか、追いつきました。この作品は本当は「赤い鯨と白い蛇」を観ようと劇場株主券を購入したのですが、チビが入院中に公開し、退院後も病院通いの息子に付き添っているうち、あ〜っと言う間に映画は終了。残るはこの作品とイ・ビョンホン主演の「夏物語」となってしまい、愕然とする私。ここの映画館は東京なら岩波ホールやBunkamuraなどの作品を上映することが多いのですが、何で今月だけこういうラインナップ!?この忙しい時に、何の因果で観たくもない映画を観るはめに・・・と思いつつ、韓国メロドラマよりおバカ映画を選んでしまう、ある意味非国民のワタクシ。うな垂れている時(嘘ぴょ〜ん)いつもお世話になっているFさんから、私なら大丈夫とお墨付きが(嬉しかったけど、それでいいのか?)。気を取り直して観て来ました。いや実にくらだん、実にバカバカしい。でもなんか愛嬌があって好ましいのですね。Fさん仰るところの、古き良き時代の、のんびりしたアメリカものの良さを思い出しました。

ジェニー(ユマ・サーマン)は普段は普通のOLですが、実はNYの町に異変が起こると、すぐさま超能力を駆使して大活躍する謎のヒロイン・Gガールなのでした。ひょんなことから設計会社に勤めるマット(ルーク・ウィルソン)と恋仲になりますが、嫉妬&性欲の深い彼女にいやけがさしたマットは、別れ話を切り出します。途端にジェニーは、その並外れた力を出しまくって、マットを滅茶苦茶にしてしまいます。

キャッチ・コピーにね、「エロかっこいい」と書いてありますが、それは嘘です。画像のように36歳2児のママのユマが、ミニスカはいて頑張ってますが、それくらい。エロなんて生易しいもんじゃない、はっきり言ってドスケベ女なので、下ネタ満載なんですが、その割にはエッチシーンでもスリップ着ているし、Gガールになったときの衣装も地味。ちょこっとボンデージ風の衣装の時もありますが、エロではありません。「バーバレラ」の時のジェーン・フォンダみたいな姿だったら、カッコよかったのになぁ。

お話の進行は、前半は女版「スーパーマン」のパロディ、後半はマットの裏切りにより傷ついた彼女の、職権乱用ならぬ超能力乱用で、まるで「危険な情事」のグレン・クローズみたいになっていく様子を、豪快に面白おかしく見せています。

まぁね、あんなに嫉妬深くて情緒不安定な女なら、男はどんだけ美人で床上手でもドン引きしますよね。そこが彼女のかわいそうなところで、そもそも彼女がマットを見初めたのも、自分の引っ手繰られた鞄を取り戻してくれたから。いつも庶民を守っている彼女が、人並みの女の幸せが、愛が欲しいのよ!!誰か私を守って!!と思うのは、無理からぬこと。演じるユマが、チョーミングでゴージャスなれど、思い切りよく変な女を怪演していて、これがとっても楽しいです。

マットとて最初は最高の彼女が出来た!と思っていたのが、あてがはずれるどころか、命まで危なくなるんですから、同情します。それと彼女と別れたい理由が、嫉妬や暴力ではなく、「彼女を愛していないから」ってゆーんですから、誠実な男性じゃございませんか?元々愛してたんじゃなくて、恋愛にご無沙汰だったから、彼女に飛びついただけなんですよね。

ルーク・ウィルソンが本当に普通のサラリーマンが似合うので、同僚のハンナ(アンナ・ファリス)と、親しき同僚から愛に移り変わる様子が、自然体に感じます。私は職場恋愛したことはないのですが、きっとこんな感じなんだろうなと、好感が持てました。ハンナを演ずるアンナ・ファリス(←)は、アメリカ版大和撫子とも言うべき女性で、外見は小柄でキュート、控えめ且つ有能なアシスタントぶりとアフター5ではの愛らしさ見せ、反面命懸けで恋しい人を守ろうとする情熱的な一面もあって、言わば男性には理想の女性。ファリスは何作が観ていますが、こんな可愛かったか?と思うほどハンナにぴったりで、堂々大女優ユマに引けを取らない存在感でした。

ハンナの女性らしさを賞賛するのと対照的に、すぐにセクハラだと叫ぶ女上司を登場させたり、ジェニーが嫉妬のあまりGガールの本分を忘れたりと言う部分を強調しているのは、きっとアイヴァン・ライトマン監督、ハンナを見習いなさいな、と昨今の女性たちにはご不満のご様子。しかし!「スーパーマン」から「危険な情事」へ、パロディの収束やいかに?と思っていたら、あっちこっちぶっ壊しながら、なんとほのぼのしたまとめ方かと、私はニッコリ。ラスト戦いに出る恋人を、いっぱいやりながら待とうとする男二人の満ち足りた顔は、はいはい、女性にはかないません、との愛のこもった包容力があるのです。やっぱり女性は男性には守ってもらいたいもの。それは時代によって、人によって、変幻自在なんですね。


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