♀つきなみ♀日記
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2001年06月19日(火) |
「知ってるつもり@陰陽師」の感想など/「沈黙の春」 |
感想は 「ケッ!」 以上<=おい!(失礼)
あれは「知ってるつもり」じゃなくて「知ったかぶってるつもり」だよね、まったく。夢枕獏さんも岡野玲子さんもスタジオへ来なかったはずだよ。突っ込みたい事は沢山あったんだけど、史実と伝説と創作をぐちゃぐちゃにしているんだよね、典拠も含めて。そして創作さえ、また別の話にしているし。ある意味、現在のTV的であると言えばそうなんだけど。風説と事実と推測と意見をごちゃごちゃで垂れ流すニュース番組と作り方が同じなんだよね、まったく。
偶然なのだけど18日月曜日に、NHKで「夢伝説〜世界の主役たち」で、「未来への伝言“沈黙の春”〜レイチェル・カーソン」が放送されていた。こちらはちょっくら感傷的過ぎるきらいもあったけど、ポイントは押さえていたような気がする。NHKは「NHKスペシャル-それはDDTからはじまった」でもこのテーマを取り上げていたので、調査に力も入っていたようだし。
「沈黙の春」(レイチェル・カーソン著, 青樹 簗一 翻訳 新潮文庫 ISBN: 4102074015 )は1962年にアメリカで出版された。著者の略歴や著作の詳細はレイチェルカーソン日本協会やレイチェル・カーソン関連文献ページでご覧頂くとして、私がこの本に大きな感銘を受けた点は、膨大な裏付けとなるデータや資料の集積と感情的ではない冷静な理論展開、そして美しい表現の両立だった。
彼女は著書の中で危険性を指摘しているDDTについてもヒステリックに使用中止を叫んだりする事は無かった。「絶対安全」を標榜する科学薬品に対して、無謀とも言える大量の空中散布や、害が不明な昆虫の撲滅運動に対して疑問を呈した。
「沈黙の春」に次の一節がある
>「人間だけの世界ではない。動物も植物も一緒に住んでいるのだ」
しかしこの言葉は、甘ったるいヒューマニズムだけから発せられた言葉ではない。この本の大きな柱となる考え方として、自然の「生態系」は「自然の摂理」による「食物連鎖」によって「生命濃縮」がはたらいている事が捉えてらえている。この「連鎖」と「濃縮」により今の言葉で言う「環境汚染」が徐々に進むことを看破し警告している。ざっぱに言えば「生命の連鎖が毒の連鎖に変わる」ということなんだよね。
>「この地上に生命が誕生して以来、生命と環境という二つのものが、互いに力を >及ぼし合いながら、生命の歴史を織り成してきた。といっても、たいてい環境の >方が、植物、動物の習性をつくりあげてきた。
人が環境を作るという逆転が、ある意味20世紀の高度文明を形成した訳なんだけどそこで忘れてしまった物を、レイチェル・カーソンは人々に思い出せようとした。
「生命への畏敬の念」
これはアルベルト・シュヴァイツアーの哲学とも言える考え方で、彼女はその言葉を引用した「沈黙の春」を彼に謹呈する。
そんな彼女に浴びせられた批判の数々は「生命への畏敬」とも「事実」とも関わりないものがほとんどで、ネガティブキャンペーンで有名な物は「レイチェル・カーソンは昆虫に地球を売り渡す」という物は、フィルムも現存している。
当時の大統領ジョン・F・ケネディーの指示により調査が開始され事実関係の資料が蓄積される中で、化学薬品へ対する連邦政府の政策は大きく舵を転換する。そしてその政策は徐々に世界へ波及してゆく事となる。
DDTの発見者ミュラ一はその功績によって1948年にノーベル賞を授与されている。但し、その当時の化学でその毒性を予測する事は困難であり、画期的農薬として世界は喝采を送った。しかし、現在に至っては有毒性の高い物質として認知され、研究者たちによる人間の健康に対する調査・検討が行われている。
「真実に忠実なれ」これは全ての研究者のみではなく、人に与えられた命題かもしれない。
ちょうど今年はセンス・オブ・ワンダー」の映画化そして上映も行われるのでもし未読の方はレイチェル・カーソンの著作を、お手に取って見られれば如何だろうか。
って事でまたね!
テキスト庵
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