仕事じゃなきゃ来ることもなかっただろう山の頂で、 かすみがかった海と海岸線をまちを見渡す。 古里じゃないけれど、戸惑うくらい懐かしい気持ち。 まだ少し冷たい風が、強い日差しで熱くなった頬を冷やす。 ビルの谷間に鮮やかな夕焼けを見つけたとき、 雨の日のアスファルトの匂いを嗅いだときと同じように、 子どもじみた気分になった午後。
どれだけ肌を重ねても、届かない部分がある。 それを埋めたくて、時折、ひどく渇望して求めるのか。 どれだけ満足の声を聴いても、心がすうすうして困る。
職場でパソコンの画面を眺めてぼんやりする夜。
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