ケイケイの映画日記
目次|過去|未来
今日はナビオTOHOまで、この作品を観てきました。チラシに「『セブン』+『CUBE』の味わい」とあったので、この手の作品が大好きな私は、期待大での鑑賞です。
二人の男が目覚めると、そこは老朽化した汚いバスルーム。片足には鎖がはめられ、部屋の端と端に対極につながれています。中央には、頭部を打ち抜いたと思われる血だらけの死体が。何故ここにいるのか、皆目検討も付かない二人。ここから生きて出られるのか?・・・
といったストーリーです。予告編で「一人でストレスを溜めながら観てください。」みたいな文句が書いてありましたが、なるほど、もうちょっとであそこに届くのに、もうちょっとで連絡がつくのに、などの連続で確かに観ていてイライラします。しかし監督の言葉の、「疲労困憊になって欲しい。」というほど、息づまる感じではありません。
私は練りに練った脚本で、寸分の隙もない展開かと思っていましたが、結構ほころびもあるのです。特にオチは、サイコ物なら夢オチや多重人格で辻褄合わせしても良いのですが、これはシリアルキラーに理不尽に命を狙われた小市民のお話なので、観念的には理解出来ても、実際はとても無理なお話です。その直前までが手に汗握ると言う感じだったので、本当に惜しい!
狭いバスルームでの閉塞感・不条理感、生命の危機を前にしての露悪的な人間性の描写は、確かに「CUBE」を思わせましたが、描き方の詰めが今一歩甘い感じがします。「セブン」を思わす、堕落・罪・それを罰する殺人鬼の狂気の道徳観や哲学なども、無理なオチのため軽く感じます。
とはいえ、ラスト20分くらいの二転三転する展開は見応えがあります。グロさや生理的嫌悪を感じる場面も、これ以上見せると悪趣味になる手前で節度があり、視覚より心理的な痛さや怖さを感じさせる作りになっており、猟奇的な部分もありながら、品格は保っていました。
監督は弱冠27歳のジェームス・ワン。初監督作だそうです。脚本・主演はリー・ワネル。巷で聞くほど、傑作スリラーとは思いませんでしたが、若々しいエネルギーを感じ、面白く観られる作品でした。
|