ケイケイの映画日記
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2005年09月11日(日) |
「チャーリーとチョコレート工場」 |
ウィリー・ウォンカ、ウィリー・ウォンカ♪あっ、すみません。今劇中出てきたジョニデ扮するウィリー・ウォンカを賛美する歌が、頭の中を駆け巡っています。このシーンはね、遊園地みたいに人形がいっぱいでクルクル回って歌を奏でてね、でもそのセルロイドの人形の顔が所々剥げてて怪しくってね、それで最後はね・・・。あぁ〜言いたい!「ビッグ・フィッシュ」でついに円熟の大人になってしまったのか?のティム・バートンが、華やかでヘンテコな毒を撒き散らしながら、昔から戻ってきた作品です。
15年前ウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)のチョコは大人気でした。しかしチョコのレシピを盗むスパイの出現で、ウォンカはいやけがさし、チョコレート工場の従業員を全て解雇。工場を閉鎖後はどうしてチョコを作っているのかまか不思議でしたが、今も彼のチョコは大人気です。ある日ウォンカは、無作為にチョコの包み紙に入れた五枚のゴールデンチケットを手にした者を、工場見学に招待すると約束します。激しいチケット争奪戦の中、5人の子供達がチケットを手にしました。その中には激貧ながら仲睦まじい両親、寝たきりながら孫に愛を注ぐ4人の祖父母と暮らすチャーリー(フレディ・ハイモア)もいました。
オープニング、スペクタクル風にチョコの製造過程を写す画面と、ダニー・エルフマンのこれまた仰々しいスコアがマッチ、あっという間にバートンの世界に引き込まれます。上に書いたシーンは、ウォンカ初登場のシーンです。それまでもバートンらしい演出で楽しませてくれていましたが、工場見学ツアーが始まると、それに拍車をかけた毒々しくカラフルな、悪趣味寸止めのバートンの世界が繰り広げられます。お菓子で作られた工場内は、ちょっと「ヘンデルとグレーテル」を思わせます。
そのパワーに負けないくらいすごいのが子供達。チャーリー以外まともな子はおらず、生意気で勝気で躾の足らないわがままなクソガキ(あら、ごめんなさ〜い)ばっかりで、たった一人がもらえる特別賞を、我も我もと虎視眈々なのですが、世の中そんなに甘くない。性格の悪さが足を引っ張り、みんなにユニークなお仕置きが待っています。これがなかなかぞ〜とするお仕置きで、劇場でチラホラ見かけた良い子の皆さんの教育に、大変ヨロシク出来ております。その度に教育的指導の入った歌詞のミュージカルシーンもどきを見せてくれる、小人の従業員のウンパルンパも面白く観ました。
白塗りでオカッパ、ローズ色のリップのジョニデは、気持ち悪くもチャーミングなのはさすが。一番大切なのは家族という着地は、平凡ですがこれは児童文学が原作なので、ひねりがないのは仕方ないこと。それより児童文学がこんなに毒を持っているなんて、と考える方が楽しめます。
いつまでも少年ならぬ子供心を失わなかったバートンですが、子供世代に対しての正しい心への目配せだけではなく、貧しいのに両方の親の面倒をみていたり、厳格なのは子を思うためというウォンカの父の描写などに、家庭を持ち子供を持ったバートンの、親への感謝の気持ちも汲み取れます。子を持って知る親の恩でしょうか?私にも覚えがあります。筋的には平凡ですが、バートン復活を感じる嬉しくパワーのある作品で、私は大変楽しめました。
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