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ホワイトバンドは募金ではない - 2005年07月31日(日)
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ホワイトバンドはどうやら品薄らしい。
公式HPでも、ヤホーでもそう言っている。
その割に、僕は街でこれをつけている人をほとんど見かけない。
今までに見たのは3人。
大学の後輩が私も買いましたとメールで送ってくれたのをあわせると4人。

で、この事態の理由を自分なりに想像すると、
300円払ってこれ買ったから、きっとこれがいいことに使われるんでしょう。
そうだったら夏場は暑いし、なんか邪魔になるし、別にいつもつけてなくてもいいよね、
ってことなんじゃないだろうか。

しかし。
端的に言って、ホワイトバンドは募金ではない。
公式HPにはこうある。

「20年前、アフリカ救済イベントで280億円の寄付を集め、
喜んだのもつかの間、それがアフリカでは先進国への債務返済に一週間で消える額でした。
寄付だけでは、貧困のスピードに追いつけないのです。
みんなの意向を集めて、政策を引き寄せなければ。」

つまりこのプロジェクトは、目先の寄付・募金よりも、
そもそも世界の一部に貧困をもたらしている構造自体を変革することを重視し、
(具体的には、1)貧困国の市民社会の育成、2)貧困国の債務帳消し、3)フェアトレードの実現)
そのために、世論を動員して先進国の政府を動かそうとしているのだ。

こういう考え方が基本にあるので、
このプロジェクトは「政策を引き寄せ」るための広報費に非常に大きなウェイトを置いている。
公式説明では、300円のうち、原価が90円、流通経費が120円。
残りの90円が「世界の貧困をなくす為の活動資金」である。
そのうち30円が「貧困削減を推進するNGO活動」に使われ、
60円が「貧困をなくすための様々な普及広報活動」に使われる。
ちなみに「普及広報活動」の費用には、「広告宣伝費、店頭チラシ・ポスター・広告等の印刷物の制作費、ウェブの制作費、システム構築費、解説ビデオの制作費、編集作業費など」が含まれるという。

この数字ではっきりするだろう。
仮にホワイトバンドを日本のすべての人口が購入したと仮定しても、
(当然だが、これはまったくあり得ない仮定である)
集められる「活動資金」は10億8000万円。
原価や流通経費からも間接的な効果は期待できようが、
(そもそも90円というやや高いと思われる原価が、フェアトレードの実践だろう)
それだって大した額ではない。
上にあるとおり、20年前の280億円が焼け石に水だったのだ。
「たかが」11億ぽっち、なんの力を持つだろう?

これは私見であって、プロジェクトの公式見解とは違うかもしれないが、
このプロジェクトは、
これだけ多くの人間がホワイトバンドをしていますよ。「ほっとけない」と思っていますよ、
という視覚的なインパクトによって、
「それでもあなた方は無視するんですか?」と各国政府にプレッシャーをかけるためのものだと思う。

だから、このプロジェクトに乗る、と決めたなら、
なによりもまずホワイトバンドをいつも身につけて、
寝ても覚めても世界の貧困について考え抜こう、とは思わないまでも、
しかるべき時には声を上げますよ、という姿勢を示すことが重要なのだと思う。

もう一度だけ言っておきたい。
ホワイトバンドは募金ではない。
だから、買った人は身につけてください。

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存在の耐えられない軽さ - 2005年07月24日(日)
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射殺男性は爆破事件とは無関係=ロンドン警視庁
[ロンドン 23日 ロイター]

 ロンドン警視庁は23日、地下鉄ストックウェル駅で警官が射殺した男性は、21日の爆破事件とは無関係であったことを認めた。
 男性はブラジル人の電気技師で、3年前からロンドンに住んでいた。
 22日、この男性が地下鉄に乗り込もうとしていたとき、私服警官の制止を振り切ったため、爆弾を携行している可能性があるとみて、警官が頭部に向けて5発を発砲した。
 ロンドン警視庁は、「男性が21日の爆破事件と無関係であることがはっきりした。あのような状況で命を落とすことになったことは悲劇であり、遺憾である」と表明した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050724-00000807-reu-int
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おいおい。なんだこのスコットランドヤードのコメント。
人ひとり殺しておいて、他人事みたいに「悲劇で遺憾」?
ふざけるのもいい加減にした方がいい。

なんでも、「格好と挙動が不審」だったので、
追いかけ、床にねじ伏せて、頭に5発銃撃だと。

信じられない。

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【今日の一本】純芋醸酎☆ - 2005年07月22日(金)
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純芋醸酎【じゅんいもじょうちゅう】
国分酒造(鹿児島県国分市)
33度

黄麹(芋)
原酒

◆一般的な焼酎は、1次仕込みの時には米に仕込んだ麹を使用する。
が、これは、芋に麹をつけ、仕込んでいる。
この蔵は「いも麹 芋」(以下、いも芋)という銘柄で、
初めて芋麹仕込みの焼酎を世に出したことで有名。
◆で、この酒は、
いも芋の単なる原酒かというと、そうではない。
◆いも芋は白麹である。
それに対して、この酒は黄麹。
さらに、蔵元のホームページ上の情報によると、
蒸留方法も工夫しているらしい。
◆ちなみに、この芋麹仕込み、大変な苦労だったそうである。
現在では、西酒造の「宝山 芋麹全量」【ほうざんいもこうじぜんりょう】、
小牧酒造の「一刻者」【いっこもん】、黄金酒造の「蘭」【らん】など、
芋麹仕込みの酒が増えてきている。

◆前置きが長くなってしまった。
ロックでいただく。
◆この酒と、いも芋の特徴は、「若い木の感じ」である。
少し青臭い香りがして、甘みがふわっと広がり、
しかしたちどころにシャープな後味が飛び出てくる。
スパッと斬られる感じ。
◆さらにこの酒は原酒なので、
当然いも芋よりも口内でのアピールが強い。
爽快ですらある。
◆しかし。
この酒、自分にとっては、いまだにどこか掴みどころがないのである。
今日みたいに、素直に「うまい!」と感じて、
スイスイ飲んでしまう時もあるが、なぜかすごくひっかかりを感じたり、
甘みを感じず、青臭さばかりが目立って「あれ〜」と思ったりする時もある。
◆はっきりしたわけではないが、
うまい!と感じるのは、今日のように、食中にいただいた時が多い気がする。
最初にこの酒に感じ入ったのは、千歳烏山の「菴」で飲んだときで、
(いも芋をいただこうとしたら切れていて、その代わり店のお兄さんにこれを勧められた)
その時ももちろんものを食べながら飲んでいた。
◆少なくとも僕にとっては、食中酒としていただくのがベストなのかもしれない。
◆ますます奥が深くなる焼酎の世界に呆然とするばかりである。

◆「奥」の字で思い出したが、奥菜恵が離婚した。
これでまた俺にチャンスが回ってきたぞ!

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【今日の数本】八木合名祭り - 2005年07月18日(月)
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右から
八千代伝(新酒無濾過)
八千代伝(白)
八千代伝(黒)
千代吉【ちよきち】
悟空の眠蔵
いずれも八木合名会社(鹿児島県垂水市)


◆今晩は八木祭りということで、
我が家にある八木さんの酒をすべて部屋に持ち込み、次々に飲む。

◆こうやって八木さんの酒を次々と飲んでみると、
まるでモダンジャズのようだ。
◆この蔵の酒には、定型のコード進行と、しっかりとしたベースラインがあって、
その上に、それぞれの銘柄がソロを奏でる。
◆極めて単純に、一言で表すなら、
千代吉は控えめでビター。
八千代伝白は甘く、スロー。
八千代伝黒は奔放で、華やか。
新酒無濾過は荒削りで激しい。
悟空は一筋縄でいかない理論派。

◆酒の味わいを特定のジャズメンや演奏にたとえてみるのは面白そうだ。
少なくとも自分の頭の整理には役立つかもしれない。
人には伝わらなそうだけど。

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【今日の一本】なかむら穣☆ - 2005年07月16日(土)
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なかむら穣【なかむらじょう】
中村酒造場(鹿児島県国分市)
37度
芋(コガネセンガン)
白麹(米[ヒノヒカリ])

◆僕のような、焼酎歴たかだか2年強、
芋焼酎歴1年弱のヒヨッコに言われるまでもなく、
焼酎という酒のすばらしさの一つに、
「飲み方の多様性」というのがあると思う。
◆生(ストレート)、ロック、水割り、お湯割り、燗。
これだけのヴァリエーションがあって、
そのどれもが楽しめるという酒はちょっと他にないだろう。
ビールを「ストレート」以外で飲む人というのは聞いたことがないし、
同じ蒸留酒のウィスキーでも、さすがに前割りして燗をつけたりはしない。
◆これだけでも楽しいのに、さらにもう一段階の楽しみがある。
燗・ロックでじっくり飲んだときの、時間の経過による味の変化である。

◆最近、行きつけの店では、燗しか頼まないといってもよい。
その店では、燗を頼むと、水割りを入れた黒ぢょかに火をかけてサーヴしてもらえる。
中身をすこしずつ猪口に出して味わい、温度を確かめながら、
ちょっと強めに温めたかな、というところで火を吹き消す。
◆そこからはただちびちび、ちびちびと飲むのである。
火は消えているのだから、当然酒は徐々に冷めていく。
◆焼酎は、温度の変化にしたがって、本当にいろいろな表情を見せてくれる。
これが楽しい。
◆この「楽しみ」は、もちろん酒によるところもあって、
温めすぎるとアルコール感が立ちすぎたり、
ぬるすぎると味がぼやけてしまって、ちょっといただけないものもある。
◆しかし、そうならそうで、
その酒のベストの温度帯で飲むべく全霊を傾けるのである。
これだって同じくらい楽しい。

◆一方、アルコール度数が高い原酒や初留取りの酒ならば、
ロックで味の変化を楽しむことが出来る。
◆今日の「なかむら穣」を飲んでいて、それに気付く。
◆まず生でいただく。
冷凍庫には入れていないので、常温である。
口にすると、面積の広い甘さを感じる。
そして、甘さが引いていくときに、すっと「芋らしさ」が顔をのぞかせる。
しかし、さすがに37度は強い。
幾分かの厳しさを感じてしまうのは否めない。
また、常温なので、口の中でもたつく感じがある。
◆次に、ふつうに冷凍庫でつくった小さい氷をひとかけら入れる。
当然だが、氷が溶ければ、酒は薄まり、温度も下がる。
こうすると、生で飲んだときに感じた厳しさやもたつきが薄らぐ。
◆そこで、もう一つ氷を入れてみる。
ここのバランスが最高だ。
適度なパンチがあり、飲んでいて爽快である。
味のアピールも力強い。
◆もう一つ氷を入れてみる。
これでも芯は残っていて、味は崩れない。
全く抵抗感なく飲むことが出来るが、原酒らしい力強さや、ふくよかな味の広がりは消える。

◆好みで言えば「第3段階」であるが、
どの段階にも、ならではの良さがある。
さらに言えば、1・2を通っていかなければ、
この3の良さにも気づけないかもしれない。
◆いずれにせよ、これを楽しみと言わずになんと言おう。

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白い腕にからみつくもの - 2005年07月15日(金)
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ホワイトバンドを買った。

「3秒に1人、子どもが貧困から死んでいます。食べ物がない、水が汚い、そんなことで。この状況を変えるには、お金ではなく、あなたの声が必要です。貧困をなくそう、という声を表すホワイトバンドを身につけてください。」
http://www.hottokenai.jp/home.html

しかし僕はこれ以後も、
このプロジェクトに身を粉にしている人のようには、
「世界の貧困」に絶大な関心を寄せはしないだろうし、
その解消のために我が身を情熱的に捧げることもないだろう。

ならば、こんなものをはめることに何の意味があるのか?
満たされるだけ食べ、さらに満たされるための消費活動を繰り返す僕が。
こういうのを「欺瞞」というのではないか?

しかし一方、欺瞞だと言って何もしないよりは、
とりあえずこのプロジェクトに「乗る」ことの方が前進なのではないか。

しかし、やはりこんなものをはめるだけで、
それ以上に我が身を情熱的に捧げようとしないのならば、
このホワイトバンドは前進につながるものではなく、
単なる「免罪符」にすぎないのではないか?

しかし一方・・・


とりあえず、僕はバンドをはずさないことにした。
バンドは少し大きくて、僕の左腕でふらふらしている。
たまに、軽い違和感を覚えて左腕に視線をやり、
そこに白い輪がはまっていることを確認する。

これは、脆くはかない僕の想像力・共観力・持続力を喚起させる装置だ。
「忘却」という端的な罪を犯さぬために。

この左腕に、貧困にあえぐ人々と、僕自身の煮え切らない感情がからみついている。

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また、よい焼酎入荷しました - 2005年07月01日(金)
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悟空の眠蔵【ごくうのねぐら】
八木合名会社(鹿児島県垂水市)
25度
芋(クリコガネ)
米麹[麹種不明]

◆八千代伝を造る八木さんの限定酒。
とりあえず八木さんの酒はすべていただいてみたい。
ところがこの酒、今年は2100本しか出ないと聞いていたので、
おそらくいただくことは出来ないだろうと思っていた。
◆が、今、ここにある。
なんとも幸せである。
◆生でいただいた第一印象
うまい。
とてもうまい。
八木さんの酒のクセ(香りなり味なり)がちゃんとあって、
その上、今までいただいた八木さんの酒のどれよりも、
まろやかで、広がりがある。
第一印象時点では、八千代伝黒を越えた。
◆これは幸せだ。
◆そういえば、買った店のおばちゃんは、
この酒に納得した上で売りに出している感じで、
僕が八木さんの酒が好きだと言ったら、とても喜んでくれた。
こういう出会いがあるから、酒屋巡りは楽しい。

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 マエ    ツギ    モクジ



∴オキニイリニツイカ∵
























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