ケイケイの映画日記
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2024年12月18日(水) 「劇場版ドクターX FINAL」




実はね、このシリーズは、初回から最後まで、ずっと観ているのですね。特に大ファンではありませんが、ファンではあります。劇場版は、もういいかなぁと思っていましたが、蛭間重勝役の西田敏行の遺作となってしまい、これはもう、観に行かなくちゃとなった次第です。テレビドラマの拡大版の粋は超えていませんが、ファンなら色々感慨深いシーンもあり、観て良かったです。監督、脚本は、ドラマ版と同じく田村直己と中澤ミホ。

東帝大学病院では、新病院長の神津比呂人(染谷将太)が経費削減のため、強権を発動。非人道的なスケジュールで手術を組まされ、多くの医師や看護師が退職していきます。海外から日本に帰国した大門未知子(米倉涼子)は、比呂人の先輩で元同僚の森本(田中圭)の願いにより、東帝大に戻ります。森本が未知子の過去を辿っていくうち、比呂人と双子の弟多可人(染谷将太)は、未知子の師である晶(岸辺一徳)との因縁に、辿り着きます。

冒頭はお約束の荒唐無稽な設定でスタート。その後も大小小ネタで笑いを取り、まるでお茶の間で観ているかのような懐かしさで、楽しみます。笑いの中に、過去の出来事が挿入され、未知子が何故医者になったかが明かされます。晶さんとの関係も、ドラマファンが薄々感づいているのを、そのまま踏襲。私がグッと来たのは、「私、失敗しないので」の、一見尊大とも言える未知子の台詞秘話です。私はこのセリフ好きでね、手術前に医師に言われたら、どんなに心強いか。大門未知子にして、オペに怖気づく自分に喝を入れるためなのですね。自分に言い聞かせるのは、大切な事よ。

神津兄弟の晶さんへの感情は逆恨みです。ここはちょっと理由が陳腐だと思いました。時代の寵児の二人ですが、人格的には低い模様。だから医師あるまじき私怨で、病人を見棄ててしまう。

後半はその比呂人の医師としての未熟さに引っ掛けて、未知子やお馴染みの海老名(遠藤憲一)加地(勝村政信)原(鈴木浩介)の医師たちが一致団結、医師の矜持を見せてくれます。ここは素直に感動しました。鑑賞前は、染谷将太がファイナルのラスボスとは、ちと若造過ぎるなと思っていましたが、若い医師の未熟さと、ベテランの見せる、医師の真髄との対比のためだったんだなと、腑に落ちました。

予告編でチラッと映る未知子の「晶さーん!」の号泣は、観客をミスリードしておりますので、展開をお楽しみに。こうやって感想を書いてみると、監督と脚本のお二人は、ドラマファンにもご新規さんにも楽しめるよう、抜群の安定感で作りこんでいるなぁと、感嘆します。

城之内先生役の内田有紀ばかり若さを褒められますが、米倉涼子も充分若々しいままです。12年間、一貫してキャラのぶれない未知子を演じて、充分ファンを満足させて、私は大したもんだと思っています。変に貫禄が出ないのも良かったな。あっ、城之内先生も大好きですよ。というか、レギュラー陣はみんな好き。

晶さんも、最初の方ではオネエ言葉ではなかったですが、いつの間にか変わっていました。回想場面ではメイクが若過ぎて若干笑ってしまいました(ごめんよ)。晶さんに限らず、シリーズが変わるごとに悪役は入れ替わり、当初悪役の東帝大の先生方が、愛すべきキャラに移行したのも、脚本の妙味です。今回なんて、蛭間先生が未知子を守るんだもん。

西田敏行は、登場場面は多かったですが、全て着席。印象もいつもより老けていましたが、これが彼の見納めかと思うと、センチメンタルな感情が湧いてきます。最後に英語の追悼文が出て、「we miss you」の箇所には、思わず泣けてしまいました。うん、私もとても寂しいよ。

ラストはドラマ版で思い出深い登場人物が、当時の映像で出て来て、懐かしさがいっぱいでした。長く観てきて、良かったなと思います。何となく次に続く希望が見えるラストでしたが、ドラマでいいから観たいです。「メロンです!」は、晶さんも未知子バージョンもあるので、お楽しみに!


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