昨夜、某クラブイベントで、ゲイよりのバイの子と知り合った。
「アタシも、レズよりのバイなの」
と言ったら、彼は少し考えてから「大変だね」と、私の肩を叩いた。
同性愛者同士だから。というよりは、
彼のその頭の回転の良さと、肩に置かれた手の優しさに親しみを覚えた。
彼と小一時間話しただけで、少し何かが楽になった。
同性愛で同じような苦しみを感じたことがある人と出会ったことは、
今までなかったから。
ストレートの人に相談しても、
「へぇ、そうなんだ。難しいね」
「彼氏作ってみれば。何か変わるかもよ」
としか返って来ないところを、
彼は的確に「好きだから、しょうがないよね」と、笑った。
笑顔がとても可愛い子で、思わず「ネコ?」と聞いてしまった。
一瞬体を引かれたから、あ・不躾なことを聞いてしまったなと思ったけど、
少し間をおいてから、「決めてないんだ」と苦笑いで返された。
どっちかっていうと、ネコだけど…。
オレ、アナルセックスはしないから。と付け足された。
「体が繋がらなくても、良いの?」
「んー…他にも色々、やり方はあるし。やってみる?」
トイレに誘われて。少し、考える。
「痛い?」
「痛くないよ」
「ゲイ、じゃないのか」
「バイ、だけど」
「どっちかっていうとネコって言ってなかった?」
「やるの、やらないの」
「…ゴムは」
「持ってます」
大音量で音楽がかかってるから、トイレの中はどんなに声を出しても平気。
それは別に、普通のペッティングみたいなものだったし、
まぁ、彼も私もちょっと調子に乗ってしまい、
最後までいってしまったことは伏せておく…。(伏せられてない)
やりながら、普通に会話をするのは彼も好きらしかった。
「インターセックスってやつかな」
「どっちが」
「アタシも、…きみも」
「きみはね、スカタチだね。女の子にするなら、挿れたいって思うでしょ」
「そう。いつも、なんでアタシついてないんだろうって思う」
「繋がりたいんだね」
私はそう笑う彼を見て、和む反面、ムカついてた。
彼は私のその様子を感じ取ったのか、
「女の子の方が、はがゆいよね」
と言って、体を震わせた。
はがゆい。
そう、なるのだろうか。
彼には今、彼氏がいるらしい。
一緒にいて、とても楽しい。幸せだと。
でも、その彼氏も、自分も、未来のことは、考えられないみたい。
因みに彼は23歳、その彼氏は…わからないけど。
世間の目はきっと、男同士も女同士も大差はないと思う。
要は気持ちの問題だから。
私は、凄く好きな子と、結婚したいと思ったことがある。
結婚、は、日本ではできないから、まぁ、…とにかく、一緒に暮らしたい。
生涯を共にしたいと。
私は、そのことを実際、その子に話した。
「結婚しようよ」とは言ってないけれど、
「もっとオトナになったら、一緒に暮らしたいね。ふたりで」
と、言った事がある。
彼女は深く考えもせずに、「良いね、楽しいだろうね」と笑った。
彼女にとって私は「そこ」どまりだからだ。
私にとって、彼女と一緒に暮らすのは「結婚」だけれども、
彼女にとって私と暮らすのは「友達との同居」になるのだろう。
それには「お互いが結婚するまで」というタイムリミットがついている。
もし、本当に私と彼女が一緒に暮らすことになったとしよう。
私は絶対、自分を抑える自信はない。
彼女も私のことを嫌ってるわけではないから、
きっと、ソウイウコトを、…拒むだろうけど、許してしまう気がする。
それが、怖い。
私は、彼女となら、一生誰にどう非難されたって良い。
けれど、彼女をそれに巻き込むのは、あまりにも、自分勝手な願いだ。
彼女は、ストレートの女の子だ。
彼氏がいたこともある。
いつか結婚して子供が出来て、…良い家庭を築くと思う。
それが、普通の幸せだ。
それが、彼女が手にするべき幸せ。
私が、ジャマをしてはいけない幸せ。
私は、彼女の未来予想図にはいない。
トモダチとして、存在してもいない。
だって、私にはあの日、見えたから。私たちの未来が。
君と私の道は、もう、交わらないから。
そう、君にも言ったけど、信じてくれなかったね。
「私ね、未来が見えるの」
「…見えるわけないじゃん。そんなの」
信じてくれない事は、別に、どうだって良い。
でもそれは、事実であり真実になるよ。
きっとその頃には、私が言った事なんて忘れてるだろうけど。
いや、私の存在すらも。
20040605