ケイケイの映画日記
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2017年05月27日(土) 「メッセージ」




SFは苦手ですが、監督のドゥニ・ヴィルヌーヴが好きなので、観てきました。ラストの後味は良いものの、今回はイマイチかと観た当初は感じていましたが、日が経つに連れ、段々と解釈が深まってきて、今では好きな作品です。

最愛の娘を亡くした言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)。ある日地球の12箇所に、謎の生命体が降り立ち、アメリカ政府も究明に当たります。彼らと交信すべく、軍のウェーバー大佐(フォレスト・ウィテカー)から協力の要請を受けたルイーズと物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)は、彼らに直接コンタクトします。

前半は退屈でもう。生命体の言語を解読する方法など、はぁ、そうですかと言う感じ。時間軸の事柄など、これらに造詣も持ち合わせず、興味も全く無い私は、観にきたことを後悔しきり。生命体のヴィジュアルも、個人的にイマイチ。あれはイカの墨か?しかし、時々挿入されるルイーズと娘の暖かで切ない様子に、心惹かれるものがありました。ルイーズが防護服を脱ぎ、自分を晒し、「私はルイーズ」と、生命体に語りかける様子は、彼女の人柄が伺え、好印象。

アメリカ以外にも生命体は降り立ち、各国で対応は様々で一枚岩ではない。アメリカが一番攻撃的な気がするけど、今作では中国でした。この辺は、アメリカが大国として認識している時勢が反映されている気がします。

世界規模を超え、宇宙規模のお話を、最後はどう収めたか?禁じ手スレスレ、それこそSFに造詣が深けりゃ、議論や理解も出来ますが、こちとら「わからない事がわかりません」のオツムなので、これなら何でも出来るわな、とは感じました。しかし後味は良い幕切れでした。

この幕切れが胸に残り三日間。あぁそうかと思い当たることが。ヴィルヌーヴが今まで描いて来た何作かは、子供を喪失した親が出てきます。監督はその苦しみを、涙ではなく、怒りと憎悪で描いていました。言わば、親になったための苦しみです。今作で描かれるのは明確な死。しかし、子を亡くしたとて、その子のいない人生が良かったのか?答えはノーでしょう。亡くす事がわかっていても、多くの親は子供に会える人生を選択するのでは?私ならそうします。そして、かけがえの無い時間を、今以上に大切にするはずです。

それは子供だけではなく、多くの過去の出来事にも置き換えられるはず。たくさんの映画でも繰り返し描かれる記憶。それらに込められるものは、「愛した記憶は忘れない」です。イアンのルイーズからの質問の答えが、この作品のテーマかと思いました。どうぞご覧になってくださいね。

壮大なお話の中に、今の世界的な世相を織り込みながら、国境は関係なく、パーソナルな事柄に到着したお話。原題は「ARRIVAL」です。


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