非通知設定での着信。 いつもは拒否しているのだが、今日は出てみた。 1度目、すぐに切れる。2度目、すぐに切れる。 3度目、しばらくの間があって、「もしもし、俺」の一言。 「誰、あんた」 「ごめん。ごめんね」 あいつでした。分かってたけど。 今さら謝られてももう遅いしどうでもいい。 ずっと私にしたことを気にしていたのだとしたら、 一人で抱え込んでいればいいんだ。 こんなに時間が経ってからの謝罪、 それはあんたの痛みや苦しみを軽減するために 私に押し付けただけでしょ。 自己満足だ。 もう、非通知の着信には出ません。 もう、これ以上私に関わらないで。
今日は、はじめて付き合った人の誕生日だ。 21回目の彼の誕生日。 彼の誕生日、私が祝ってあげられたのは、17歳と18歳のたったの2回だけ。 最後に町ですれ違ったとき、彼は私があげたポロシャツを着てた。 18歳の誕生日にあげた、白地のポロシャツ。 偶然だけど、あまりに印象的で、いまだに忘れられない。 彼と一緒に過ごした時間より、 彼がいなくなってからの時間の方が長くなりつつある。 あのころ高校生だった私は、大学を辞め、街中の弁当屋さんでアルバイトする毎日。 あのころ高校生だった彼は、専門学校を卒業して、警察官になれたのかしら? どこにいるかも何をしているのかも分からない彼に、 そっと、そっと、 心の中でおめでとうを繰り返す。
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