---------

ソツロン合宿(2日目) - 2002年08月31日(土)
---------


8:00起床。
ザ・二日酔い。
酔っていた上に枕が違ったため、首筋が猛烈に痛い。
昨日はそんなに酔っているという感覚はなかったんだけど・・・
飲み続けた時間と飲んだ酒の種類を冷静に考えてみれば、
確かにかなりのものだったわけで。
ああ、今日はもう酒飲むのやめよう・・・

というわけで、午前中の第3セッションはかなりツライ・・・
でも不思議と眠くはならず。
ずーーーと首筋をマッサージュしていた。

本日の午後は、フリータイム。
オサム書くために宿に残ってようかと思ったんだけど、
結局、先生が是非一度言ってみるべきだとおっしゃっていた鬼押し出し園へ。
もともと息抜きのつもりできた合宿なんだからね。

タカシ先生の車に乗せていただいて、6人で行く。
山道をかき分け、結構な距離を走る。
途中の有料道路が絶景。
空へまっすぐに続く上り坂、荒涼とした大地、もやがかる浅間山。

鬼押し出しに到着。
歩きまくり。
展望台フェチのサカグチ君たっての希望で、
「見晴台」がある、一番外周の、普通の客は絶対に歩かないようなコースを選んで歩く。


鬼押し出しの典型的風景


浅間山の火山活動が続いている関係上、
歩道には定間隔でコンクリ製のシェルターが設けられている。
そこで発見した↓


こいつら、毎年来てるよ・・・

ちなみに「ケンジ」と「ヒロコ」と思われる。
別の奴にいたずらされて、「ケシジ」とか「ロロロ」とかになってるけど。
ちなみに、2001年までは毎年あったが、
今年の分は見つからず。
「別れたのかな?」と誰かが言い、
「いや、ロロロが妊娠したから来られないんじゃない?」と誰かがフォロー。

それにしても歩く。
他の客が全然いない。
かなり歩く。
ふと気付くと、ノーマル状態ではトーキングマシン状態のイタクラが無言。
新発見
「イタクラを黙らせるには、歩かせよ」

結局1時間半近くは散策して、ようやく元のところに帰ってくる。


1)
2)
3)
ネタ三連発。
1)怖い
2)お兄ちゃん頑張れ
3)エラソウだぞ

もう疲れたので、宿舎のタカシ先生に連絡して、迎えに来てもらうことにする。
待つ間、トイダ君とアサカワ君がソフトクリームを食べているのを見て
イタクラが「男がデイト以外でソフトを食べるのはキモイ」と批評し、大論争に。
それを後目に、うまんは静かに地酒とおつまみを購入。

それにしても、ソフトクリームを食べる男はキモイのか?
みなさんの意見をお寄せください。

40分くらいして、タカシ先生到着。
せっかくだからと、白糸の滝を見て、旧軽井沢の方を通って、帰る。


白糸の滝


帰ってみると、スケジュールが変わっており、
「夕食→最終セッション」が「最終セッション→夕食」になっている。
最終セッションで発表する僕は突然の変更にうろたえる。
心の準備というものが・・・
とは言ってみても、仕方がない。
お陰でセッションの他の人の発表はあまり耳に入らず。
おまけに鬼押し出しで歩きすぎて疲れたので、眠い。
しかしそこはプロ(×)。
自分の番になればしっかりテンションも上がり、
いつものように声が大きくなり、
30分ほど発表、さらに30分ほど質疑応答。
よろしくやった。

そして、セッションが終わった瞬間、

「ビール!」

(本日記7行目参照)
いやー、嬉しいね。
だから発表って好きだよ(笑)

メシ食って、今日の夜は花火。
ビールを飲みながら、堪能。


先生、花火大好き


原始の明かり


残火


風呂に入って、離れにいたミヤコシさんの恋愛相談室開設。
途中で飲み会から離脱してきた先生が戻られて、相談に加わる。
学校の研究室では決して味わえない、たいそう愉快な時間。

でもさすがに夜は持たず、(それでも)1:45頃には就寝。

===============


---------
ソツロン合宿1日目 - 2002年08月30日(金)
---------


パワーブックが入っているせいで猛烈に重いリュックを背負って、
自転車で学校へ。9時集合。

タカシ先生の車と、カトー君の車に分乗して、
さらに残りの人たちは電車に乗って、合宿先の軽井沢へ向かう。

カトー君の車はカトー君とミヤコシさんと僕の三人。
大泉から関越道に乗って、上信越道に入る。
途中横川のSAでタカシ先生の車と待ち合わせ。
昼食。
不味いチャハーン(450円、塩加減極悪のスープ付)を食べる。

碓氷軽井沢ICで降りて、山道を通って国道18号に出る。
軽井沢って何回か行ってるんだけど、地理が未だにつかめない。

13:40頃に合宿場に到着。

 


合宿場はこんな感じ

とりあえずぼーっとしたり、思いついたようにPCをつけてオサムいじったり。
何人かは食材の買い出しに。自炊なので。

14:30を回って続々と人が集まり始め、
15:00すぎから卒論発表の第1セッション。
眠い。
やれやれ。

セッションは2時間ほどで終わる。
酒などが足りないし、花火もないということで、
近くのスーパーに買い出しに行く。

19:00頃から夕食。
合宿お約束のカレー。
夕食時にさっそくバドワイザーを飲む不良院生。
さらに氷結果汁まで飲む。
でもお陰でテンションが上がってきた。

20:00から発表第2セッション。
これも2時間ほどで終了。

風呂が一つしかないので、女性が先に入ることに。
それまで所在ないので、当然飲酒することになる。
先生が早くもエンジン全開。
日本酒(ガソリン)満タン。
学部生も意外に飲めるクチが多いので、大規模な宴会に。

23:00すぎ、ささっと風呂に入る。
風呂を上がってからタオルを持って来忘れたことに気付く。
悲惨。
べたべたのままパンティとハーフパンツはいて、
上半身ハダカのまま寝室がある離れに戻る。
やれやれ。
でも、湯上がりの身体に軽井沢の夜の空気は涼しかった。
沁みた。

宴会は終わらない。
綿々と続く。
そして、夜食係は洋食屋の息子、うまん
彼が出してくれる夜食をつまみながら、
ビール・チューハイ・日本酒・カルーアを次々に飲む。
飲む、飲む、飲む。

酒の力が加わって、内気のはずの私が次々に学部生と親睦を深める。

さすがに1:00を回って少しずつ人が減っていく。
2:00、3:00。
ついに宴会場(兼食堂兼勉強部屋)に残ったのは、
カトー君とイタクラと僕だけに。
このイタクラっていうのが猛烈にオモロイ娘。
天性のキャラクター。

結局3:30まで話して、ようやくお開きに。

===============


---------
オチまで1マイル - 2002年08月29日(木)
---------


午前中、明日から行く先生の卒論合宿の準備。
荷作りしたり、パルコに買い出しに行ったり、オサムのデータをパワーブックに移したり。
さらに少し時間があったのでオサムをいじってみたり。

昼間からお出かけ。
といっても学校。
今日は哀愁に行きたい!という希望に満ちた高校生のためのオープン・キャンパスの日。
その出し物の一環で先生が授業をされるというのを聞いたので。

高校生に交じって普通に授業にもぐる。
テーマは「陪審員制度」。
高校生向けに話を易しくしていて、
ああ、先生もいろいろ努力されてるんだなあ、と思った。
人にものを教えることっていうのは、難しいけど、だからこそ楽しいのだろう。
(当方、塾講・家庭教師などの経験なし)

15:00から、卒論合宿の事前ミーティング。
スケジュール決めたり、現地までのルート確認をしたり。

この卒論合宿は、先生とタカシ先生の下で卒論を書く学部4年生の集まり。
なので、僕は軽井沢の空気を吸って、
若い衆の卒論にちょっと口をはさんだりして、
軽い気分転換をしようか、という趣旨で参加を決めたんだけど、

タカシ先生「えーと、じゃあ学部生のみなさんがあまり準備してないみたいだから、sjo k.くんね、君も発表するかね?」
先生「おお、そりゃいいねえ。学部生の模範になる発表としてねぇ」


もちろん断れず。
余計な仕事が増えた・・・

本当にまっっっっっっっっっったく心の準備ができていなかったため、
発表の構成や内容を考えながら帰り、あわてて1時間でレジュメを作る。
内容の細かいところは行ってから考えることにして、とりあえずレジュメだけ。
なんとか作った。

そして電車に飛び乗る。下北沢へ。
美和ちゃんのカレシが働いている焼肉屋でワダイコ部員と夕食。
久しぶりの焼肉。
美味かった。
あ、美和と美味って似てるな・・・

と、こんなオチでいかがでしょうか?

===============


---------
人事院4回目(メグちゃん付き) - 2002年08月28日(水)
---------


今日は人事院。
もしかしたら夏休み最後の来庁になるかも、と気合いで。

新宿駅を降りてからの流れがよかったのか、
いつもより一本早い丸の内線に乗る。
5分早く霞ヶ関に到着。

今日はUさんが部屋にいらっしゃった(ちょうど席を立つところだった)ので、
ご挨拶をしてから図書室へ。

エンジン全開で特命リサーチ200X。
特命リサーチは佐野史郎の方が絶対よかった。
誰が何と言おうと絶対よかった。
あの竹中直人のチーフのキャラクター、好きじゃない。
・・・何の話だ?

ああ、リサーチ。
リサーチ。


人事院図書室のアイドル、メグちゃん


12:00。
人事院来庁のメインイヴェント(×)、
Uさんと昼食ツアー。
今日は厚生労働省と環境省の入る、合同庁舎5号館の26階食堂。
食事後、隣の喫茶室にまで招かれ、
久しぶりのコーラフロートを飲む23歳。

12:55、図書室へ戻る。
今日が最終日と思って集中・・・しようと思ったが、
これも恒例の睡魔体験ツアー。
10分間船を漕ぎ、無事日本に生還。
それからは集中してノートを取り、資料を漁る。
最初は愛想悪かった図書室の方々ともだいぶん仲良くなった。
ううむ。
しばらく来なくなるのが惜しいくらい。



多分企画会議が長引いてヤケクソになった末の命名。


16:55、早期退庁。
18:00帰宅。


要塞





ひかりをつかまえて


夜、アマゾンでの素敵なショッピングを楽しむために作った
Franc francクレジットカードがようやく到着。
スタイリッシュなデザイン。
どうせフランならもっとカラフルでカワイイデザインの方が・・・とも思うんだけど。
まあいいや。

さっそく勢いでアマゾンに行き、CDを一枚購入。
現金の受け渡しがないから感覚が鈍る。
気を付けないとね。

===============


---------
銭湯と千尋の神隠し - 2002年08月27日(火)
---------


午前中、太鼓。
ここのところ、学部時代にメインで活動してた頃よりも
数倍マジメに練習している。
どれだけ練習してなかったんだ、って話だ。

帰って、ぼちぼちオサムをやる。
夕方、仕事上がり直前の大塚から電話がかかってきて、
仙川の銭湯に誘われる。
久しぶりに人に遊びに誘われたので(;o;)、ノコノコついていく。

銭湯は入浴料500円で7種の風呂(露天含む)に入り放題。
サウナ→露天→蒸し風呂→立ち風呂→ペパーミント&オレンジ風呂→スーパージェットバス
満喫。

晩飯どうしようかという話しになり、
とりあえず一旦大塚のアパートへ戻る。
途中、某40km道路で、調子に乗った大塚は140km/hを記録。
死ぬかと思った。
っていうか100キロオーヴァーって・・・
二度と乗りたくない。
ゲツソリ。

大塚の部屋で、大塚が大学時代に撮った写真をいろいろ見る。
写真学科にいただけに本格的。
「あ、これ、昔のカノジョ」
合掌。

20:00頃、そろそろ腹も空いてきたので、晩飯。
和み亭。
ワミテイと読んではいけない。
料理もそこそこの味だし、安いし、満足。
酒3杯飲んで、それなりに食べて、2300円なら安い。
下ネタ全開。絶対周囲に聞こえてた。
公害。

23:00頃にお開き。
最寄りの多磨霊園駅から電車に乗って帰る。

京王線ユーザーは知ってると思うんだけど、
多磨霊園は各駅しか止まりませんゆえに、
しかももう夜も更けておりましたゆえに、
電車が全然来ない。

そこで、一度やってみたかった

「電車待ちのホームで特に用もないけど恋人に電話」

夢達成。
意気揚々と帰宅。

===============


---------
完全にハマリ。 - 2002年08月26日(月)
---------


オサムが書けない。
情けない。

松谷を呼びだして、久しぶりに運転。
246沿いのブックオフを2軒回る。
これくらいしかない、僕のストレス発散法。
結局、合計して6冊購入。


ギョクロ・・・?

松「多分、露って字を覚えたてで使ってみたかったんだろ」


帰っても、やはりオサムが書ける気はしない。
そんな「気」でゴタゴタ言ってないで、実際書けよ、書いて見ろよ、タコ!
って思うんだけど、気持ちが全然向かわない。
遠藤周作『深い河』を猛烈に読む。

最近、小説を読んでいて、大嫌いなキャラクターが多い。
「生理的に受け入れられない」レヴェルで嫌いなキャラをたくさん見る。
たまたま選んだ小説が悪いのか、僕の精神状態が悪いのか。

===============


---------
サイクリングでGO!GO! - 2002年08月25日(日)
---------


朝気付いたら9:45。
最近にしては寝坊。
イカンイカン。

オサム。
ちょっと壁にぶつかる。
ううむ。

夕方、気分転換に、自転車で学芸大へ。
1ヶ月前にサヤマさんに借りてもらった本を返しに行く。
片道40分。
特に往路は全力疾走。
いい運動になった。

ああああっ!
ヴァーム飲むの忘れた・・・

++++++
<今日の業務連絡>
members(m1).aol.com/cokeberry1経由でこの日記に来ている方、
あのページはとうの昔に廃止されたもので、aolが削除を怠って残っているだけです。
新しいホームページは、sjok.cutegirl.jp。
コレ
だね

===============


---------
夢の国へ - 2002年08月24日(土)
---------


午前中オサム。
午後からカノジョと永山のブクオフ。

1回目はおどおどしたが、
今回は慣れたもの。
カノジョにバス乗り場をご案内。
電車のタイミングが良かったので、着いてすぐバスが来た。

新発見。
「中古の王国にお連れします!」

の他に、

「夢の国へお連れします!」

と書いてあった。
いくらなんでも言い過ぎだろ、夢の国。

乗り込むと、
相変わらず永山高校と国士舘大学の連中は通学利用をやめないらしく、
例の張り紙が貼ってある。

さあ着いたぞ夢の国。
さっそく戦闘開始。

気が付けば7冊本を持っていた。
きっとCIAの陰謀だ。
オマケに気が付いたらCDも1枚持っていた。
これもCIAの陰謀だ。
ちなみにCIAは「ちょっといい穴」の略。知ってた?

カノジョも気が付けば1000円ちょっと使っていたらしい。

そして今日は初めてのこころみ、
2F(B-style)、3F(B-kids)、4F(B-life, B-sports)も見てみることに。

2Fはいわゆる古着コーナー。
なんでこんな服を買っちゃったんだ、という服が多数。
あと着てる人間が目に浮かぶハデハデおばちゃん服とか。

3Fは子供用品コーナー。
子供のおもちゃからベビーカー、歩行器、チャイルドシートまで。
一通りおもちゃを見て回る。
特筆すべきは「くまのポーさんコーナー」。
並びに並んだポー、ポー、ポー。
出てくるとき急いだのでデジカメを持ってこなかった。後悔。
今度行くときは必ず持ってきます。
強烈キャラのポーさんがたくさんいました。

4Fは雑貨とスポーツ用品。
普通のリサイクルショップみたいな雰囲気。
剣道・柔道の胴着という中古では決して欲しくないものまでも充実の品揃え。
あとバーベルの重りや、ボロボロのボディーブレードまで。
ボディーブレード、800円だった。
よっぽど買ってワダイコ部の部室に持っていこうかと思ったけど、
持ち運ぶのが面倒だからやめた。

1Fに戻って、少女コミックコーナーを物色。

「絶対したい!Hなお話」

というのを引っ張り出してチェック。
「絶対したい!」って・・・・
それにしても、このテのマンガ、結構あるんですね。
男向けのエロマンガと内容比較したら面白そうだと思いました。
女を悦ばせるエロメディアと男を悦ばせるエロメディアは多分違うはず。

気付いたら4時間経過。
立ちっぱなしで疲れたので帰宅。

===============


---------
人事院3日目 - 2002年08月23日(金)
---------



囲われ
++++++
今週3回目の人事院。
同じ電車に乗って、同じ時間に到着。
またガードマンに止められ、
Uさんは席を外されており、
図書室へ直行。

今日は図書室の蔵書を物色してみる。
すると、出るわ出るわ。
宝の山。
いろいろ(昭和20年代の公務員制度を研究する人にとって)貴重なものが。

12:00、Uさんが来て、また昼食に誘ってくださる。
ダメだって。これから毎回期待しちゃうって(笑)

今日は法務省へ。
おそらく霞ヶ関で一番高い建物。
廊下は照明が暗めで、壁もくすんだグレー。
いかにも「法務省」って感じの雰囲気。
こういうの面白い。
廊下の雰囲気にまでその省のカラーが出ている。

20階(最上階)にある食堂でネギトロ丼。
眺望最高。
目の前に皇居を見下ろす。
右手には占領中にマッカーサーが陣取った第一生命ビル。
例のデカいマッカーサーとチンチクリンのヒロヒトが並んで写っている写真もそうだけど、
当時は相当の高層建築だっただろうあのビルの上層階から
マッカーサーが天皇を「見下ろしていた」っていうのは象徴的だ。
こういう風にして当時の日本人は、
GHQ>現人神
という現実をまざまざと見せつけられたわけだ。
そういえば皇居を上から見るのなんて初めて。
二重橋前の広場は、とんでもなく大きかった。

ついでに中でつながっている検察庁を横切って帰る。
検察庁ビルは、低層階が東京地検、中層階が東京高検、最高層の2階が最高検になっている。
ヒエラルヒー構造をそのまま象徴しているようで面白い。

13:00に図書室へ戻る。
それからまたリサーチ。

人事院図書室で発見!

軽〜いVOWネタ


17:00に定時退庁。
一目散に帰ったら、18:00前に家に到着。

===============


---------
オサム途中経過 - 2002年08月22日(木)
---------


今日は人事院に行かず、家でオサむ。
たまってきた文献を読んだり、本体を執筆したり。
A4で70枚になった。
すでに卒論と同じ長さ。
長さじゃないけどね。
でもようやくこれくらい書いたんだなあ・・・
書き始めてもう2ヶ月になるんだなあ・・・

夜、jeudi jauneのサイバーミーティング。
ネット上で、第2作について、オフィシャルサイトについて話す。
オフィシャルサイトにヴォーカルアスカの日記を載せることになりました。
うら若き乙女の艶めかしい生態を知りたかったらここへ!

エロサイトの宣伝か

===============


---------
ル・人事院:2日目 - 2002年08月21日(水)
---------


今日も人事院。
今日は午前中から訪問。
10:00に到着。

当たり前だけど、行くたびにガードマンに止められる。
いいかげん顔を覚えろ、と言いたいが、そんなに偉くないワタシ。
いつかきっと偉くなって、顔パスで入院(というのだろうか)する日を夢見るワタシ。
夢見がちな年頃。

Uさんは席を外していらっしゃったので、
隣の席の方に言付けを頼んで、図書室へ直行。
昨日と同じような作業。
でも、今日は修一のパワーブックを借りてきたので、
ノートを取る作業が飛躍的にスピードアップ。
うーん、文明。マンダム。ガンダム。百式(マニア度:2)。

11:30頃、Uさんが訪ねてきて、
「お昼ごはんでも一緒にいかがですか?」
ありがたい!
なんてありがたいんだろう。
お言葉に甘える。

12:00に作業を切り上げて、
Uさんに連れられるまま、大蔵省へ。
初侵入成功(Uさんの身分証明書提示により)。
ここは、現存する霞ヶ関の建物の中でトップクラスの古さを誇る。
中に入ってみてびっくり。
デジカメ持ってこなかったのが残念。
レトロな雰囲気の廊下に突然現れるampmの入り口なんて最高の被写体だったのに。
ampmは昼時だけに大盛況。
その横を抜けて、奥まった天井の低い、暗い廊下にある職員食堂(略称:ショクショク)へ。
総木目、シャンデリアの下がる店内は、「食堂」らしからぬ雰囲気。

Uさんのお話しでは、大蔵省には今でも3つの食堂がある。
これは、戦前の名残。
つまり、戦前、官吏の身分制が厳しかった頃に、
高等官(今で言う「キャリア」)と判任官(同じく「ノンキャリア」)が
別々の食堂を使っていた時から続いているものなのだ。
もちろん今はキャリア専用食堂なんてのはないんだけど。
ついでに言えば、高等官と判任官は、使うトイレも違っていたのでした。
日本官僚制の病理。

いろいろとお話しをしながら、運ばれてきたオムライスを平らげる。
公務員制度や、公務員の採用試験など、
思いのほか話しが弾み、気が付けば13:00。

食堂を出て、省内を少し案内していただく。
こんなことでもなければ絶対にうろつけない場所。感激。

13:25に帰院。
Uさんどうもありがとうございました。

そして図書室へ戻る。
カンヅメ状態。
16:25、松谷から電話。
参議院事務局の試験が終わったとの知らせ。
せっかくなので、一緒に帰ることにする。

昨日と同じように、Uさんに帰りのご挨拶をして、
17:00に退院。

すぐに松谷に電話。
携帯で初通話。
ちゃんと話せた。すごい。
文明。
カステラ。

帰りに新宿による。携帯のストラップ探し。
it's demoとfrancに立ち寄るが、めぼしいものなし。
ふと思い立ってモザイク通りのピングーショップへ。
あたーーー!
ピンガとピングーで3分悩むスーツ姿の23歳男。


ピングーに決定


資料労働運動史とピングー

===============


---------
ル・人事院 - 2002年08月20日(火)
---------


なんだか合宿の後遺症で体が重い。
そして怠い。さらにハナが出る。
でも、1ヶ月前からお約束だった人事院の日。

相変わらず優しいUさんにいくつかの資料を出していただき、
さらに頼んでおいた図書室へも案内してもらう。
「公務員」「人事行政」といった、大学の図書館にない雑誌を眺める。

結局17:00まで。
在院時間最長記録更新。
で、退院(というのだろうか)。

カネもないし、スーツ暑苦しいので、直帰。

===============


---------
ラ・合宿→ル・現実 - 2002年08月19日(月)
---------


7:10、ナルトのまったりとした携帯メロディーで起床。
もっそりと準備をして、もっそりと朝食。
もっそり。モーゲンソー。

※ハンス・モーゲンソー:現実主義的な国際政治論の代表的論客。ドイツ人だが、アメリカに移住してシカゴ大学教授となった。理想主義的な見解が強かったアメリカの市民に多大な影響を与え、国際政治を「権力闘争」として眺める見方を定着させた。
(参考:http://club.pep.ne.jp/~y.hosoya/office/ip.htm)

・・・ふーん。
っていうかちょっとしたボケにこんな解説は必要ないと思う。


合宿最終日の午前中は、恒例の大発表会。
今日もヴァームゼリーを飲み込んでハッスル(古い)。
ハッソー。
モーゲンソー。

※ハンス・モーゲンソー:現実主義的な国際政治論の代表的論客。ドイツ人だが、アメリカに移住してシカゴ大学教授となった。理想主義的な見解が強かったアメリカの市民に多大な影響を与え、国際政治を「権力闘争」として眺める見方を定着させた。
(参考:http://club.pep.ne.jp/~y.hosoya/office/ip.htm)

・・・だからさ。


11:00まで発表会やって、太鼓の積み込み。
残念ながら、帰りはバス。
バスはバスで楽しいんだけど、どうにも疲れていたらしく、
かなりの時間就寝。

市原SAを出て、いつの間にか寝ていて、
次に起きたときは首都高の日本橋あたりで、
次起きたときにはもう学校だった。

太鼓を降ろして、しまって、帰宅。
センセイの車で家の前まで送ってもらった。快適。

===============


---------
ラ・合宿 - 2002年08月18日(日)
---------


今日から太鼓の合宿に途中参加。

4:30起き。
シリアルに牛乳かけて食べて、家を出る。
5:18の初電に乗る。久しぶり。
初電に乗っている人を観察するのは楽しい。
どこに行くのか、どんないきさつでこんな早い電車に乗ってるのか、
いろいろ考えてる。

5:57、中央線(各駅停車)東京行き。
中央線の各駅停車ってのも、オツなもの。
代々木とか飯田橋とか止まるの。

6:49、京葉線快速マリンドリーム蘇我行き。
京葉線で初めて舞浜より向こうに行く。
大きな倉庫、赤と白に塗られた煙突、灰色の鉄塔、海。
京葉線の車窓は、とても心地よい。
ここでがっぽり寝るつもりだったが、
東京駅京葉線ホームのニューデイズ(コンビニ)で買った夏旨茶を飲みながら、
ほとんど車窓を眺めていた。
車内は意外と混んでいて、みんな雨の日を狙ってデズニィに行くのかと思ったら、
舞浜じゃなくて海浜幕張(メッセの最寄り駅)でドバッと降車。
デズニィを圧倒する「世界最大の恐竜展」、おそるべし。

7:35、内房線(各駅停車)館山行き。
列車も対面式の座席になって、ここからがやっと「旅」という感じ。
最初に電車に乗ったときからほとんどエンドレスだったparis matchのMDを止めて、
江國香織『落下する夕方』を読み始める。
時々車窓を眺める。田園風景。
時折雨が窓に打ちつけて、透明な筋を付けて流れ落ちる。
活字に目を落として、たまに目を上げると、雨が上がっている。
そんな繰り返し。
やがて進行方向の右手に海が見え始める。
海側の席へゆっくりと移る。
時間がゆるりと流れていく。
なんと素晴らしい時間だろうか。


どこまでも行こう

実際、このままどこまでも行きたいと思った。
ポケットには、三次空間で買った切符が入っている。
だけどここは切符を買ったと同じ三次空間。
三次空間で買った切符では、行けるところまでしか行けない。
窓の外に流れていく灰色の空をぼんやり見つめる。
どこまでも、どこまでも、どこまでも!

でも、ふと思い直す。
三次空間から持ち込んだ「本当に天上にだって行ける」切符で、
幻想第四次の空間に迷い込んだジョバンニも、
最後には友と別れて、三次空間という現実へ戻ることを選んだのだった。
(そうさせたのはカンパネルラだったのかもしれないけど)

非日常は、日常を前提に存在している。
「非」日常という言葉の成り立ちから、それは明らかだ。
やはり僕は僕の日常を大切にしなければならない。
日常を抱えながら、こうして時折、非日常に足を踏み入れる。
でも、暗い部屋に入るときにドアを開け放しておくように、
明るい世界との連続性を確認しながら、足を踏み入れるのだ。

日常を捨て、非日常に完全に身を投じたとき、
非日常はおそらくその性質をがらりと一変させてしまう。
そこにあるのは、ただの闇に違いない。

踏みとどまった頃には、もう降りる駅が近づいていた。


石炭袋へ

8:58、下車。
そのまま歩いて宿泊先へ。

買っておいたヴァームゼリーを身体に流し込み、
いきなり練習。
1日しかないので、きばって練習。
ほとんど休みなし。
でも昼休み中は海へ。途中ちょっと昼寝。

昼飯は某学食に似た微妙な味のカレー。
晩飯は海辺でバーベキュー。

本物の海に久しぶりに触れた。
心が躍る。
そして、ちょっとした知覚の遊びを発見して楽しむ。
 1)波が足下に届く海岸に立つ
 2)ずっと前だけを見て、波が来るのを待つ
 3)波が来て、引いていくときに、
   さらわれていく足下の砂に意識を集中しながら前を見続ける
 4)自分の身体が勝手に前に進んでいくように感じる

たぶん、月に引きつけられているのだと思う。
なんという引力だろう。


純粋

夜、jeudi jauneのお披露目会。
予想以上にウケた。
よかった。
早いところ2曲目、3曲目がやりたいものだ。

風呂に入って、それからビールを3本飲んだ。
極楽(この言い回しは年寄りの証拠)。

0:30頃就寝。

===============


---------
ケータイ待ち受け画面 - 2002年08月17日(土)
---------



最後の青

+++++++
朝、早く起きる。
ぼちぼち本を読む。
20分寝る。昼寝。というより朝寝。
おかげさまで意識朦朧。

それからはオサム。
でもあまり進まず。

夕方、ユニクロへ。
3000円分の買い物したら、
ポイントカードのシステムが変わってて、2500円割引になった。
387円。

帰ってきて、ケータイの待ち受け画面を作る。
貴様、オサムはどうした。
待ち受け画面優先。

待ち受け画面を作って欲しい人、
希望のイメージとお使いのケータイのディスプレーサイズ(任意)を書いて、
サブジェクトのところに「ああん、sjoさんに待ち受けてもらいたいのぉ(ハート)」と記入の上、
メイルください。

さて、くだらないこと言ったので、
明日の準備して、早めに寝ます(この部分、未来日記)。
明日から太鼓の合宿です。すぐ帰ってきます。

===============


---------
ちょと自信ナイヨ - 2002年08月16日(金)
---------


昼、松谷とラーメン。
そして、ラオックスでデジカメ用の充電池購入。

これ以外は基本的にオサム?
と聞いてみる。

===============


---------
パンティは世界だ! - 2002年08月13日(火)
---------


朝から太鼓。
4時間。
汗かきすぎ。
なんでこんなに汗をかく身体なのか。
水分が勿体ない。

嬉々としてシャワーを浴びるが、
替えのパンティを忘れたので、
洗い立ての身体にしっとりとした・・・
合掌。

バイトまで時間があったので、オサムーでオスマ(×)。
オスマーでオサム。
SAM。離婚。
垂れ流しか。

いかんともしがたい眠気に襲われ、
キーボードに指をおいたまま15分就寝。

16:30からバイト。
頑張ってオサム。
進むような、進まないような。
20:30帰宅。

夜、NHKスペシャルを見る。
DHA(大本営)の幻の戦果報告はいかにして生まれたか?という。
本筋よりも、戦争と、それで死んでいった人たちのことばかり考えて陰鬱となる。

===============


---------
アマゾン万歳! - 2002年08月12日(月)
---------


今日の朝食。ウィンナロールとパイナップル。
なんかカワイイから撮ってみた。



いつものようにタッチ見て(達也のコントロールが良くなってきた)、
オサム。

----------
昼、アマゾンで注文していたJoyceのベスト盤が届く。
タワーやヴァージンで見たら、同じ輸入盤が2290円だった。
アマゾンだと、代引手数料入れても1940円。
クレジットカード決済だったら1600円ですよ。

大体さ、外資系大手のCD屋は消費者の足下見てる。
「円安につき」とかなんとかで、値上げは平気でするくせに、
円高になったときに値下げしてるの見たことない。
僕が高校の時は、輸入盤は高いやつでも1890円、安いのは1490円だったぞ。
だからたくさんジャズのCD買えたんだ。
それがなんだ、2290円って。アホか。

そうやって目先の利益ばっかり追求して日本の音楽文化を凋落させると、
あとでしっぺ返し食らうのはお前らだからな、覚えとけ、アホ。

というわけで、みなさん、輸入盤購入には断然アマゾンがオススメ!
聴きたい音楽をバンバン聴きましょう。
----------

夕方、バイト。
行く途中に見た今日のASIJバス→「東山」「急行」(新作)。
<途中経過>
紙風船、安達、北帰行、東山、送迎、急行

バイトはいつも通り。

<今日の最終ネタ>

岡村さん?


===============


---------
今井一男に - 2002年08月11日(日)
---------



滑走

++++++
午前中、今井一男(元大蔵省給与局長)づけ。
そればっかり読んでいた。

午後はあまり何もせず。
ぼけーーっとTV。
こんなことでいいのか俺、と考えながら3時間TV。

夜も、ようやく21:00頃になってオサムを始める。
ぼち、ぼち、ぼち、ぼち、進む。

===============


---------
ウルサス・バルバータ(3) - 2002年08月10日(土)
---------


(3)

私が最後に赤いウルサス・バルバータに会ったのは、台場だった。

あの時から、私は何をするあてもなく、
以前雇ってもらっていた塾で中学生に理科や数学やらを教えながら、食いつないでいた。
幸い、教えることが嫌いではなかったし、割と生徒の評判もよかった。
たまに授業の内容を変更して、ウルサス・バルバータについての講義をしてみようかとも考えたが、
そんなものは絶対に高校受験で問われるはずがないのだ。
私が出題者にならない限り、誰も正解を知らない。
・・・いや。私だってあらゆる正解を用意できるわけではない。

夏期講習の中日にようやく休みが取れた私は、電車を乗り継いで台場へ足を運んだ。
私はこの街が好きなのだが、昼間に一人で来るのは初めてだった。
昼前に着いて、あてもなくフラフラと歩いた。

大観覧車へと向かう大きな連絡橋から見下ろすと、
臨海副都心線の東京テレポート駅前の広場に、子供が集まっていた。
近づいてみると、どうやら、子供向け番組の公開録画らしかった。
その輪の中にいる生き物を見て、私は我が目を疑った。
赤いウルサス・バルバータが、子供に囲まれてはしゃいでいたのだ。

そうだ。
元はと言えば、私があの動物に興味を持ったのも、このキャラクターのせいなのだった。
子供番組など見なくなった私は、そのことをすっかり忘れていたし、
そもそも昔だって、あの中には当然人間が入っているのだと考えていた。
専門書とこのキャラクターを見比べて、興味を持ったときも、
なぜこんな誰も知らないようなクマ科の動物をモデルにするかなあ、
しかもどうして色変えるかなあ、やっぱり白じゃインパクト足りないのかなあ、くらいに思っていた。

しかし。
中国で四度までも赤いウルサス・バルバータを見てきた私には、確信があった。
あれには、人間なんて入っていない。ぬいぐるみなどではない。
あれは、まぎれもない、れっきとした、一匹の動物だ。
それも、言葉を話せる、動物なのだ。

私は橋の上から、その公開録画を眺めていた。
ウルサス・バルバータが、子供と一緒に飛び跳ね、歌い、笑っている。
そこには、あの森の中で見た格闘の影は微塵も感じられなかった。
しかし、あれとこれが別の動物だと考えるには、両者はあまりにも似すぎていた。

しばらくすると撮影が終わった。
私はウルサス・バルバータを目で追った。
どうやら収録はまだ終わっていないらしく、彼は物陰に休憩に行くようだった。
ひとだかりの中心には、今度は黄緑色ののっぺりとしたキャラクターが登場していた。
私は決心して橋を降り、赤い生き物に近づいていった。

もう気付いた方もいらっしゃるかもしれない。
その赤いウルサス・バルバータは、日本では「ムック」という愛称で呼ばれている。
あの、モップのお化けだのなんだのと小馬鹿にされていた、
毛むくじゃらの愛すべきキャラクターだ。

「初めまして」
・・・なんて言っていいか分からなかった。
彼はゆっくりと目を上げた。その目はとても優しかった。
「君は・・・君は、ウルサス・バルバータなんだな?」
彼は、とうとう来るべきものが来たという表情を浮かべ、頷いた。
「いかにも」
「なぜ?こんなところで、何をしている?」
「罪滅ぼし、かな」
彼は遠い目をした。
「罪?」
「お前は、知っているのだろう?私たちのことを。ヒトの肉を食み、ヒトの血を浴びなくては生きてゆけない、私たちのことを」
「・・・ああ。知っている。君の仲間を中国で見てきた」
「ならば話が早かろう。私は、キリスト教風に言えば、十字架を背負っている。だからこそ、身をなげうって、人間のために働くことに決めた。幸い、私は子供が好きだったし、番組のプロデューサーも話が分かる奴でな。私を気に入ってくれた」
「・・・ということは、みんな知っているのか?君が本物のクマだということを」
「いいや。プロデューサーと、テレビ局の幹部の数人だけだ。あとのスタッフは、決して人前で脱ぐところを見せようとしない着ぐるみだと思ってるさ」
信じられなかった。とても信じようがない。
私は彼が言語を使うという確信を持っていた。だからこそ、日本語で話しかけた。
そのはずなのに、いざ話してみると、その事実は容易には受け入れがたい。
あるいはこの中にはやっぱり日本語をしゃべれるヒトが入っていて、
私はすっかり騙されて、馬鹿にされているだけなのかもしれない。
しかしそれなら何故彼はあの「儀式」のことを知っているのだ?
とにかく私は真実が知りたかった。
とりあえず片手で持てるくらいのささやかな真実が欲しかった。

私は質問を続ける。
「生まれは?どうして日本に?」
「タジキスタン。中央アジアだ。日本に来た経緯、あまり詳しくは覚えていない。ヒトを3度目に食べた日の次の朝、人間に麻酔銃で撃たれた。目覚めたらどこかの檻の中にいた。それから4回ほどトラックに乗せられ・・・」
「今、3度目と言ったか?」
「ああ。・・・なんだ。知らないのか。一度でもヒトの肉を食べた私たちの仲間は、一年に一度、生まれ故郷に帰って、ヒトの肉を食べなければ、生きていけなくなるのだ。それが、赤いウルサス・バルバータの宿命なのだ」
そうか・・・毎年、か。
もしかすると私が中国の森で見たあの赤いウルサス・バルバータは、もしかしたら同じ個体だったのかもしれない。
オマエニ、ワタシノクルシミガワカルカ?
毎年、一人の人間の命を奪わなくてはならない、苦しみを。

「日本語は?」
「簡単なもんだ。2ヶ月で覚えた」
「普段はどこで暮らしてる?」
「あそこ」
彼はそう言って四角くそびえ立つテレビ局の建物を指さした。
「あの建物の地下3階に一部屋もらってる。2DK。冷暖房完備。風呂トイレ別。ウォークインクローゼットも付いてる。当然使わないがね」
「ガチャピンは・・・ガチャピンには人が入ってるのか?」
私はなんたってこんなことを聞いているんだ。馬鹿らしい。
案の定彼は呆れたような顔をしていた。
「ああ。あれは私と違って仮想の生き物だ。その度にいろいろな人が入ってる。『ガチャピン、サーフィンに挑戦』の時にはプロサーファーが入ってたし、『ガチャピン、体操に挑戦』の時には池谷直樹が入ってたな」
池谷直樹?・・・ああ、あの池谷の弟だ。
・・・だからそんなことはどうでもいい。

「私ばかりが質問責めにあうのは不公平だ。私にも質問させてくれ」
私は頷いた。
「お前は、どこまで何を知っているんだ」
私は今までの5年間で調べ上げてきたことを順を追って説明した。
ウルサス・バルバータが通常5、6匹のオスと十数匹のメスで群れをなして生活していること。
群れの序列の話、食性、繁殖行動、子育て、他の群れとの抗争・・・
そしてオスの中で一番下位にある個体(あくまで仮説として)が、晩秋の月夜の晩に行う儀式のこと。
さらにその「儀式」を終えた個体に、私が襲われたこと。
その個体が私に向かって中国語を喋ったこと・・・

「よく調べたな」
一通り聞き終えると、彼はそうつぶやいた。
「私たちのことなど、人間は誰も興味を持っていないと思っていた」
「そんなことはない。誰かしらが何かしらに興味を持ってる。それが人間のいいところだ」
そうか、と彼は自分一人に聞かせるように言った。
「混乱している。正直言って。・・・君は、ただのウルサス・バルバータではない。それくらいは分かる。そして、それがあの儀式と関係していることも分かる。」
「いかにも」
彼は私に対する第一声を繰り返した。
「私は、お前の言う『儀式』を通過してきたウルサス・バルバータだ」
彼は間をおいた。テレビ番組なら、ここでCMだ。
「お前の見事な推測の通り、儀式を許されるのは群れの中で最下位にあるオスだけ。それも冬ごもりの直前だ。ところで、お前は、儀式の終わった私たちを追いかけたことがなかったのだな?」
私は頷いた。
「初めて儀式を終えたウルサス・バルバータは、次の新月の夜までに、知性を獲得する」
・・・おおかた想像は付いていたが、まだ信じられない話だった。
しかし、目の前には「知性を獲得」した本物のウルサス・バルバータがいて、私と話をしている。
それはまぎれもない事実なのだ。
「蛇足だが、そのウルサス・バルバータは、平均的な人間よりはだいぶ高度な知性を持つことになる。しかし、知性を獲得した個体は、群れを追放され、森をさまようことになるのだ。ただ、不思議なことにその個体は何も食べる必要がない。さっきも言ったように、一年に一度、ヒトの肉を食べるだけでいい。一年に一度、最初に儀式を行ったのと同じ場所に行くと、ヒトの死体がころがっているのだ。それは、元いた群れの連中が用意している。そもそも最初の儀式で使う人間も、群れの連中が用意するのだ。・・・なんでそんなことをするのか?今、お前はそう思っただろう。それはこっちが聞きたいくらいだよ」
私は黙って聞く以外なかった。
「つまり、我々赤いウルサス・バルバータは、群れに生殺与奪の権限を握られていることになる。群れがヒトを用意しなければ、我々はそこで飢え死ぬしかない。幸い私はかれこれ十年近く、安定したヒトの供給にあずかっているというわけだ」
安定したヒトの供給・・・
「赤いウルサス・バルバータの中には、もちろん森の中でその一生を終えるものもいる。しかし中には、その知性を生かして、町に出て人間に使われる者もいる。サーカスとか、動物園のショーとか、そういうのだ。言葉を使う奴は少ない。いや、いないかもしれないな。そんなことをしたら面倒なことになるだけだ。だから彼らは言葉が使えない振りをしている。少なくとも人間よりも知性が低い振りをしている」
「しかし、君はそのタブーを犯した」
「タブーじゃない。そんなルールはないんだ。私は、ただ自由になりたかっただけだ。4回目のトラックに乗せられてたどり着いたのが、今いるところだった。そして私は決意したのだ。今度私を使おうとする人間には、人間の言葉で話しかけよう、と。それで私が史上空前の見せ物にされたり、実験のために殺されたりするならばそれもいい。それは私が選び取った自由だ、と思っていた」
「それで、今の番組のプロデューサーに話しかけた」
「そう。今でもはっきり覚えてるよ。あの時の彼の顔。ありとあらゆる、多分25500くらいの人間の感情が顔中を出鱈目にいじくり回したような表情をした。でも、それはたった5秒間だけだった。すごい人だね。彼は。彼はその5秒ですべてを整理し、言った。『明日から、子供たちのために働いてくれるか?』」
「彼は、頭を整理したけど、理解しようとはしなかった」
「そうだろうな。目の前の現実は理解を越えていた。でもそこで彼がすごいのは、理解を越えるものを排除しようとはせず、理解せずとも受け入れようとしたことにあると思う。彼に出会えた私は全くツイていた。彼の問いかけに二つ返事で答えて、次の日から子供番組のマスコットキャラクターになった」
「彼は、プロデューサーは知っているのか?君が年に一度行う儀式のことを」
「いいや。知らない。それだけは言えないさ。年に一度だけ、里帰りしたいと言って、タジキスタンに輸送してもらっている。結構面倒な手続きらしいが、文句一つ言わずにやってくれる」

「・・・この先、一体君はどうするんだ?」
「私は、死ぬまでこの仕事を続ける。続けたい。少なくともあのプロデューサーがここにいる限りは」
「死ぬまで、ヒトを食べ続けて、か」
彼の目が、一瞬怒りの火を浮かべた。しかし、それは本当に一瞬のことだった。
それがあまりに一瞬のことだったので、私はそんなことを言った自分が情けなくなってしまった。
「そうだ。私にも、生きる権利がある。健康で文化的な最低限度の生活だ」
私は目の前のクマ科の動物が日本国憲法を引用したことに、猛烈なおかしみを感じたが、
笑い出すには、場はシリアスすぎた。
「なあ、お前は、動物の肉を食べないのか?」
私は首を横に振った。焼肉が、私の大好物だ。
「だろう。だから、同じなんだ。私は、私に飛びついてきてくれる子供たちや、その親たちを食べないし、ここで働かせてもらっているスタッフたちも食べない。台場にデートに来ているカップルも食べなければ、今こうして目の前で話しているお前も食べない」
「僕たちも、ペットの犬や、街をうろついている猫は食べない。それ用に捕獲あるいは飼育された動物しか食べない。だから、同じ、か」
「そうだ。人間には知性がある、他の動物とは違う、だから人間が他の動物を食べることは許されるが、逆は許されない、などと考えている愚かな人間がいたら、そいつに教えてやれ。ここにこうして、人間並みの、いや、平均的な人間よりはだいぶ知性が発達したクマがいる」

私は、中国の森で見た、あの悲しい目を思い出していた。
彼らは、ヒト一人を食べることに、あれだけの深い悲しみを覚えていたのだった。
翻って、人間はどうだ。
いいや、人間全体なんてどうでもいい。私は?
私が、好物のカルビやタン塩を網の上で焼いて口の中へと運ぶ時。
私はあれほどの深い悲しみを感じているか?
目の前の肉片が確かに生存していた一つの命を奪うことでのみ存在しうるものであるということを
心にしかと刻み込んだことがあるか?
私は自分を恥じた。

「すまない」
「・・・なぜ私に謝る?」
「誰に謝っていいか分からない」
「・・・・・いいんだ」
彼は笑った。
「いいんだよ。お前みたいな人間がいることが、嬉しい。だから私は人間のために働き続けるのかもしれない。・・・だが、そのために私は人間の命を奪わなくてはならない。・・・パラドックスだな」
「君は、人間を赦すのか?」
彼は少しだけ考えていた。自分がヒトを食べる瞬間のことを考えていたのかもしれない。
「私にそんな権利はない。しかし、私は、少なくとも、お前のことを赦す。そして私は、お前に赦される存在であり続けたいと思う。どうだ。お前は、私を赦すのか?」
私は黙って頷いた。
彼は心の底から嬉しいという顔をした。
その表情がまた私の心のどこかを強烈に締め付けた。
それは、辛くて、でも優しい痛みだった。
これが、私たちを本当に生かす痛みなのだ。そう確信した。
心はいつまでも痛んでいた。
きっと、これから私が死ぬまで、ずっと痛み続けるのだろう。
生きるとは、痛みを忘れないことなのだ。

「楽しかった」
彼はそう言うと、私に背を向けて、歩き出した。
まだ仕事が残っているのだろう。
「ありがとう」
私は彼に、そして彼の向こうにいる、すべての生き物に叫んだ。
振り返らずに、右手をあげる彼の後ろ姿が、ぼやけて見えた。

(了)

===============


---------
ウルサス・バルバータ(1)(2) - 2002年08月09日(金)
---------




罪は戸口で待ち伏せ、お前を求める。お前はそれを支配しなければならない。
(創世記4:8)



(1)

ウルサス・バルバータ。

彼を目にしたことがあっても、
これが彼の本当の名前だと言うことを知る人はほとんどいないはずだ。
彼らは人目に付かない森の奥で、ひっそりと暮らしている。
土地によっては、彼を見ると呪いをかけられて必ず死に至るという言い伝えも存在するという。
逆に、ある土地では、彼を見ると三代先まで幸福に暮らせると信じられてもいるという。
まあとにかく、そういう言い伝えは、彼が滅多にヒトの目に触れないことからくる、
一種の神秘性のようなものの裏付けだと考えてもらえればそれでいい。

彼の体長は平均170cm。体重は平均で180kgほどある。かなり大型だ。
色は白。たまにグレーがかったのも生まれるが、
そういうのは大抵1回目の冬を越せずに土に還ってしまう。
それで、大抵のウルサス・バルバータは、遺伝上白い外見になる。

学名が示しているとおり、彼らはクマ科の動物だ。
しかし、そう思って見れば見るほど、彼らはあのヒグマや、ツキノワグマや、ホッキョクグマや、
そういう種類の一般的なクマとはかけ離れた風貌をしている。
全身が、太く撚り合わされた糸のような体毛で覆われている。
ちょうどレゲエのシンガーがやっているドレッドヘアーのような体毛だ。
食性も、通常のクマとは異なる。植物食なのである。
肉は決して食べない。
いや、例外はあるのだが、普通のウルサス・バルバータは、植物しか食べない。
そのことはまた後でお話ししよう。

みなさんは、といっても日本で小さいときから生まれ育った、
それも私と同じ年頃のみなさんとそのご両親は、
ウルサス・バルバータを、テレビの画面で、きっと一度は目にしたことがあるはずである。
身に覚えがないかもしれない。
でも、きっと目にしたことがある。そう確信する。
実際、私はこの動物の研究を志したのも、テレビで彼を目にしたことが大きく影響しているのだ。

彼らには、非常に希有な習性がある。
それは一年に一度、冬ごもり直前の満月の夜に、
群れの中でもっとも弱いオスの個体だけに許される儀式である。
なぜこんなことが起こるのか、私には到底分からない。
なぜ一年に一度なのか、なぜ冬ごもりの直前なのか、なぜオスなのか、なぜもっとも弱い個体なのか。
多分、「こども電話相談室」で聞いても、電話の向こうの「動物博士」は答えに窮するはずだ。
実際のところ、ウルサス・バルバータの研究は、
日本動物学会はおろか、国際クマ学会(IBA)なんていうローカルな専門学会においてさえ、
ほとんど等閑視されているのが現状なのである。

そこで、私は日本人として初めて、ウルサス・バルバータの研究に携わることを志した。
それはさっきも言ったように、私が小さいときからテレビでこの動物に馴染んでいたからという理由もあるし、
この手つかずの研究に、まだ誰も足を踏み入れていない、雪の上がった朝の庭に第一歩を進めるような、
そういう種類の静かな興奮を感じたからでもあった。
大学の研究室にいても、教授は当然そんな研究を許してくれるはずはなかったから、
私はドクターの3年目で大学をドロップアウトした。
それからあちらこちらで手当たり次第にアルバイトをして先立つものを貯め、
中国の山林で5年間、13回にわたって綿密な調査を行った。
その成果を、ようやく今こうしてみなさんにお話ししているのである。

話がずいぶんと脇にそれてしまった。
彼らの希有な習性の話だった。
が、脱線ついでに、もう一つ脱線話をしておこう。
これは、この後の話にもつながる、大事な(形容矛盾の感があるが)脱線話だから。

さっきもくどくど言ったように、みなさんはおそらく、ウルサス・バルバータをテレビで見たことがある。
しかし、そのウルサス・バルバータは、実はかなり特異な形態のものなのである。
まず第一に、体色が異なっている。
普通のウルサス・バルバータと違い、彼はくすんだベルベットのような色をしている。
また第二に、通常のウルサス・バルバータとは比べものにならないほど知性が発達している。
そして驚くべきことに、生活のほとんどを二足歩行で過ごしているのである。
これは全くの神秘であった(残念ながら多くのヒトはそんなことを考えもしなかったのだが)。

だから、初めて普通のウルサス・バルバータをクマ科の専門書(それは1ページの4分の1ほどでまとめられた極めて情けない記述であり、そもそも写真が掲載されていたことが奇跡に近く思える)で見たとき、
私はこれがあのテレビに出ていた個体と同じ種類の動物であるとはとても思わなかった。
だが、明らかに似ていた。
というより、このような外見をした動物は、他にそう居るものではないのだ。
それで、このクマは私の頭の中にすっかりもぐり込んで、離れなくなってしまったのである。

さて、ようやく話を「希有な習性」のことに戻せる。
念のために繰り返しておくと、それは一年に一度、冬ごもり直前の満月の夜に、
群れの中でもっとも弱いオスの個体だけに許される儀式だった。

私が初めてそれを見たのは、全く偶然のことだった。
森の中には、木々がなぜか生えず、小さな広場のようになっている空間が偏在している。
やむを得ず森で夜を明かすときには、そのような場所にテントを張り、
入り口近くに大きな火を焚いてから眠るのである。
これは無論自分を襲おうとする動物から身を守るためであり、
晩秋の寒さを少しでも和らげるための火だった。
そして、2時間おきに目覚めて、火が消えていないことを確認し、薪をくべてまた眠る。
そういう繰り返しで、半分、いや、3分の2くらいは寝ぼけながら朝を迎えるのだ。

その満月の夜、私が3度目に起きた時だった。
テントの外に出てみると、火が消えていた。
私は本能的に周囲を伺い、生き物の気配がないことを確認すると、火を付け直す作業を始めた。
動物は火を怖がるというのは、小学生でも知っている知識だが、
それが本当なのか嘘なのかを身をもって確認できる人間はそうはいない。
見上げると、綺麗な白い月の夜だった。
こういうところの満月は、他の何よりも明るいのだ。まして、今は火さえも消えている。
月が、夜の支配者だった。
私は目を閉じた。まぶたの裏には、白い支配者の残像が焼き付いていた。

と、突然、
耳の本当に隅の方から、可聴域ぎりぎりの低いうなり声が聞こえてきたのである。
私は慌てて目を開け、薪に火をつけると、音の聞こえてくる方に耳を傾けた。
コントラバスの第1弦を、開放したままアルコで静かに弾いたような、
でもそれよりももっともっと低くて、耳というよりも身体全体で聞こえるような、
そういう種類のうなり声だった。
その声に、私は今までに感じたことのない激しい脅威を感じ、
同時に、今までに感じたことのない強すぎる好奇心を感じた。
迷いはなかった。
私は適当な木の枝を拾い、先端にガーゼを巻いてそれに液体燃料をかけ、即席のたいまつを作ると、
吸い込まれるようにうなり声のする暗闇へと歩みを進めた。

暗い森は、私から様々な感覚を奪う。
実際、どれほど歩いたか覚えていない。たかだか数十mだったかもしれないし、
もしかしたら軽く1kmは歩いたのかもしれない。
僕の中の距離感がそれだけ狂ってしまったのは、おそらく恐怖のせいでもあったのだろう。
とにかく、うなり声が序々に、しかし確実にデシベル数を上げていることだけは確かだった。

そして、突如そのうなり声が止み、
10mほど先、月光に照らされた黒い影が浮かび上がった。

ウルサス・バルバータが一頭、あのうなり声をあげながら、動物の肉を食べていた。

私は息を呑んだ。そして、戦慄し、驚愕し、恐怖し、畏敬し、降伏し、凍り付いた。
私のたいまつが煌々と照らしているというのに、そのウルサス・バルバータはこちらを一瞥もしない。
ただ、ただ、目の前にある動物の肉と格闘していた。
格闘。
食べられている動物はとうに死んでいるようだったのに、そう感じたのは、
食べている彼の目が、見たことの無いような激しい光をたたえていたからだった。
しかしその光は、同時にこの世の何よりも深い悲しみをも含んでいた。
「なぜ食べるのか」、彼はそれを自問しながら、そして食べられている動物に対して恐怖しながら、
一心不乱に肉を食いちぎっては飲み込んでいるように見えた。

よく見ると、彼が食べているのは、ヒトだった。

ウルサス・バルバータが、ヒトを、食べている。
目の前で展開している事実を、私はにわかには信じることができなかった。
それまでのリサーチで、彼らが植物食であることはほぼ間違いなかった。
しかし、今、私の目の前で、彼らのうちの一頭が、肉を、ヒトの肉を、食べている。
今になってみると信じられないことであるが、
その時の私は、「次に食べられるのは自分かもしれない」とは微塵も思わなかったし、
だからこそ、逃げようなどとはまるで考えなかった。
ただ、眼前の圧倒的な事実によって、地面に打ちつけられて仕舞っていた。

どれくらい眺めていたのだろうか。
東側の空がピンクとオレンジの中間のような色になり始めた頃、
そのウルサス・バルバータは立ち上がり、2回、大きく鳴いた。
聞いたことのない、とてつもなく大きい、しかも調子の狂った木管楽器のような声だった。
自己顕示と、悲しみと。
見ると、彼の足下には、もはや何も残されてはいなかった。

そして、彼の全身は、血を浴びて赤く染まっていた。

彼はもう一度だけ短く鳴いて、森の奥へと消えていった。
一瞬だけ、私と目が合った。
何という深みのある目だろう。すべてを跳ね返し、同時にすべてを吸い込むような黒い目だった。
その時だって、私は彼に食べられてしまうとは決して考えなかった。

私は、あと1週間続けるつもりだった調査を切り上げて、帰国してしまった。
それくらい、この出来事は私に大きな衝撃を与えたのだった。

+++++++++
(2)

しかし、その衝撃は私にとって、大きなモチベーションに転化されるものだった。
あれは、ウルサス・バルバータの生態上の常識を覆す発見だったのだ。
だが、私はそれをただちに発表することをためらった。
証拠が少なすぎたし、何よりも「ヒトを食べる」ということを公表することで、
彼らが白眼視されてしまうことを恐れていたのだと思う。

私はそれからもひっそりと、しかし精力的にウルサス・バルバータの研究を続けた。
そして諸々の生物学・生態学的に興味深い事実を見つけたのだが、
それは些細なことにすぎて、みなさんにお話しするまでもないだろうと思う。

それよりも、私の頭の隅にいつも引っかかっていたのは、やはりあの儀式のことだった。
そして私は意識的に、冬眠直前の満月の日には森に入ることにしていた。
3年目には見られなかったが、それ以外の年は毎年見ることができた。
これがかなり幸福な数字なのか否かはよく分からない。
しかし、少なくともあの儀式がたった一度だけの偶然でないことだけは分かったし、
もう一つ分かったのは、少なくとも私が見た4回は、4回ともオスだったということである。

儀式に関係して少し気になったのは、冬眠から醒めた時に、
最下位にいた思われるオスが欠けている群れがいくつか見られたことである。
はじめはこれについて、あまり深くは考えなかった。
最下位ということは弱い個体ということなのだし、
そういう個体が厳しい冬を乗り切れなくても当然のことに思われたからだ。
しかし、冬眠直前のあの儀式と、冬眠直後のオスの失踪。
科学的にではなく、極めて動物的な直感が私を撃ち、二つの事象を関連づけていた。
失踪したオスが、あの儀式を行っていたのではないか。
そして、群れに戻らなくなってしまったのではないか。
でも、何故?
あの儀式にはいかなる意味があるというのだ?
時は流れた。

私がその儀式−私にとって四度目の目撃−に遭遇したのは、研究を始めて5年目。
初めてあの儀式を見た場所よりも、随分大陸の奥に入ったところにある森だった。

満月の夜、たいまつを掲げて森を歩き回る(2年目からは、私はこの夜は一睡もしないであの儀式との遭遇をこちらから求めようとしたのだった)私の耳に、
またしてもあのうなり声が飛び込んできたのである。
何度聞いても不思議な音だった。
身の毛もよだつような感覚を想起させ、同時に母胎の中にいるような安心感を抱かせる、
同居するはずのないものがキレイに混ぜ合わされた音。
私はゆっくりと、注意深くその方向へ足を進めた。
何も焦ることはない。儀式は夜明けまで続くはずだった。

目の前に広がっていた光景は、あの時とほとんど同じものだった。
月光。ヒトの死体。激しい目。格闘。
ただ一つだけ、あの時と違っていたのは、
肉を食いむしる前から、すでに彼の身体が赤い体毛に覆われていることだった。
・・・この儀式は、一生に一度ではないのか?

それ以外にも疑問はいくつでもあったはずなのに、
私は目の前で繰り広げられる光景に(それでも随分慣れていたはずだったのに)すっかり心を奪われていた。
クエスチョンマークは最初のカーブを描くあたりで消失し、ついに形にならなかった。
森の中には、あのうなり声と、ヒトの肉がちぎられる音と、私の心音だけが響いていた。

この儀式は、いつも私の中の時間性を消失させてしまう。
いつの間にか空が白みはじめ、つつがなく儀式を終えた彼は、
あの初めての時と同じように、私を一瞥して森の奥に消えていこうとしていた。
そのまなざしに、私の心の中にある何かが揺れた。

「何故だ?何故お前は人を食べる!!!」

気が付くと、私は彼の背中に叫んでいた。
真夜中の中国の森に、日本語の絶叫がこだまする。
彼はすっと歩みを止めた。
そしてゆっくりと振り返り、こちらに向かって歩き始めたのだ。
東京のヤクザのような、威圧的な姿だった。
私は思わず後ずさりする。
彼は悠然と近づいてくる。
私はじりじりと後退する。
と、
視界が突然揺らいだ。そして目の前に拡がったのは木々と夜空だった。
私は足下の石に引っかかって後ろ向きに転倒してしまったのだった。

静かに近づいてきた巨体が、倒れた私の上に覆い被さる。
私は初めて死を覚悟した。
次の瞬間、

「お前に、私の苦しみが分かるか?」

そのウルサス・バルバータは、確かにそう言った。
繰り返すが、誓って、彼は、中国語でそう言ったのである。
呆然とする私を取り残して、彼は去った。
空には、いつかと同じ満月が浮かんでいた。
季節にしては温い風が吹いて、私はその場で眠ってしまった。

・・・「お前に、私の苦しみが分かるか?」
帰国する飛行機の中で、私はそのフレーズを繰り返していた。
スチュワーデスが3回来て、私はその度にあまり好きではないバドワイザーを頼んだ。
「お前に、私の苦しみが分かるか?」
・・・分からない。
分かる気がしたが、やはり分からなかった。
空腹に流し込んだバドワイザーが私の脳を駆け回り、世界を静かにかき回し始めたが、
それでも私は眠ることができなかった。

飛行機が着陸態勢に入って、シートベルトを付けたとき、
私はもう、あそこには行かないと固く誓った。
そして、ウルサス・バルバータの研究も、綺麗さっぱりやめてしまおうと決めた。
しかし今の私からウルサス・バルバータの研究を取り去ってしまえば、
一体何が残るというのだろう?
三十過ぎの、カネ無し、家無し、ロマン無し。
前途は絶望的だった。

こっちだって、あのウルサス・バルバータに、聞いてみたい。
「お前に、私の苦しみが分かるか?」


===============


---------
今日のは過激文です。読みたい方だけ。 - 2002年08月08日(木)
---------


池田小学校に乱入したタクマの陳述、
聞くほどに怒りを通り越して脱力感を覚える。
ああいうゴミに対してもデュープロセスを遵守しなければならないことに、
なんというか、空しさを感じる。

ああいうのは、裁判なんか通さず、
正式な絞首刑などで殺さず、
苦痛と恥辱の限りを与える方法でなぶり殺されればいい。
例えば・・・
おぞましくてとてもここには書けないけど、
とにかく、普通の殺し方は、アレにはふさわしくない。

こういう意見にはいくらでも反論があるだろう。
だいたい今の僕の脳は怒りで加熱してポンコツになってしまっているから、
何か重要なことを見落としてしまっている可能性がある。

でも、反論があるなら、その人にはぜひ教えて欲しい。
アレにも「人」権が認められるのか?
られるとしたら、それはどうやって正当化されるというのだ。
罪のない子供を次々に刺し殺して、
それでもなおテメエのことだけ考えて平然としている、
アレに対して「人」道的な処遇をすることがなぜ許されるのか?
誰か僕に納得のいくように説明して欲しい。


書き終わって、空しくなった。
ああ、形にならない。行き場がない。

===============


---------
太鼓でゴー - 2002年08月07日(水)
---------


タッチ+オサム=いつも通りの午前
タッチは和也が死んで「第一部 完」。
オサムは全部書き終わって、「完」・・・のわけはない。

午後は太鼓。叩きまくる。
汗がすごい。
体中の水分が絞られている感じ。
17:00まで。
疲れた。
そして早くも左腕が上がらない。

夜、オサムも書かずに、
カノジョに借りた、村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読む。
疲れた。
読み終わって、目を上げたら2時。
日記を書いて寝る。

それにしても村上春樹の小説の主人公格の男というのはどうも好きになれない。
うまく言えないけど、なんか「嘘くさい」から。

===============


---------
奇蹟の火曜日 - 2002年08月06日(火)
---------


午前中、タッチ&オサム。
昼ご飯食べて、学校へ。

暑い。
救いようがないくらい暑い。

うだうだしながら信号待ちをしていると、
目の前をすごいスピードでニイチャンのチャリが駆け抜けていく。
こんなクソ暑いのによう走るなあ・・・
!!!!
ちょっと待て、アイツは!

大塚!

振り向くと、向こうも横断歩道の中途で急停車。
高校時代の同級生の大塚。
もうかれこれ3年以上は会っていないはず。もっとかも。
そして、今、二人が目を合わせたのは0.8秒くらいだったに違いない。
でも一瞬で気付いた。
すごい。


すごいので記念撮影

大塚は今、車を売っているらしい。
炎天下で、サラリーマンのエレジーを聞く。
いやあ、久しぶりだ。
なんか嬉しい。
しかしええ加減、日射病気味で気持ち悪くなってきたので、別れる。
ケータイの履歴が増えた。

ああ、やれやれ。めずらしいこともあるもんだなあ・・・
と思って自転車をこいでいると、
向こう側の歩道にまた見覚えのある顔が!
カオリ。
今度は大学時代の友人。
こっちは都立の大学院でよろしくやっているらしい。
カオリ「あ、連絡先教えて。・・・でもどうせ、ケータイ持ってないよね」
sjo k.「ふっふっふ・・・」

またケータイが役に立った。


残念ながら奇蹟はここまで。
あとは平凡なバイト。

===============


---------
ユニット企画正式起動 - 2002年08月05日(月)
---------


午前中から、ユニット企画のミーティング。
うたのアスカと、作曲のカノジョ。
ユニット名も決まり、
新D館の地下で、カノジョの伴奏でいよいよアスカが実唱。
仕事のない作詞のわたしは写真を撮ったり、符割りの提案をしてみたり。
そんなこんなで、第一作、なかなかの出来映え。売れそう。

そして、ジャケ写(仮想)撮影。







こんなかんじで。

その後、カノジョとキャレルでお話し。
部屋が暑い。
工事でクーラーがついたが、稼働せず。
見かけ倒しかよ!

16:30、バイト。

===============


---------
日曜日はタイクツ - 2002年08月04日(日)
---------


なーーーんにもない日曜日。
オサムを書く。
ぼんやり競馬を見たり、ぼんやり外を眺めたり。

++++++++
真由美が買ったケータイは、
買った5日後くらいからほっぽりだされたまま。
触ってるのを見たことがない。
使えないらしい。プ。

あんまりにケータイが可哀想なので、
「おふくろ、これ使わないの?」と聞くと
「ああ、もうあなたにあげるから使って。料金は払うから」

かくして、一生持たないだろうと誰もがあきらめていたケータイ、持ちました。
お電話ください。
番号は念力・のろし・その他の方法でお教えいたします。

===============


---------
タイトル考えつかないときも - 2002年08月03日(土)
---------


オサムをノロノロと進める。

昼間、カウントダウンTVの再放送を久々に見る。
6割くらいついていけない。
そんな自分に苦笑い。

午後、暑いのに
松谷と自転車でブクオフ。
帰ってきて、松谷の家でゲーム。

夕方、真由美に髪の毛をブリーチしてもらう。
頭皮イタタタ
結果→ほとんど抜けず
恐るべし、俺様の黒髪。
(思えば以前金髪にしたときはブリーチ2回カラー1回で大事だった)

===============


---------
新1万円肖像候補 - 2002年08月02日(金)
---------



タッチ、オサム抜き。
(ダメ)

昼間、クソ暑い新宿へ。
これで3日連続都心がよい。
今日はワセダに行ってる元バンド仲間のメイちゃんに図書館で借りてもらった本を受け取りに行く。
(ここは息つぎなしで読む)
久しぶりのモスに入って1時間半ほど話す。

雲が張り出して、空がなんとも濁った池のように淀んできたので帰ることに。

夕方、夕立。
夕方だから夕立か。
別に夕立って言う必要ないのか。
朝だったら・・・下ネタか。
失礼。

++++++
そういえば朝ちょっと見てたワイドショー番組で、
新紙幣のデザインを紹介したキャスターが、コーナーの最後にしたり顔で

 「なかなか政治家ってのはお札になれませんね」

・・・え?
板垣退助は伊藤博文は岩倉具視は?
ここ、勉強になります)

キャスターさん、
自分としては<超一級の皮肉>で締められて満足だったんだろうけど、
勉強不足。
上のサイトを見て勉強しましょう!

ところで、どうせなら1万円札も人物変更してもらいたかった。
アントニオ猪木に。
(選考理由:面白そうだから)

===============


---------
今日はネタづくし - 2002年08月01日(木)
---------


それにしても暑い。
久しぶりの散髪に表参道へ。
京王線も暑い井の頭線も暑い銀座線も暑い。
オッサンも暑い子どもも暑いオネエチャンも暑い。
俺も暑い。

最後に髪切ったのいつだか思い出せない。
よく考えたが、思い出せない。
まあいいや。
とにかくちょっとサッパリしました。
相対的にね。
どうせスポーツマン的な短髪は似合いやしないので。

で、暑いのに表参道を歩き、原宿のブックオフへ。
気付いたら7冊手に持っている。
それにしても、ここのブックオフはすごい。
店員がすごい。
「いらっしゃいませ、こんにちはーーー!!!」の連呼、連呼、連呼。
場所柄、Xファンの円陣コールを意識したものだろうか。
一人が言うと、こだまのようにあちこちの店員へ波及する。
夜の住宅街で、犬の遠吠えが伝染するのと同じ雰囲気をかもし出している。
どこのブックオフも大体こんな感じなんだけど、でもここは別格だ。
何しろ、ひとりひとりの発声量がケタはずれ。
しかもよく聴くと、台詞は同じ(多分それしか許されていない)なんだけど、
みんな、イントネーションやアクセントのつけ方で個性を出している。

●語頭強調型
ーーーらっしゃいませ、こんにちはー!」
●語尾放流型
「いらっしゃいませ、こんにちはーーーーーーー」
●絶叫型
「らっしゃいませーーー、こんちわーーーーー!!!!」

●二部分断型
「いらっしゃいませーっ こんにちはーー!」
●つぶやき型
「いらっしゃいませこんにちは」

そして、CDコーナーでとんでもないものを見つけてしまう。



ポンダ美奈子。
(多分この日記を見てくれてる人の中で、このネタが分るのは3割弱)

もう俺、ブックオフのことなら、なーんでも知ってるな・・・
(このネタ自体、ブックオフに行って、店内放送に耳をかたむけたことのある人しか
分らない)


暑いのに、渋谷まで歩いていく。
ほとんど何も目に入らず。
なんか写真でも撮ろうかと思うが、そんな元気が出ない。
「歩く」という動作以外、何もしたくない。
逃げるように井の頭線に乗って帰宅。
帰りはずっとブックオフで買った村上春樹『スプートニクの恋人』を読む。

家に帰ってからも読む。

バイト中も読む。
読了。

そういえば、来る時また見てしまった。
ASIJバス


一台はいつもの「安達」。
そして二台目は

「東山」

今さら少年隊のメンバーを持ってきたところで、もう驚かない。
こちとら先に安達を見ている。
同情するなら金をくれ。

しかし、続けざまに来たもう一台にノックアウトされた。


「送迎」


ギャハハハハ!
イタリック体。
他のバスは送迎じゃねえのか?!!!?!

・・・そうか、あれ一台だけが本物で、あとはカモフラージュか。

===============



 マエ    ツギ    モクジ



∴オキニイリニツイカ∵
























-->