MIKI.PRUNEの方丈日記
DiaryINDEXpastwill


2005年02月27日(日) ふたつの本

 今日、「冷静と情熱のあいだ」Rosso 江國香織
 そして「冷静と情熱のあいだ」Blu  辻 仁成
 を読み終わる。

 この作品は、2人の作家が文通のような連載を
 2年間続けたもののを単行本にしたものです。

 先ず、わたしは江國さんの方から読みました。
 江國さんは、あおいという女性を描いていますが、
 今は穏やかな恋人と一緒に暮らしているが、
 10年前に失った順正との心の穴が埋まらないあおい。
 誰よりも愛した男性と永遠に忘れられない恋を
 江國さんが女性の視点で描いています。

 10年前に交わした2人の約束は、
 あおいの30歳の誕生日にフィレンツェの
 ドゥオモで祝うというもの。

 いろいろなことがあったが、順正に逢いたいいう
 思いから、あおいはフィレンツェに向かう。
 そこには、順正が待っていた。

 2人は、3日間、フィレンツェで今までの思いを
 埋めるように愛し合う。
 しかし、あおいはミラノ行きの列車に乗って帰る。

 大丈夫だよ、とめたりしないから。
 わたしの顔が歪んだことに、順正が気づかなければ
 いいと思った。

 愛しているのにまた、この2人は別れてしまうのか?

 あおいが帰ってしまう幕切れで、江國さんの物語は
 終わってしまったので、不満なわたしは辻さんの
 物語を読み始める。

 辻さんの方は、やはり愛した女性への思いを捨てきれずに
 生きている順正を男性の立場で描いています。
 順正は芽実という女の子とつきあっていたが、
 やはり、あおいへの募る思いからと芽実へ悪いという気持ちから
 別れて、約束の日を迎える。

 フィレンツェで待つ順正は、あおいが来ないかもしれないが
 もしかしたら約束を覚えていて、来てくれるかもと淡い期待で
 待っている。

 やがて、あおいはやってくる。

 3日間のフィレンツェで過ごした2人は、ミラノ駅で別れてしまう。
 「本当に愛する女性を手放していいのか」と叫ぶわたしがいる。

 しかし、辻さんの物語では、

  駅構内にぶら下がる超特大の時刻表掲示板を見上げる。一番速い
 列車は18:19分発のユーロスターだ。それに飛び乗れば、
 ミラノに到着するのは21:00丁度になる。あおいの乗った
 インターシティよりも15分早く着くことになる。15分、たった
 15分だが、ぼくは未来を手に入れることになる。まだ間に合うのだ。

    中略

  改札を抜けると、ホームにユーロスターは横たわっている。

    中略

  ぼくはレールの先を見る。この列車がぼくを連れていく先で、
 静かに待っているに違いない、新しい百年を生きようと誓いながら。
  「新しい百年か」
  大きく深呼吸をしてからユーロスターのタラップに右足をかける。

 ここで、辻さんの物語は終わっているが、順正があおいを追いかけて
 新しい生活を始めることを予感させて終わったことに、
 「幸せになれよ」
 というわたしがいた。
 
 想い合う2人の苦しい胸の内を女と男の立場で描き、それがまた、
 新しいストーリーを生んで行く、この連載物語をその場で読んでいたら
 ハラハラ、ドキドキしたのではないだろうかと勝手に想像してしまう。
 1つの恋人同士を物語を2人の作家が作り上げるという面白い企画で
 生まれた物語に酔いしれました。

  今日の一首

  想い合う 心とこころ 結び付け ひとつに溶けあう 男と女

  傷ついて 離れていった 恋ごころ 結ばれること 信じて生きる


 
 あとがき この物語の順正は、絵画の修復師を職業としていますが、
      文中にかかれている名画を修復する場面は、実際に
      行われている作業がきちんと描かれている。
      それだけでも読んだ甲斐があった気がする作品でした。
  

 
 
 

 


MIKI.PRUNE |MAIL

My追加